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『18歳からの格差論』/ 1.再分配の罠とは

くっ、また面白い本に出会ってしまったっ。

余談だが、私『✕✕歳からの~』な本が大好き。
簡単で読みやすくて、挿絵がいっぱいあるからだ(^^)
なんで大人の本には挿絵がないんだろう。わかりやすいのに。


この本は格差がテーマなんだけど、たぶん『分配』について考える本だ。

僕たちは弱者につめたい、息苦しい社会を生きています。

井手先生によれば現在の日本社会は、分断された、冷たい格差社会。
弱者への冷えたまなざしは、他人への不信感が社会を覆いつくしていることの現れである、と。

んでは、この閉塞感、息苦しさはどこからくるのか?
井手先生は『我々の社会には数々の分断線が引かれている』と指摘した上で(=分断社会)、その中から特に大きなモノ3つを『3つの分断の罠』として解説。
これが面白かった~~。なので今回はそれを記録しておこうと思う(^^)


1.再分配の罠

まず、我々は貧しくなった。
世帯所得のピークは1990年代半ばで、それ以降は下降の一途。いまや平均所得を下回る人たちが全体の6割をこえるのだそう(2016年時点で)。つまり「日本人の6割が貧しくなってしまった」と言い換えてもよい、って。
そんなふうに中間層がじりじりと貧しくなってゆく中、貧しい人の暮らしばかりを重んじると、負担を負わされる中間層のご機嫌が悪くなる。

マスメディアでは、嘘をついて生活保護をもらう「不正受給」の問題がさかんに取り上げられます。みなさんも生活保護をもらう人の多くが嘘をついてお金をもらっている、仕事をサボって遊んでいる、と思ったことはありませんか?
でも、実際には、金額で見た不正受給は全体の0.5%くらいにすぎません。
困っている人を助けようとすると中間層が反発する、これが「再分配の罠」です。

こういう構造ってほかにもいっぱいある。
著作の中でも指摘されていたけれど、たとえば公務員バッシング。

顔も見えない不特定多数の公務員さんたちを「ラクしてる」だの「給料が高すぎる」だのと散々バッシングしておきながらーーー

でも、親たちが子どもになってほしい職業の1位は、じつは公務員なのです。この事実が、いまの日本の社会の病をハッキリと示しています。

弱い人、ケチつけても言い返してこない人が相手なら攻撃しやすいもんね。
やっぱ人間ってこうだよな~~。

ここでふと別の本の内容が頭をよぎる。
まだ読みはじめたばりなのでアレですけども・・・・

エチオピアの農村社会では弱者よりも、富む者がヘイトを買う。
ターゲットは収穫高が多かった家や、いきなり羽振りが良くなった人たちだ。
彼らは妬まれ、恨まれ、悪評を流され、親戚や隣近所の者達から具体的に呪われる。畑から呪いグッズが出てきて「ひいいいいいッッ!!」とかなるらしい(エチオピア社会には本気の呪術師さんが健在している)。

一方、エチオピアの弱者は強気だ。いきなりアポなしでやってきて「息子が病気なの。とうもろこしを頂戴」って言えば簡単に食べ物をわけてもらえる。場合によっては「量が少ない!」とか文句言ってきたりして、非常~~に図々しい。

なんでこんなことになるのかといったら、弱者のバックにはアッラーの神様がついているから。

昨日のこの本にも書いてあったんだけどーーー

イスラム教徒の五行(イスラム教徒の義務)

一つ。信仰の告白。「アッラーのほかに神はいません」「ムハンマドはアッラーの使徒です」と必ず唱える。
二つ。一日に五回、メッカに向かって礼拝する。
三つ。貧しい人を救うために「施し」をする。
四つ。イスラム暦の第九月(ラマダーン月)の一か月間は、日の出から日没まで断食をする。
五つ。余裕があれば、一生に一度は聖地メッカに巡礼する。

イスラム教では、『施し』=『神様から課せられた義務』らしく、怠ると天国へ行けなくなるのだそう。

なるほどね〜〜。そらー叩けません。恐ろしくって笑


日本では立場の弱い者が、エチオピアでは富む者がバッシングされる。
叩きやすいところを叩くのも、『得をした誰か』を許せないのも一緒だねえ・・・・。

長くなりそうなので分割。
今日はおしまい。


7/200 2024.1.9.

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