批判するのは簡単、それまでの努力を讃えることも大事じゃない?
韓国のガールズグループ「LE SSERAFIM」が、アメリカのカリフォルニア州で開催された「コーチェラ・フェスティバル (Coachella Festival)」に出演しました。
コーチェラは毎年60万人以上の観客を動員する世界的な野外音楽イベントで、韓国のグループでは過去に BLACKPINK も出演しています。
そんな世界的イベントに、デビューから2年足らずで "最短出演" を果たした LE SSERAFIM ですが、その舞台パフォーマンスには韓国国内で批判の声も多いようです。特に、メンバーの歌唱力に苦言を呈すものが多く、SNS ではそれを指摘するかのような動画が拡散されたりして、さらに物議を醸しています。
まず、断っておくと、僕は K-POP が好きだし、LE SSERAFIM のファンでもあります。なので、この記事に書く内容には贔屓目もあるかもしれません。
まず、問題となっている歌唱力について。SNS などで拡散されている動画をみると、確かに音程が上手く取れていなかったり、声量が音源に負けてしまっている場面もありました。
彼女たちの楽曲パフォーマンスは、ダンスも激しいものが多く、難易度の高いものが多い印象です。もちろん、これをこなしてこそ "プロ" だと言えるので、ライブパフォーマンスを十分に発揮できなかったと考えると、彼女たちの実力不足も否めません。
ただ、拡散されている動画を見ると、明らかに音程が外れている部分だけを切り取っているものも多く、それを持って全体のパフォーマンスを評価するのは少し違うと思います。彼女たちのパフォーマンス全体を見れば、優れている箇所もたくさんありましたし、個人的にはそこまで批判に晒されるような内容でもなかったような印象でした。
もう少し肯定的に表現すれば、こういった音程の乱れなどもある意味ライブパフォーマンスの醍醐味であるような気もしています。AIが完璧にも思えるようなものを簡単に生み出せるような現代において、生身の人間の生のパフォーマンスというのは、一度限りの体験としての価値は十分にあるでしょう。
また、会場の雰囲気を見ても、観客の合唱も起こるなど、大盛り上がりのステージになっていました。海外メディアも全体的に好意的な捉え方をしていて、Billboard は「コーチェラ2日目の中で最高の瞬間の一つだった」と表現していますし、MTV UK の公式Xでは「LE SSERAFIM we’re going straight to victory!(勝利に向かって一直線だ!)」と表現しています。
では、韓国国内での対照的な反応はなぜなのでしょう?
韓国では、K-POP を国家の一大産業だと位置付けている面があります。日本とは違い、最初から海外を見据えたグローバルグループに育てるという意識も強く、特に日本はそのターゲット市場にもなっています。
そのためには、やはり実力が重視される面が強く、ガールズグループやアイドルと言っても、歌唱力が重要視される傾向が強いようです。これはあくまでも僕の主観ですが、全体的に見ても、日本のガールズグループよりも、韓国のガールズグループの方が歌唱力は長けていると感じることも多いです(あ、僕は日本のアイドルとかも好きなので、批判しているわけではありません。日本には日本の売り方、韓国には韓国の売り方がある、というだけの話です)
こうした風潮もあって、少しでも実力不足だと感じられることがあると、一気に批判の嵐になるわけです。それが今回のざっくりした事の流れ、海外での反応との温度差なのだと思っています。
もちろん、これだけの世界的イベントになると、どんなアーティストでも賞賛だけで終わることはないでしょう。アンチだっているでしょうし、専門的な観点から冷静に見る人、感情的に見る人だっているでしょう。なので、大なり小なり批判の声が上がるのはある意味で必然とも言えます。
だた、彼女たちの舞台が無駄だった、恥晒しだったかというとそうではないと思っていて、これだけの舞台に立つために努力を惜しまず準備をしてきただろうし、緊張だってあったかもしれません。それでも逃げずにステージに立ち、パフォーマンスを成し遂げたことには確かな価値があるでしょう。
批判の声を受けてか、メンバーの SAKURA が講演後に「Weverse」に投稿した文章にも表れていると思います。
さらに、このように評価するような声もあります。
何かを批判するのは簡単です。それでも、その裏にある努力や苦悩を慮って正当に評価してあげることも大切なんじゃないかと思うんですよね。「甘やかせ」という意味ではなく、批判の声も受けながら成長していくこと自体を応援してあげられるのが幸せなことなのかなと。
彼女たちには、今回のことを糧にもっともっと偉大なグループになってほしいですし、僕は変わらずに応援し続けるつもりです。
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