見出し画像

夜明けの街

描いた絵と、日記。

No.18 夜明けの街

夜明けの街

今年はとにかく「自分が描きたいと思ったものを描く」をテーマにしています。人の目を気にせず、人が何と言おうと私が描きたいと思った風景を。

これまでもそうしていたつもりでしたが、展示をするとなるとやはりどうしても「いいね」と言われる絵を描きたいと欲が出てしまうものです。それにより、今の自分よりもよく見て貰いたいと意識したような絵を描いていた気もします。いつもの自分なら「そんな構図無理じゃろ」と思うような絵に挑戦してみたりとか。挑戦は悪い事ではないし、それはそれで勉強になったので良いのですが、自分の力以上の物を描くのはやはり大変で、辛い時もありました。

お絵描きって楽しいはずなのにな、と。

絵を描くの大変。面倒くさい。と思い始めるようになった事に気が付いた時「まずい。戻ろう」と思いました。一旦、元の場所に戻ろうと。そして今年はこんな感じになっているのです。

新年になって三ヵ月過ぎた現在どうかというと、お陰様で大変楽しく描いております。そしてふと、以前の自分との違いに気がついたことがあります。

それは、小さいけれど確実に存在を感じる「自信」。

絵を描いていて、途中どうしようか迷う瞬間があるのですが、その時に「大丈夫。私なら描ける」と自分に対する信頼感が手を動かしてくれるのです。これは本当に不思議な感覚で、その都度ちょっとびっくりします。なんだろうこの妙な感覚は…と思うので、正直これまでなかったんだなという事にも同時に気づきました。そして今も驚くべきことに文として書けるのですが、「私なら描ける」のですよ。

自分に対するこの信頼感。不思議な感覚です。

そしてわかるのです。

これは、展示をしてきた期間に育てられたものだと。

多くの方に観て貰えて、応援して貰えて、お金を出して購入して貰えたその期間、知らない内に私の心に自信を植え付けて、水をかけて、栄養を与えて、少しずつ育てて貰ったものだと。もしかしたら与えて貰ったものに対して発育はかなり遅いのかもしれませんけれど。

私が昨年「展示で見て貰える、応援して貰えるのが当然と知らず知らずになってきている自分が嫌だ」と新年はあまり表に出ずに引きこもる宣言をしましたが、今思うとそれは自信が育ってきていた期間で、私にはすごく必要なものだったのかもしれません。

上記の自己嫌悪は正直今でも変わりませんが、今この小さな自信と共に絵を描けるのはとても嬉しいし楽しいです。皆さんが授けて下さったものです。

どうもありがとうございます。

さて私は今2つ展示が控えていて、事前にこんな事言うのも何ですが、「人が何と言おうと自分が描きたいと思ったものを描く」気持ちは崩さず、そうして描いたものを展示して貰える機会として参加しようと思って現在制作中です。大変楽しく描いております。

お絵描きは楽しい。そして、自分なら描ける。

今の私はこのふたつの気持ちを手に入れています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?