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新米フォスター奮闘記3:マライア②

土曜日午後2時過ぎにレスキューからドロップされた際、「臭いがあるから、洗ってあげてね。」と言われたので、軽くご飯とお水を与え、少し落ち着いたかなと思った頃、シャンプーをしてあげることにした。

だが・・・どうやら、生まれてからこの方、水に濡れる経験がなかったらしく、異常に怖がり、暴れまくるは、しがみついてくる。爪は一度も切られたことも、コンクリートの上を歩いた経験もないらしく、先が尖ったままだ。ぎゅっとしがみつかれるだけで痛い。相方は、Tシャツ着たままの抱っこ状態でシャワーで泡を洗い流すことになり、ずぶ濡れ&引っ掻き傷の満身創痍である。

”まぁ、それでも凶暴になって噛んでこない良い仔。”

そう思える自分たちがいた。

抱っこ

爪もパチパチと切り、少し、絡みつかれてもマシになった。

だが、甘噛みがすごい。歯が痒いのだろう。家具、靴、ソファー、私たちの手足、はたまたは脇腹を噛んでくる。時には、思わず「イタっ!」と叫び声をあげる程である。大型犬のパピ、すごいパワー。本人(本犬)は、戯れているつもりなのだ。

小型犬しか飼ったことのないが、小型犬並みの大きさだからと引き受けた大型犬の仔犬が、実は全く違うレベルの生き物だと改めて認識した。

ちなみに、このセカンドチャンスレスキューは老舗の大きなレスキュー団体で、ものすごくオーガナイズされた組織だ。その分、色んな規定があり、「最初の1週間は、クレートや部屋の中で慣らすこと」「散歩にはダブルリーシュ(リーシュを2本つける)を用いる。」などがある。

それもあるし、パピーはほとんど寝ているものと思っていたので、1週間はお家の中で過ごすものと予定していた。

だが、マライア、全く、寝ない。

そして、クレートに入れて、ドアを閉めると、めちゃくちゃ響く高音で鳴き続ける。アパートの隣人からクレームが来たらまずい。

レスキューのスタッフに相談メッセージを送ると、速攻、返信がきた。

「1日中狭いクレートにいて車で移動して来たから、エネルギーが鬱積しているのよ。外に連れ出して、ロングウォークしてあげて。仔犬はものすごい勢いで遊んで、ぱったりと眠るから。」

え?外に出していいの?散歩、オッケーなの?

もらっていたインストラクションと違うので確認すると、「ワクチン全部終わっているから大丈夫よ。」と。

そっか、それならば、ロングウォークするか。

と、相方とマライヤを連れて、外に出た。地面に置く。

全く、歩かない。

南部の田舎からやってきたマライヤは、コンクリートの地面も車のトラフィック音も初めてで怖いのだ。

「大丈夫だよ、大丈夫だよ、ゆっくり歩いてみようね。」

と、宥めるが、壁の方にささっと寄って、じっとしている。

仕方なく、抱っこして散歩する。

ほら、鳥さんもいるよ。空が綺麗だね。なーんて話しかけながら。

そんな散歩を何度もして、アパートの部屋に戻る。

だが、マライア、やっぱり寝ない。

で、部屋では大騒ぎの、超内弁慶ぶりを発揮し続けるのであった。

(つづく)

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