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移りゆく季節のなかで恋をした

失恋に向きあってみようと思う。
二つ前のノートでほのめかしていたものは失恋で、とはいえちゃんと別れることになったのはちょうど昨日(というか今日)なので、それについて書いてみようと思った。

昨日の夜1時間半くらい話をして、朝起きたら外が雪景色だった。冬になっていた。
彼と付き合ったとき、夏だったし、すごく暑かったなって思い出した。
季節の変化が私たちの恋愛にも反映されてったみたいだなって感じた。
ラ・ラ・ランドみたいかも。
気温と、彼の私に対する思いは比例していたみたいだ。

彼とはちょうど3か月くらい付き合っていたのだけど、最初の数週間しか愛を感じられなくて、好きって言ってもらえなくて、苦しかった。
遠距離だったから、距離があると恥ずかしくて伝えられないのかな、とか悩みつつもずっと好きだった。
そして最近、ついにあちらから「恋人として好きなんじゃなくて人として好きなんだと思った」とラインで打ち明けられ、ああ別れるんだなと思った。

愛情がなくなったんだなっていうのは感じていたし、いつこの問題に向き合うのかなって思っていたから驚きはしなかった。でもやっぱりいざ伝えられると辛い。心が沈んだ。

でもラインがきてから話をするまで数日間の期間があって、その期間で結構元気になった。友達と飲みに行ったり、ランニングしたり、本を読んだりした。
ずっと心がヒリヒリしていたけど、そんなときってささいな幸せがすごくしみるんだなと思った。
晴れ日の海、電車の中で聞く音楽、本屋で見つけたペン、花を買うという行為、あたたかい外の空気、まっすぐな水平線、とか。
悲しいはずだけど幸せな時間を過ごしていた。正直、電話したくないなと思っちゃったけど最後に感謝の気持ちを伝えられないのは嫌だし、多分あっちがそれを嫌がると思ったから話した。

付き合っていた時、遠距離だから毎週の電話が当たり前に楽しみだった。
いつも夜遅くから始めていたのだけど、スタンバイする時間が幸せだったな。もうこれも終わりかーとさらに心が痛んだ。
そして、初めて電話した時のことを思い出した。全然違う状況、というか真逆の状況なのに、似たような気持ちだった。(私たちは電話で付き合おうって話になった)
何かが始まる予感。でも今回は何かが終わる予感。
どきどきしていたのだ。
多分最後の電話になるから、伝えたいこと全部伝えなきゃ、後悔しないようにしなきゃ、ってどきどきしてた。緊張してた。

なぜ私に対しての好きが「恋人として好き」から「人として好き」に変わってしまったのかはちゃんと聞いておきたくて、聞いたけれど答えはわからない、だった。わからないらしい。まあ、人の気持ちって変わるよな、変わらないものなんてないよな、って思った。思うしかなかった。彼が申し訳ないって言ってたから、しょうがないよ、って何度も応えたけどしょうがないのかな。できれば言葉にしてほしかったし答えを見つけてほしかったけど。なんかもやもやするから。
原因なく人の気持ちが変わることなんてあるのだろうか。

私はこの恋が初めてお互いちゃんと好きで始まった恋愛だったから、少しの間でも自分が好きな人から「好きだ」と言われる幸せを味わうことができてほんとによかったな。
彼が私に対して「人として好き」としか思えなくなってしまったから終わりを迎えたわけだけど、私もどちらかというと「人として好き」だったんだよな。
でも個人的に感じていたのは、人として好きだという思いが強いものだと「どんな形で好きか」っていうのがどうでもよくなって、ただ好きだなって思うんだなってこと。
だから「人として好き」から始まる恋愛もアリなんだなと。自分の感覚に従うことが最も重要。
好きのカテゴライズはあんまり必要じゃないと思う。人に説明したり、考えをまとめるには便利だけど。

ぷつりと関係を断つということはしたくないねとお互い話していたから、今後は良い映画とか本とかがあったら伝え合おうねーってゆるりとこれからのことを考えた。
そんな感じで話して、納得して、私はあなたのこういうところが素敵だと思ったよ、好きだったよ、って気持ちを伝えきって、私たちは終わった。
やっぱり泣いてしまったけど、最後は笑わされていた。

ただただ切ない1時間半だったよ。電話後、藤井風の「旅路」を聞いて泣いた。ふわりと、ひりっとした心を癒してくれる温かい歌だ。
「いつの間にかこの日さえも懐かしんで全てを笑うだろう全てを愛すだろう」って。すてき。

恋人として愛してはもらえなかったけど、最後に与えられたものは愛だったな。人から、人として与えられた愛。それだけで十分だよな。愛されていなかったなんて言ってはいけない。そもそも恋人として愛されることがこの世で最も尊いなんてことはないはずだから。

季節は冬になった。恋は終わりを迎えたけど、きっとまた何かが始まる。
その始まりを喜んで、前に進んでいく。
今、私の心は冬の外の空気みたいに澄んでいる。




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