[Ariabl'eyeS 15th Mini Album] 月影の魔女サフィラ Act:Ⅰ 感想
はじめに
注:本記事にはネタバレ、個人的解釈を多分に含んでいます。
まだ本作品を聴いておらずネタバレを避けたい方などはブラウザバックを推奨します。
こんにちは、黒助と申します。初めましての方はどうぞお見知りおきを。
今回私はブログを初めて書く訳なので一応自己紹介をしますと、普段はAriabl'eyeSのオタク(通称ありあぶらー)をやっております。
もちろん、そこらへん以外にもゆずりさ、Imy、らぷり関連アーティストなども推しているのでその辺のサークル周辺にも出没します。
今更にはなりますが、2024春M3お疲れさまでした。(M3から一週間後)
当日買った枚数や通販で購入した量、皆様個人の予定によって個人差はあるとは思いますが、会場などで手にした作品を目いっぱい愛でている頃合いかと存じます。
さて、これ以上本題と関係ないことを書いても仕方ないので、すぐ下にXFDでも貼り付けてそれを過ぎたら本文といたしましょう。
(公式XFDです。ここから先、作品概要は知っている前提で進めますので、把握していない方はまずそちらをご参照ください。)
01. Prelude-Safira Ⅰ-
Ariabl'eyeSのストーリーアルバムなら必ず最初に入ってるプロローグ枠。
シングルサイズや余程古い作品(緋き悪魔のトラジェディア以前)でもない限り昔ばなしっぽいナレーションでどんなストーリーが展開されるか語られ、今作も例外ではない。
しかし、今作のプロローグは珍しく緊迫した空気間で進み、本作の主人公となる「人間と狼の間の子」(キービジュアルのケモ耳ショタ)が必死に逃げている描写が強調されている。
02. 月影の魔女
タイトル的にも本作の表題となる曲。ボーカルはRuruさん。
(念のため補足すると、Ruruさん=るるの郵便屋さんの人であり、Ariabl'eyeSだけクレジットでの表記が異なって分かりづらいが同一人物です。)
ストーリー的にはプロローグ通り「人間と狼の間の子」がとある森の奥へと逃げ込んでいく展開となる。
まずイントロから緊迫感ある空気を演出する演奏陣と鈴葉ユミさんのコーラスがお出迎えしてくれるわけだが、コーラスに気合が入っていることを差し引いても開幕~Aメロ突入までの間に鈴葉屋(鈴葉ユミさん個人のサークル)に似た気配を強く感じた。
去年のAriabl'eyeS作品である「導黒のミアルカ」シリーズを聴いている方なら分かるかも知れないが、Ruruさんって郵便屋さん側だと優しくも力強い歌声が魅力的というイメージを抱くものの、それとは裏腹に冷たく突き刺すような歌唱表現も強いという意外な一面もある。
前作ではそれが主に憎悪の感情表現で楽しめた訳だが、今回は純粋に緊迫感ある曲調をさらに強化するのに一役買っている印象である。
だが、それだけで終わってくれないのがこの曲であり、「包まれた静けさの中で」辺りでは完全にRuruさんの本懐である優しい感じに戻り、楽曲パート一発目からリスナーの感情をぐちゃぐちゃにかき混ぜてくるのがたまらん!
03. 希望への揺籃歌
難しい方の漢字の読み方は「ようらんか」で、平たく言えば子守唄のことである。
(葬詠ベリアル収録の「鳥籠の小夜曲」みたいに英語読みでララバイと読むのかも知れませんが…)
バラード枠寄りのゆったりしたサウンド、バックでシャンシャンと微かに聞こえる点、Lunaさんの包容力ある歌声の3点が噛み合って曲名通りの子守唄らしい見た目をしている。
…とは言ったものの、この曲も「月影の魔女」と同様に急激な切り返しがあり、サビに入る直前の「何故それを?」辺りから一瞬溜めて一気に高スピードの曲へと変貌する。切なさや温もりを五月雨のように浴びせてリスナーを感極まらせるいつものAriabl'eyeSの強ムーブであり、分かり切っていても思いっきり心に刺さってしまう!
ストーリー面では、前の曲の最後にチラッと出てきた森の魔女(以降単に魔女)が本格的に出てきて”人間と狼の間の子”を自分の住処へ匿っている一幕となる。過去を観る魔法で彼の酷い待遇や事情以外にも何かを覗いたからなのか、ただの子守唄の歌詞なのかはまだ分からないが「気高き血を引く勇者の子」と気になるフレーズが出ている。また、後半の方では彼は「スペランツァ(イタリア語で希望)」と魔女に名づけられているため、以降はその呼称で進めます。
04. 硝子の瞳
今期のAriabl'eyeS feat. Risa Yuzuki枠であり、恐らくゆずりさ民(Risa Yuzukiファンのことで、ゆずりさはRisa Yuzukiの略称)にとっての目玉商品。魔女とスペランツァが森の中で二人暮らしているシーンで、歌詞ではある程度省略されているが魔女の優しい願いやスペランツァが段々と立ち直っていく様子が丁寧に表現されていて心に沁みる一曲。
けど、スペランツァは2人で暮らせるよう”魔法を使える者”になろうとし、魔女は彼を”人”として誰かを愛せるよう願っている、と少しだけ考えにずれがあったり、「貴方だけの力」と少し気になるフレーズもあるなど細かいながらにも注目すべき点も多く、考察や周回のしがいも盛り沢山である。
05. 嘆きのラデュー
きました、今作のキラーチューンにして、私の中ではAriabl'eyeS至上最強を更新したバケモノ!
前作収録曲の「終幕のミアルカ」に次ぐRuru , Lunaによるデュエット曲で、前回のものが5分半と長めだったのに対してこちらは4分程度と比較的スリムにまとまっている。
だが、それで出力が落ちたかと問われれば答えは断じて否で、「楽曲としての単純な出力向上+性能を保持したまま曲が短くなったことによる密度の向上」の相乗効果で初見だと確実に涙腺崩壊し、2周目以降でもアルバム通しだとほぼほぼ耐えられない”圧倒的な悲哀”を内包した凶悪極まりないストーリー展開が襲ってくる。
しかも、序盤は「Ariabl'eyeSの現行ボーカルでは明るい表現に長けた二人組」によってスペランツァのお遣い光景がめっちゃポジティブな印象で描かれており、上げて落とすギミックもちゃっかり同じ曲の中で行われている。
…ここで無事心が灰になってしまいました。おしまい。と言いたいところだが、「咎人は闇の中」というフレーズから察せる通り魔女は恐らく何らかの理由で森の中に閉じこもっている状態で、スペランツァをその運命に巻き込まず”人”として生きるようわざと追い出した形になり、その辺によりフォーカスを当てた続編による回収が期待できる。(続編公開に伴ってさらに出力が上がるってのが一番ヤバい点だが…)
06. 終わりなき悪夢
そしてまだ続く激重ストーリー。ありあぶらー練度がそれなりにある方なら容易に察せる通り、この曲は「Lunaさんボーカルのいつもの〆」です。
曲の内容としてはいつも通りしんみり系のバラードだが、問題なのは「この曲も含め作品として出力された悲哀が旧作とは比にならないほど重い」、「嘆きのラデューの時点で大体のリスナーの心のダムは破壊されている」2点である。これらの影響で初見時にはオーバーキル要員、2周目以降でギリギリ耐えきれたリスナーにはしっかりトドメを刺してくる曲となる。その結果、何周しても”慣れ”が簡単に起こらず作品全体の出力が落ちない、常軌を逸したアルバムと化している。
ストーリー展開的には恐らく魔女の過去の罪過について描かれているが、流石にまだ詳細は明かさずに「悪意を持って何かしでかした訳ではなさそうだが、彼女を含む当事者にとって相当忌まわしい出来事」程度に留めている印象。(私の読解力が足りてないだけ、って線もありますが…)
個人的な解釈では、贖罪をするでもなく隠れる判断をせざるを得ない状況にあったであろう魔女が憐みだけでスペランツァを救うとは思えないので、彼も魔女が”咎人”たる理由に生い立ちなどが関係してるような気がする。
全体的な評価
収録曲全てが非常に高い水準にあり、ストーリー自体も重く心に響き、分かりやすく強い曲もあって布教もしやすいと文句なしの今期最強アルバム争い筆頭格であるが、それとは別に着目したい点は次回作への伏線についてである。
今までのAriabl'eyeS作品で続編が存在するアルバムは「残響のコフィン」、「穢れなき瑠璃色のローゼンクロイツ」、「冥鳴フィアンサイユ Act:Ⅰ」、「導黒のミアルカ Act:Ⅰ」の4作品であるが、続編の展開が多少は予想しやすい「穢れなき瑠璃色のローゼンクロイツ」、「導黒のミアルカ Act:Ⅰ」はどちらも後編では復讐テーマで、伏線にはあまり頼らず順当に展開を進めている印象である。
しかし、本作は前編の時点で比較的気づきやすい伏線が随所に配置されていて、物語の続きが気になって仕方がない状態を作り出すことで新規リスナーの定着を図る意図もあり、普段以上に初心者の方でも「蒼」の世界に親しみやすく作られているようにも感じた。その点でも、初めましての方に自信をもっておすすめできる作品である。
以上で感想文は終わりです。かなり読みにくい怪文書と化しているとは思いますが、こんなものでも誰かの参考や励みになったなら幸いです。
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