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追憶のポエミー【詩集】

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#夢

途上シンガー

音を立てて鳴る心臓を抱いて 確かにここに立っている 燃え上がるような夢を掲げて 確かにここで生きている 心を通わせてもいないけれど 出会った人はマネキンじゃないよ “確かにその血が通っていたでしょう?” 帰宅ラッシュの早歩き 前だけ向いて興味ゼロ 何かを目指す人々は 脇目も振らず過ぎていく 全速力でもなかったけれど 道を間違えた訳じゃないよ “確かにその足で歩いて来たんでしょう?” どこか遠くにすり抜けて 目が合ったのに気づきもしない 喉が枯れるまで叫んでも 誰も相手

僕らはどこへ向かってる? 僕らはどこから逃げている? さあみなさん 駅に向かいましょう 優しく微笑む先生が 目印の旗を高く振る おさない かけない しゃべらない 決められた道を言われたままに みんな同じく避難しないと このままで居たら だめですよ キラキラ輝く駅を目指して 後ろから急かされるまま 周りの人に流されるまま 黒々とした行列が 生き物のように蠢いた 息も出来ない人ごみの中で 透き通ったふたつの翼が 音を立てながら軋んでる 真紅の滴が一粒 疲れた背中に流れ落

夢の剣

“いつかあいつに勝ってやる!” 叫ぶだけならタダだから 寝っ転がって繰り返す その日が来るのを待つだけで 自分で立てる気もしない 負ける資格すら持ってない 心の奥じゃ分かってる 敵から身を守れるように 死にたくないから準備する 言い訳の盾を振りかざし 自嘲の鎧で完全武装 夢の剣は重たくて 持っても落してしまうから…… ガラスのケースに入れられて 飾られるだけのあの剣 たまに思い出して眺めて うっとり酔って ご満悦 “ここからが俺の戦場だ!” 口上だけは一丁前 戦う覚悟