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エッセイ:ぜんぶ

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愛犬の話、ニューヨークの話、ランニングの話などなど、その時々の気になったことをつらづらと書いています。
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2022年5月の記事一覧

「小説」セントラルパークランナーズ(43歳・男性)

彼のガッツポーズを喜べない自分がいた。 半年前まで俺が彼にランニングなるものを教えていた。彼は、職場同様、俺のアドバイスに素直に従い、更に自分なりの工夫を加え、どんどん進化していった。俺の8つ下の会社の後輩・八代は35歳。奴の打てば響く肉体が羨ましい。そして、そんな風に感じてしまう自分が受け入れ難い。 「お、八代、やったな。遂に10キロレース、45分切りか。走り始めて、まだ、半年ですごい成長じゃないか。八代はランニングの才能があるから、もっと伸びるよ。」 だから、敢えて

まだまだ知らない世界は存在する

14年前、つまり2008年4月に、初めてランニングレースなるものに参加した。セントラルパークの4マイル(6.4キロ)レースで、確か日曜日に開催だったと記憶している。 ただ走るなんて、世界で一番つまらないスポーツだと思っていたし、週末は深夜まで友達と飲みに行ったりが”当たり前”だと信じていた自分は、レース当日、早朝のセントラルパークに行き、愕然とした。 「えー!何、この人混み!!何でこんな朝っぱらから、こんなにセントラルパークに集まっているの??みんな、そんなに週末の朝っぱら

私と保護犬くるみの物語:わたし㉘”可愛いを100回”

くるみがどんどんオトナ(成犬)に近づいていく。 ヘニャヘニャしていた身体が、ガッチリしっかりしてきた。 顔つきが精悍になってきた。 無駄な動きが減ってきた。(無駄にエネルギーを消費するとお腹が減るのを理解してきたのであろう。) そして、何より、散歩中、「あら、パピー(仔犬)?可愛いわね〜💗」と言われることがほぼ無くなった。 くるみの方は、すれ違う人にそう言われると思って、尻尾を振って、”あたちの方は準備オッケーですっ!”とナデナデされるのを待ち構えてたりする。 で、スー