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追憶のポエミー【詩集】

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2019年4月の記事一覧

途上シンガー

音を立てて鳴る心臓を抱いて 確かにここに立っている 燃え上がるような夢を掲げて 確かにここで生きている 心を通わせてもいないけれど 出会った人はマネキンじゃないよ “確かにその血が通っていたでしょう?” 帰宅ラッシュの早歩き 前だけ向いて興味ゼロ 何かを目指す人々は 脇目も振らず過ぎていく 全速力でもなかったけれど 道を間違えた訳じゃないよ “確かにその足で歩いて来たんでしょう?” どこか遠くにすり抜けて 目が合ったのに気づきもしない 喉が枯れるまで叫んでも 誰も相手

迷子

ログを埋めるタイムライン 字面を見れば馬鹿馬鹿しくて 情けなさ過ぎて反吐が出る サミシイの? 構って欲しいの? ひとりぼっちは嫌なんだ? そこにあるはずの顔をなくして ここにあるはずの声もなくして 言葉ですらも信じない 君はあの日と同じまま 泣きたい気持ちを我慢して ひとりぼっちで彷徨った 優しい両手をはねのけ続けて 泣きべそかいたら負けだと信じて 迷子の君は どこへ行く? 視界を埋める人の波 みんな仲良く手を繋ぎ 楽しく笑って過ぎていく ここはどこ? あのひと

梅雨晴れ

梅雨の谷間の晴れの日に ぽかぽか温かい布団 毎度のごとく寝坊して お昼ご飯に遅刻した 君はいつもの 木陰のベンチで まるまる太った小雀に パンの欠片を何度も放る ごめんごめんと繰り返し 君の隣に腰掛ける いつもと同じコンビニ弁当 封を破って横に置く 駅から急いで歩いてきたから 僕の背中は汗まみれ ぱたぱたファイルで風を送って ごめんと もう一度謝った 僕らはカッコつけ合って ボロを出さないように 傷つかないように 泣けてくるほど くだらない話ばかりで 心からの言葉なんて