見出し画像

弾き語りのために、ボイトレ始めた⑥

向こう1年、レッスンを受けることができる権利を得たからには、絶対に歌がうまい人になる!と、意気込んで始まったボイトレ生活は、わたしだけの密かな楽しみとなり、会社と家を往復するだけの単調な暮らしに彩りを添えた。

この講座は、月一回ズームによる先生とのマンツーマンでの対面レッスンがある。夫に内緒なだけに、自宅で受けるワケにはいかず、日曜日の午前中のレッスンを予約して、カラオケボックスに籠もるのだが、大きめのトートバッグにPCを忍ばせて、ちょっと買物にいってくる体で出かけるのはちょっとスリリングだった。

1時間のレッスンだから、カラオケの店員に1時間半と告げて、10分前コールはなしで、と付け加える。30分の余裕をみたものの、PCをセッティングして、ワンドリンクを準備して、トイレに行って、となかなかに時間がかかる。ズームにも慣れていないものだから、スタート時間になっても画面にたどり着けない失態もありながら、なんとか先生に会うことが出来た。

ズーム画面に先生と自分の顔が映し出されてレッスンが始まった。
準備運動から始まり、発声練習、音源を使ってのスケール練習、そして、課題曲の歌唱チェックと、盛りだくさんの内容であっという間の1時間が過ぎていった。画面越しにレッスンが成立することが驚きだったが、これもアフターコロナで常識になったリモートのおかげか、と時代の変化にやっとの思いでついていくことが出来た喜びも感じつつ、急いでカラオケボックスを出た。

何食わぬ顔で帰宅し、急いで昼食を作りにかかる。
先生から、先ほどのレッスンの録画がラインで送られてきた。
急いでイヤホンを装着し、フライパンで野菜を炒めながら画面をチラリと見やり、レッスン内容を振り返る。先生の顔がいつも通り美しいのに、かたやわたしはと言うと、画面が薄暗く、顔がはっきりと見えないのだ。

画面に映った自分の顔を初めて見て、明るく見せる方法を考えなければならないのだということも遅ればせながら身をもって知ることになった。

オンラインレッスンは始まったばかりだが、それでもこの短期間にわたしが学んだことは、未知なる新しい、なんとも刺激的なことばかりで、ここちよい疲れを感じて1日を終えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?