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~能登地震で活動するキャンピングカーでの支援活動の実態報告~

2024年1月1日16時10分マグニチュード7.6.

Photo:Bloomberg/gettyimages

1.VAN SHELTERとは

能登地震発生後すぐに「VAN SHELTER」は発動した!みなさんはこの「組織・仕組」をご存じでしょうか。→ CarstayとCarLife Japanが運営するバンシェルターは新型コロナウイルス感染症が拡大する中、医療機関の簡易的な診療、医療従事者の休憩スペースなどの用途で、キャンピングカーを無償レンタルするなど、医療機関を支援するプロジェクトとして2020年4月に発足。これまで約30所の病院に約60台を超えるキャンピングカーを提供しました。今後、モビリティでの支援活動は医療機関だけでなく、水害や震災など災害地支援にも有効活用が可能なため、活動の幅を広げていきます

キャンピングカーを使っていない人が貸し出せるのがCarstayの仕組。
登録車両台数は500台を超えました。そのうちオーナーさんから承諾を得て
被災地の必要なところにキャンピングカーをマッチングしています。
あくまでもオーナーさんたちがかしてくれているからこそできています!!

この活動をしているなかで2020年熊本県人吉市に災害子供支援をしていた認定特定非営利活動法人カタリバと包括連携協定を締結し、熊本にて災害支援を開始しました。被災地で活動するカタリバの皆さんにとって「滞在する」ことは特に重要なことであり、その支援こそがわたしたちにとってもっとも得意とするところです

熊本の被災地にキャンピングカーを配車させていただきました

そして、今回1月2日から現地に入っていたカタリバから連絡をいただきキャンピングカーをいち早く手配し持っていくことから「熊本地震での活動が始まりました」。

1月8日に珠洲市に行ったときの写真です
災害後はじめて現地の様子をこのように掲載しました。
やはり投稿するのはためらいました。
カタリバさんへは3台の車両を貸出。珠洲市に2台、七尾市に1台配車しました。

その時のリリースがこちらです。

とくにカタリバと話していたのは「トイレ付キャンピングカー」の必要性でした。被災地ではトイレのトラブルは多くあります。汚れから、感染なども含めて。特に女性の皆さんは夜にトイレにいくのもためらうようなことがあるらしいということをうかがっており、車両の中にトイレがあったほうがいいよねというお話しが出ていました。なので今回は1台トイレ付車両を選択しました。(他の皆さんの車両は上記リリースから確認できますのでご了承ください。)

【移動できるホテル】C-LH:ペット歓迎車両・冬用スタッドレス・あったかFFヒーター完備/女性・中高齢の方に安心「トイレ」完備/超人気のハイエースベースのキャブコン(運転しやすく、走行性も高い車両です 4WD)/車両の内装はビジネスホテルのようにシンプルで使いやすいものとなっております。【こんなひとにおススメ】ファミリー、女性、中高齢者、中長距離移動の方、電気で困りたくない方、山道、スキー、スノボを楽しむ方、ぜひご検討ください。|大阪府大阪市中央区玉造|キャンピングカーレンタル・カーシェア予約はCarstay ▼特徴や魅力 ・今までのキャンピングカーの常識に囚われずに、広々としたホテルのような空間を実現していま ・ carstay.jp
なんと個室にトイレがついている。それも水洗トイレではなくラップポンです。
このラップポンが優れモノでして。。。①上のふたをはずし ②小便、大便をします。③凝固剤をいれてスイッチを押す。④そうすると特別な強固な袋がしまってにおいも汚れも外にでない。
⑤その袋は生ごみで処理ができてしまうというものなのです。

とくに今回は別でこの「ラップポン」を2つも貸していただいたオーナーさんがおられました。京都キャンピングカーレンタルCOYOTE代表の服部さんです(感謝)。これが本当に助かります。車両につけて貸したり、別途被災地で貸したりトイレのない所での活動では超役立っております。

無事にキャンピングカーを届けられたからこそ、皆さんの活動の後押しになると信じて動いておりました。

カタリバの災害時子ども支援現場の様子

2.キャンピングカーを災害視点で考えてみよう!!

よく知っている人も、良く知らないひともいらっしゃると思います。なので、知らない人に向けて書かせてもらおうと思います。

全部が全部同様ではないですがおおむねこのような車両が多いです。

なのでキャンピングカーがあるとライフラインの確保が可能となります。ただし、電気は車両ごとにかなり違っており、サブバッテリーが鉛なのか、リチウムなのかなど各車両ごとにスペックが違うことが注意すべき点となります。

①シェルターとしての機能
②電気の確保、供給の機能(車両によります)
③プライバシーの確保できる機能
④いつでも移動ができる機能
とくにほとんどのキャンピングカーが普通免許での運転が可能なので(とはいっても準中型の免許書は運転できない車両が多いです)、被災後72時間以内に搬入可能、即入居可能、そして、不要となれば撤去もすぐにできるメリットがあります。

このような個室が被災地に用意されるとみなさんはゆっくりとお休みいただけます。
キャンピングカーの用途はほかに様々です。
キャンピングカーは被災地で宿泊の代用のほかに休憩場所。
お食事をとっていただいたり、テレビ会議、ミーティング部屋と
なっていたり、事務所になっていたりします。

現にわたしも名古屋のISレンタリースのハイエースベースのキャンピングカーを2か月もお借りしております。

わたしの被災地での事務局車両はセドナです(笑)県庁前でパシャリ
2列目がテーブル席になっておりパソコンマルチモニターで仕事ができるため
仕事がはかどります。パソコン、スマホ程度なら結構使えます。
一応予備でポータブルのバッテリーも用意しているので電源に困ったことはありません。
手前は2列目のシート。その後ろは常設のベッドがあります。
念のためマットを敷いて、電気毛布を用意し、シュラフと毛布を用意しております。
クッションが枕代わりになるので快適に毎日しっかりと就寝できており疲れがたまりません。
ずっと車中泊をしているのでストレッチポールを入れております。
仰向けでつかったり、マッサージ代わりにつかったりしてエコノミークラス症候群に
ならないように常に予防を図っております。(キャンピングカーは大丈夫なのですが)

3.キャンピングカーをより安全に配車し、快適に使っていただくために

今回わたしたちは七尾市、穴水町、珠洲市、輪島市で車両の貸し出しをしました。災害後、地割れ、建物や電柱などの崩壊、そして、降雪により地割れが見えないことが多数あります。

本当に1月などは雪に悩まされました。キャンピングカーをより安全に届けるために
どのみちで行ったらいいのか作戦会議を重ねました。
雪道は地割れが見にくいです。1番目の車両が特に道路事情を意識しながら走行します。
最後尾車両は途中の車両がトラブルがないか確認しながら走行します。
電波がつながらないこともあったのではぐれることも度々ありました。
輪島市に入ると見える光景がまた全く違う光景でした。
本当に言葉を失う瞬間でただただ茫然としていたのを記憶しています。

キャンピングカーは万能ではありません(私見です)。二駆、四駆によっても車両の走行性は異なります。オーナーの皆さんの中で冬用タイヤをはいていない車両もあり、車両によってはFFヒーターがついていないものもたくさんあります。車両によって個体差を把握しながら被災地に持っていける車両を提案します。
冬:スタッドレスタイヤ、断熱、FFヒーターは必須。
夏:大容量電気、エアコン、サーキュレーター等は必須。
Carstayには約500台のキャンピングカーが登録されています。以下リンク先(508台 2024年2月末現在)このうち約70-80台程度災害時貸出可能な車両があります。トラックタイプのものでなく、バンタイプのもう少し少人数で就寝できる車両なら同じ+70-80台程貸し出しが可能です。

被災地では「電気がつかえないこと」があります。そうするとキャンピングカーの機能が半減することがあります。なので車中泊する場所ではまず電気がつかえるかどうかを確認します。ただし、今回は輪島市でご利用いただいた際は電気がつかえませんでした。どうしたらよいか?発電機を利用できたらとひとつ選択肢がでてきました。ただし、購入するには結構莫大な費用がかかるのでどうしたものかと考えていました。するとYAMAHAさんのリリースを紹介頂きました。

すぐに電話をしました。こちらは自治体に貸し出すものでということで、「ならば別で20機お貸出ししましょう!」とわずか3時間で決定しました。本当に涙が出るくらいうれしかったのを記憶しています。そこで、車両1台に対して1機の発電機を利用することができました。電気のない場所で快適にキャンピングカーを使っていただくことができたのは本当に様々な企業様、様々な支援者様のおかげなのです

こういった光景がつくれたのはYAMAHAさんのおかげです。
これで暖房や照明、スマホにパソコンが気を遣わなく使えるのです。本当に感謝です。

Carstayはキャンピングカーのプラットフォームです。レンタカーやシェアカーはオーナーさんがいるからこそ貸し出しができるのです。今回、オーナーさんとの関係値でいうと以下のことが考えられます。

①キャンピングカーをかしてくれる方(一番多かったです)
②キャンピングカーは貸せないけど配車してくれた方(すごく助かりました)
③キャンピングカーをかしていただき、配車もしてくれた(感謝しかないです)

Carstayのコミュニティの方々が私たちの活動を後押ししてくれました

キャンピングカーをお貸し頂いた皆さんからはたくさんの支援物資も預かりました。こんな時だからこそ、食品、サニタリー商品、飲料、燃料、毛布などなど。本当に多くの皆さんの善意でこの活動は成り立っています。だからこそ、様々な方々に、様々な用途でキャンピングカーを使っていただけたのだと実感しています。

1月2日から現場にはいられ捜索活動、医療活動を継続してこられたピースウィンズジャパン
こちらには5台のキャンピングカーを貸し出しました
10台のキャンピングカーに約40名の方々が泊まられていました
電気は発電機、ポータブルトイレをご利用いただきました。
現場近くで車中泊したことで1日4-5時間かかっていた通勤時間がなくなったと
喜んでいただきました。

4.能登地震での活動はまだ継続しています!

Carstayの広報責任者は中川生馬です。彼は鎌倉出身で能登半島の穴水町に移住しました。彼自身Carstayで車中泊スポットを貸出しており、キャンピングカーのオーナーでもあります。

そして、この場所が被災した!

もう使うことはできない田舎バックパッカーハウス1
こんな状況下でもいつも笑顔を絶やさない中川生馬一家
Carstayの活動も、そして、他企業の広報も、能登地震で被災したこのエリアの広報も
これまで以上精力的に活動するその姿に感動を覚える

これまでVAN SHELTERをしてきたから、能登地震も同様にしているわけではない。やはり「仲間が被災して、でも前向きに生きようとしている姿に感動している」とともに、そこでなにかできないのならキャンピングカーの仕事をしている意味がないとおもう!!

このnoteを記載しているのが2024年2月26日。被災後2か月が経った。通信がつながり、電気が通るようになってきている。水も使えるようになってきている。でも輪島市などはまだまだ使えない地区もある。復旧、復興なのか、まだ進行形なのかわからない。でも、そこには「地元で暮らされているひとがいらっしゃる」。CarstayのMissionは「誰もがすきなときに、すきな場所で、好きな人と過ごせる世界を作る。」である。それは旅とか、レジャーだけではなく、災害の時も同様に言える。災害時に、必要な場所で、必要な人たちと過ごせるのがキャンピングカーの良さである。

まだまだわたしたちには能登半島でできることがあるはずである。Carstayだけではなく、パートナーさん、オーナーさん、ゲストさん、それ以外のかかわる皆さんと継続活動ができたらと思います。どうぞ、引き続きよろしくお願いいたします!!

VAN SHELTERのサイトから上記スクショしました

災害支援車両として、キャンピングカーを貸し出し可能なレンタカー会社・個人の方は専用フォーム(こちら)からお問い合わせください。

●メディアでの取り扱い

文責:野瀬勇一郎


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