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ハヤブサ消防団(池井戸 潤)

池井戸潤さんの小説って、会社が舞台で、白熱した会議シーンが読みどころですよね。
でも、このハヤブサ消防団の舞台は、会社ではなく、とある過疎地域。

主人公である移住してきたミステリー作家、三馬太郎が地元の消防団に加入して、地域に溶け込み、地域を自らの手で守るという物語です。

この小説には現在マスコミが騒いでいる新興宗教の話とソーラーパネルが絶妙に組み込まれているのです。絶妙にというよりも重要なテーマです。

小学生くらいの時に行った父の家に、東京からきた30代のミステリー作家三馬太郎。そんな若者が、近所の人との交流の中から地元消防団に入団。入団前から続く放火事件や近所でも悪評の高い男の死、さらに後を絶たない連続放火事件。果たしてミステリー作家の活躍でこの連続放火事件等をどのように解決させるのでしょうか?


ところで、10年間消防団活動をしたものから言わせてもらうと、消防団を取り上げてくれてありがとうごぃます。

消防団というと、酒を飲み歩き、肩で風を切って、地元を闊歩するようなあまり良いイメージが無かったこともあるでしょう。そんなのは何十年も前の話。現代ではそんな消防団は極めて少数で、団員の年齢も大幅に上がり、消防団自体の存続が厳しくなっていることでしょう。
原因は財政難、少子化とサービス業従事者の増加。

この小説にも取り上げられている操法大会(実際の火災を想定した消化技術の競技大会で、規律や放水までの速さや安全性を採点)のために約3か月間、早朝や夜に操法練習(県大会から全国大会もあります)をしたり、体育祭等の地域の行事には会場警備を任されたり、出場選手が不足すると選手に駆り出されたり、地域のイベントや花火大会等では駐車場係をしたりと本当に地元の役に立っているのです。

消防団とはいうものの、台風や大雨で洪水になると水防団となり、住民の避難誘導や土嚢を作ったり、冠水した道路への進入防止活動、進入した車の救出活動も行います。

消防団員は、本業の仕事があり、火災発生や台風の時には夜間でも集合して消火活動や自然災害の復旧、救護の手伝いもします。多少の報酬が出るようですが、基本的にはボランティアで無給。
団員は地元のために活動しています。

そうは言ってもまだまだ幽霊団員や年俸の問題が各種報道でも見受けられます。

しかし。しかし。

がんばれ消防団!
地元のため、ありがとう!



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