一緒にやってみる

ふと、ある時、思った。
それって、そんなに楽しいの？と。

その、”それ”とは、犬が、よくやる行動の一つで、ひっくり返って、ゴロンゴロンする仕草だ。芝生の上やベッド、乾燥機から出した洗濯物の山の上などなどで、嬉しそうにゴロンゴロンしているのをいつも微笑ましく見ていていた。先住犬のコーディもよくその仕草をやっていて、私は、それを”コーディダンス”と名づけ、コーディが、ゴロンゴロンする度に、🎵コディダンス、コディダンス、コディダンス、Boo!♩と歌まで添えていた。

その仕草を、何年も、”犬って、ホント、面白いなぁ”、と、あくまでも人目線でしか見ていなかったのだが、ふと、これって犬だけが楽しいと感じる行為なのだろう？と思い始めた。だって、朝起きて、伸びしたりって、犬も人間もやる共通の仕草だが、最高に気持ちが良いではないか。つまり、このゴロンゴロンって、人間がやっても楽しいのではないだろうか？
と、思ったのだ。

ある朝、実践してみた。
目覚ましが鳴る。ベッドの中から胡桃が這い出て、床におり、伸びをする。
私も、上半身だけ起こして、目覚ましを止め、伸びをする。
そして、徐に、掛け布団から這い出て、そのまま、ゴロンと仰向けになり、天井を見ながら、ゴロンゴロンとしてみた。
うわー、なんか、味わったことのない感覚。なんだこれーって、思っていたら、胡桃がベッドにジャンプして戻ってきて、いきなり、ゴロンゴロンする私にくっつきながら、匍匐前進状態でグルグルと私の身体に沿うように周り始めた。くすぐったいような、ワクワクするような感覚。何これめっちゃ、楽しい！胡桃を見ると、やはり、めっちゃ楽しそうに笑ってる。
私の頭の周りを、グルングルンと身体を回転させながら、匍匐前進する胡桃と、うわーっ！と小さく叫びながら、ゴロンゴロンする私。

時間にして1分間程度。

あー、楽しかった。

と、一人と一匹で、ベッドから降り、朝の支度をしにリビングに移動した。

その時に思った。
朝起きたら、まず、あれやって、これやって、と頭の中で、今日のやらないといけないことを整理して行動することばかりに集中していたけど、その前に、1分ぐらい、こんな馬鹿馬鹿しい時間を持っても良い気がした。

だって、この馬鹿馬鹿しい時間が、幸せな時間だったりするんだから。