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相手の気分を害しない訂正(日本語教育クイズ! 経験からデータへ 12)

問題

今週のレポートの課題が「日本語の方言」だと思い込んでいる相手に対して、実はそれは期末レポートの課題であって、今週のレポートは「インターネットで使われる日本語」だという訂正をしたいと思います。どのように言いますか。

a いや、テーマ、ちょっと違うと思う。
b あ、それはちょっと間違っているんじゃない。
c え、それって期末レポートの課題じゃなかった?

正解は……









正解 c え、それって期末レポートの課題じゃなかった?

aの「いや」は否定です。最初から否定で始めると相手に悪い印象を与えがちです。しかも後半でも「と思う」は使っていますが、直接的に間違いを指摘しています。bの「あ」は自分自身の気づきなので、否定よりは緩やかな印象です。後半も「~んじゃない」が、もし「?」を付けて上昇調の疑問になっていればいいのですが、そうはなっていません。cは「え」で驚いて「みせる」ことで訂正のシグナルを出しています。後半では「~んじゃなった?」と疑問形にすることで断定を避けています。詳しくはシリーズ4巻第7章、堤論文をご覧ください。


■この記事の執筆者
森篤嗣 武庫川女子大学教育学部教育学科教授

■この連載で取りあげている本
現場に役立つ日本語教育研究 全6巻(山内博之 監修)

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