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【エッセイ】 空とぶ座布団

 ムササビがおり、巣箱の大きいものの、その入り口が囓られる。

 それが円の縁を修飾するというように、ノミ跡ならぬ、歯跡を付け、綺麗にぐるりとしてあるもので、何が気に入らなかったのか、はたまた気に入ったものか、覗かないので分からない。

 このムササビというもの、生きてたものを見たことはないが、剥製などを見てみると、座布団くらいの大きさになるもので、こんなものが木間を飛んでいるのだと、そう思うたびに奇妙である。

 また、ムササビの子の小さいもの、高い木から落ちたものの死骸を見つけ、これがいずれは座布団のようになったのだと、思うときには切ないものだ。

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