私のエンジニアリングリードとしてのステートメント
現在、私はGMOペパボ株式会社SUZURI事業部でエンジニアリングリードをしています。最初は何をすれば良いのか戸惑うこともあったのですが、最近少しずつ自分の役割が分かってきた気がするので、普段自分がどのようなことを意識して考えて行動しているかを今回書いてみます。これからエンジニアリングリードを目指す方の参考になったら嬉しいです。
エンジニアリングリードとは?
最初にエンジニアリングリードとは何か定義してみます。エンジニアリング(Engineering)は日本語で工学を意味します。以下に徳島大学の工学とは?のページからの引用ですが
工学とは、通常「数学と自然科学を基礎とし、時には人文社会科学の知見を用いて、公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問である」と言われています。
と書かれています。「ユーザーにとって便利な機能を追加する」「開発者にとって快適な作業環境を作る」などなど、日々エンジニアの私たちはコードを書いて様々なものを作っています。次はリード(Lead)について考えてみます。リードには導くという意味があります。私にとってのリードとは、エンジニアが向かうべき方向を一緒に定めて、エンジニアリングを軸として物事を前に進めることを支援します。
方向を定める
方向を定めるには、視野を広げることが大事なので、まずサーベイ(調査)をしてみます。事業部制の会社だったら、他の事業部ではどうやっているのか調べます。GitHub Enterpriseを検索したり、チャットツールで質問します。似たような事を他の会社ではどうやっているのか調べるために検索したり、その分野の専門家がSNSで発信している情報を見たり、本を買って読んだりします。チームメンバーでディスカッションすることも大事です。
前に進める
ある程度調べたら最後は決めの問題なので、決断して前に進めます。技術選定についてドキュメントを書いて始めるのも良いですし、まずはプロトタイプを作って検証してみるのも良いと思います。方向は後から修正できますし、ちょっと違ったなと思ったら軌道修正すれば良いと思います。ペパボには「Nice Try」という文化もありますので、どんどんチャレンジして前進していきましょう。リュさんのインタビュー記事を読むとNice Tryの文化がわかると思います。
私のエンジニアリングリードとしての役割
エンジニアリングリード(あるいはエンジニアリングマネージャー)の役割は所属する組織によって期待される領域は違うかもしれませんが、私のエンジニアリングリードとしての役割はサービスを支えるエンジニアリングが世界的な基準で通用するものへ導くこと、そして、コードを書いて価値を生み出すエンジニアがより高い技術力を身に着け、今よりも高い価値を生み出せるように導くことです。 最後にエンジニアリングリードとして、普段から意識していることをいくつか書いてみます。
論理・感情・倫理のバランスを持って意思決定する
まずは論理の話です。これはデータとロジックを大切にすることです。よくファクトは?データは?みたいな話を聞きますが、事実に基づいて、論理を組み立てる事はエンジニアリングを行う上でとても大事です。
先日DX Criteriaを実施して明らかになっていることですが、メトリクスの計測やデータ活用が組織的には弱いところになっています。
今年はSREチームとしても活動していますがSLI(Service level indicators)とSLO(Service Level Objectives)を決めて、計測をして、データとロジックに基づいて判断をしていける環境を作っています。
また、エンジニアの評価という観点においても、客観的に見ても分かる実績を残していく必要があります。何がどのような成果なのか各々が言語化して自己評価ができないと、成果を出したのに評価は低い...なんてことになってしまいます。評価の定量面を支えるのもメトリクスの計測・データ活用という軸なので、しっかりやっていきます。評価制度について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
次に感情です。私は東京工業大学のエンジニアリングデザインプロジェクトで学んだ事ですが、ユーザーへの共感から考えて動くことも大事です。ユーザの気持ちになって考えることで新しい価値を生み出せることは沢山あります。また、開発者自身が抱く感情も大事だと思います。「新しい技術だから楽しそうだし触ってみよう!」「自分が好きなものだから作ってみました!」「開発者のテンションが上がる仕組みを作りました!」みたいな気持ちも大事にしていきたいです。エンジニアのモチベーションを上げられる仕組みを整備して、楽しく、価値を生み出すところにフォーカスしていきます。エンジニアのモチベーションを上げることについては以下の記事に詳しく書かれています。
最後に、倫理です。ロジックがあってパッションがあれば良いのかというと、それだけじゃなくて倫理観も必要です。自分の作ったものが結果として誰かが不利益を被る事にならないかどうか、社会や人に及ぼす影響について考えて技術を活用しないといけません。学会には倫理綱領が存在していて、例えば情報処理学会には情報処理学会倫理綱領がありました。私は普段からこの論理・感情・倫理という3つの軸を意識して考え意思決定をしています。
Openness(オープンであること)
インターネットを本格的に使うようになったのは会社に入ってからですが、入社してすぐにOSS(Open Source Software)の文化や考え方を学びました。ペパボはOSSのカルチャーと共にこれまで成長してきました。そして、これからも自分の考えていることや作ったものをどんどん周りに公開してコラボレーションを生むことが事業成長にも大事になってくると思っています。アウトプットすることは個人の成長のためにもとても大事なことだと思いますので、インターネットや様々なツールを活用して発信していきます。
ペパボにはわたしたちが大切にしている3つのことという行動規範のようなものがありますが、一人一人がOpennessを意識して日々の些細なことでもアウトプットしていくことが、ファンを増やしたり、みんなと仲良くするきっかけを作ることに繋がると信じています。
最後に
自分のエンジニアリングリードとしてのステートメントはサービスを支えるエンジニアリングが世界的な基準で通用するものへ導くこと、コードを書いて価値を生み出すエンジニアがより高い技術力を身に着け、今よりも高い価値を生み出せるように導くことです。私自身もより広い視点でリサーチやエンジニアリングをして、更なる研鑽を続けて成長していきます。
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