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そっぽを向いたヒマワリ

 ミツバチを呼ぶには、花もあればあるだけいいということで、花壇など作り、種を蒔き、球根を植える。

 特に養蜂をするつもりもないが、ミツバチがとにかく好きだという人の来て、巣箱を置いて去って行くのに、こちらもできるだけの援護をしようと、額に汗したわけである。

 それが大きな掃き出し窓から見える場所、ひまわりなどがすくすく育てば、なかなか見ていて楽しいもので、隙間もなければ間引いてやり、台風が来ると知れば倒れぬように囲ってやり、とうとう蕾が付き出す頃には、すっかり花を楽しみにしている。

 しかし、いよいよ花が開いて気がついた、あの大きな黄色いひまわりは、殊に太陽が好きと見え、花の向きは逆方向、揃って窓からそっぽを向いて、人が見るのは面白くもない後ろ頭、端からミツバチのためとはいえど、どうにも裏切られてしまったような、そんな哀れな気分である。

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