アイスマシーン

冬になるといつも
ここに氷が産まれるの
女は笑って言いました

それはとても小さな粒で
気づかれないことも多いのよ
女は胸のあたりを押さえます

透明にきらきら反射して
宝石みたいに綺麗なの
女はうっとり目を伏せました

それはとても冷たい粒で
やみつきになってしまうのよ
女はため息を漏らします

産まれたばかりはいいけれど
しばらくすると危険なの
女は声を潜めて言いました

それはとても鋭い粒で
触れるとひどく痛むのよ
女は指先を擦り合わせます

我慢できなくなったら
誰かに会いに出掛けるの
女は静かに目を開けました

それはとても硬い粒で
壊せたひとはいないのよ
女は再び微笑みます

仕方ないからいつも
こうして自分で処理するの
女はライターを取り出しました

それはとても儚い粒で
あっという間に溶けるのよ
女は顔を歪めます

冬になるといつも
ここが火傷だらけになるの
女は遠くを見つめていました

それはとても厄介な痕で
治せたひとはいないのよ
女は胸のあたりを押さえます

冬になるといつも
誰かに話したくなるの
女は笑って言いました

それはとても虚しいけれど
死ぬまで続けるしかないのよ
女は笑って言いながら
今日も氷を作ります