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「校長推薦取り消し、第一志望受験不合格・・・それでも最後につかんだ合格通知!」

吹く風が寒くなり、志望校決定のための三者面談の時期になりました。
昨日、中3生の面談で、同級生30人近くが何かのお祝いの会でお酒を飲んだために、学校で大きな問題になっているという話がありました。
うちの塾の生徒は、その中に入っていないようでしたが(さすがにそんな生徒はいませんが・・・笑)

学校は、対応に苦慮していることだと思います。
それぞれの家庭に、それぞれの教育方針があるわけですが、最低限度のルールだったり,ある意味の常識的な行動が、分からなくなってきているかもしれないと思いました。

電車に乗っているとき、優先席に真っ先に座ろうとする子供たち・・・
それを当たり前のように見ている親御さんなど
また、受験のストレスから、同級生をいじめたり、傷つけたり・・・
生徒たちを取り巻く環境も、大きく変化している実感があります。

それに加えて、経済不況の波は、受験の常識まで変えようとしているかのように感じています。推薦入試や、ランクを下げて、絶対に合格できる学校を志望する傾向など・・・

ちょっと前の事になりますが、飲酒というキーワードで思いだす入試がありました。

「決まっていた校長推薦が取り消しになってしまいました。どうしたらいいでしょうか?」という電話が、そもそもの始まりでした。

それは、私の弟が2年間家庭教師をしていた中3の女の子が今年、私立K高校を推薦入試で受験する予定だったそうですが(今の入試制度であれば、校長推薦であえば、面接だけで必ず合格できます)今年のお正月に友達の家で、勧められたお酒を飲んでしまった事を後日、中学校の校長先生が知り、その場にいた5人は私立高校の推薦を全員取り消しになったという事でした。

既に高校に提出されていた推薦書を、わざわざ取り下げするという、前代未聞の事でした。(先日、テレビの金八先生で、そんなシーンがありました・・・)

私は、そのK高校の校長先生をはじめ入試担当の先生をよく知っていたので、すぐに電話をして、再度受験する事ができないかどうか・・・?いろいろ手を尽くしましたが、結果は第一志望で受験しても、合格点を取れなければ保証は出来ないという事に変わりはありませんでした。

その中3の女の子は、いまどき珍しいぐらい本当に真面目でおとなしい生徒でした。それでも、現実は厳しいもので、2月10日、2月11日と2日続けて受験しましたが、いずれも不合格でした。私立K高校しか考えていなかったため、都立高校の願書も出しておらず、後は私立の2次募集という選択しか残っていない状況になってしまいました。

今後に関して、どうするのがベストなのか・・・

ご両親と本人と私で、何度も相談をしました。

少しレベルを下げ必ず合格できるような女子高を受験するか、または今までと同じように男女共学の私立高校の2次募集を受験するか・・・(この場合は、合格点が取れないと、また別の2次募集を受験するか、定時制ということにもなりかねない状況です)

その中で最終的に本人が出した選択は、「それでも夢はあきらめない・・・。どうしても行きたかった男女共学の2次募集の試験を受ける」という事でした。

そして、これが、2次募集の試験3日前のことなのです。
すぐに願書を提出して、過去問を買ってきてもらいました。
過去問を見た私は、一瞬言葉を失いました。
この問題で、300点満点の150点を取らせる事ができるだろうか・・・?

もちろん入試までは、残り3日しかなく、またさらに勉強をするにも、その子の家は私の塾からかけ離れていて、通う事は物理的に難しい状況でした。

それでも、考えている時間などはありません。
すぐにFAXを用意していただき(この時点で、その家庭にはFAXがありませんでした)

そして、その日から、FAXと電話の授業が始まりました。
おとなしい性格と自信がない事が重なって、何度も「え?もう少し大きな声で答えてね・・・。

この問題は、これで分かったかな?どう・・・?」
「・・・はい・・」
そんな会話を繰り返し、私なりに必要な問題、点数が取りやすい問題と必要ない問題つまり残った時間ではとうてい無理だろうという問題を選別しながら、FAX授業を続けました。

そして入試当日
試験が終わって学校を出てすぐに、本人から電話をもらいました。

その声が、今までいろいろ話をしてきた中で、一番明るかったのは、今でも忘れられません。「やった問題がでました!」

発表は翌日でした。
午前10時が発表なのですが、10時40分で、まだ電話がありません。
このときの心境は、毎年ですが本当に複雑なものがあります。
必ず合格できると思いながら、もしだめだったら、次はどうしようか・・・?
そんな思いが交錯する時間なのです。

そして、電話が鳴りました。
「先生、受かりました!」(すこし涙ぐんでいるような、でもほんとうに喜びを隠し切れない声でした)

校長推薦が取り消しにならなければ、こんな辛い1ヶ月を過ごさなくても当たり前のように合格できたのだと思います。
でも彼女は、辛い思いの中で最後まで自分の夢をあきらめなかったから
だから、こんな最高の喜びを感じる事ができたのです。

どん底からの合格!・・・心からエールを贈ります
おめでとう!!

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