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エッセイ:ぜんぶ

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愛犬の話、ニューヨークの話、ランニングの話などなど、その時々の気になったことをつらづらと書いています。
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2022年7月の記事一覧

「小説」セントラルパークランナーズ(70歳・男性)

いつの間にかNYに着て45年も経っていました。正直、いつ自分がこんなに歳を取っていたのかと思います。因みに、ランナー歴はもう37、8年でしょうか。その間、多くの新顔の日本人ランナーさんが、セントラルパークに現れ、そして、去っていきました。今、よくパークで会うランナーさんはここ数年前からの知り合い。つまり、還暦を超えた私しか知らないランナーさんばかりです。多くは私よりずっと年下で、走りも伸び盛り。そんな人達に混じって走っていると、ちょっと寂しいような、悔しいような気持ちと同時に

「小説」セントラルパークランナーズ(55歳・女性)

私の羽は折れてしまったのかしら。 5年程前までは、それこそ、”飛ぶように走る”と言われていたのに。 50歳を超えた途端、急に自分の身体が自分の身体じゃなくなったように感じ始めた。世間一般な言い方では、”更年期障害”というものなのだろう。ホットフラッシュ、倦怠感は日常的にあり、それはそれで辛いが、ランナーとして、一番キツいのは、走っている間の体温調節がうまくできなくなったことだ。 大して暑くもない気温のレースでも、1マイルを過ぎた頃には、体温が一気に上昇し、息が上がる。寒い時