四季-移ろいゆく季節の中の変わらぬ狂愛-　第3.5話(表)

第3.5話(表) 季節の変わり目
　とあるワイドショウ
　　〈#$%&~<>に関する考察〉

　今年の春頃に発覚したK県Y市のバラバラ殺人事件と夏頃に起こった帝都食人事件の犯人が特定されました。
　現在、その二つの事件の犯人は、なんと、信じられないことに共同生活を送っていたとのことです…！
　はい、そして、その二人は昨日深夜、遺体で発見されました。
　ーー殺害されていた、とのことです。

　現在、二人の身元を確認中とのこと。

　今回も、癲狂院てんきょういんに勤めている希築きづき教授に来ていただきました。この二つの事件、急な展開を迎えました。本日もよろしくお願いいたします。

「ふふ、よろしくお願いするよ…！」

　現在、警察は女性の方が男性を殺害し、そして女性は自殺をしたーーとの見解を出しているとのことですが、希築教授としてはいかがでしょうか。
　以前、彼ら殺人犯は他の人物は殺さないだろう、とおっしゃっていましたが。

「そうですね、ちょっと、これは癲狂院にいる僕ーーいや、私の見解であり、警察その他一般の結論とは異なるだろうーーと、ね、云う…」

　はぁ…。

「私は、あくまでも癲狂院の人間だ」

　はい、えぇと…？

「恐らく、この事件には犯人がいるだろう。この二人を殺した犯人が」

　詰まり、現在の警察の見解は誤っていると云うことですか？

「嗚呼。少なくとも、私の見解とは異なる。彼らは崇高なる殺人鬼であり食人鬼である。彼らがその崇高な考えを曲げるとは考えられない」

　えぇと…
（女性アナウンサーは裏手に視線を送り、プロデューサに意見を求める）
カンペ：ある程度は解っていた、このまま続けて

　なるほど。
　希築教授は犯人の目星もついているのでしょうか。

「ふふ、残念ながら私が云えることは、彼らがお互いに殺し合ったわけではない、と云うところまでだね。それに、この国ではその仕事は警察の仕事だ。だが、いずれにしても、この犯人は癲狂院で預かる。嗚呼、殺人鬼を殺す動機は一体なんだろうねぇ。脳に異常があるのだろうか？　それなのに一般的な生活を送っているのだろうか。それともそもそも癲狂院で預かるべく人材だったのか…！」

　ちょ、これは放送事故だよ、早く止めて。
　CM行ってください、いいから、早く……

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