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悪夢

状況を理解するために物陰から様子を窺う。僕はあの老人教師の助手、らしい。あそこにいる15人の小学生が僕の受け持ちの児童、らしい。

その放課後。「明日の3限に、ウチのクラスの半数を殺そうと思っているんだけど、黒ちゃん計画してくれない?」老人教師が唐突に僕に言う。動揺してたっぷり5分悩み――「そんなことはできません」・・・できるわけがない。老人教師がそれ以上押してくることはなかった。実行を諦めたかに見えた。

次の日。老人教師はあの話の後声をかけてくることもないが、僕は助手として後ろから子供たちを見守る。そして3限目。

3名の親らしき女性が談笑しながら参観している。いつもと変わらぬ授業の中、僕のクラスの児童とほぼ同数の小学生が、何やら踊りながら入ってきて教室の四方を埋める。老人教師もクラスの児童も誰一人気にすることなく――まるで僕一人が気が付いているように――授業は進む。取り囲んでいる子供たちの手になにやらきらりと光るものを確認した僕がその正体を知るまでには1秒とかからなかった。

包丁を持った子供たち――もしや。

と唐突に、目の端にきらりと表示されるカウントダウン。

10,9,8,7,6,

――耐えられない。

とっさに身を隠し、

轟く悲鳴と破壊音。

目が覚める。身体が震えている。今もう一度眠ったら、惨状を目に焼き付けることになる。そう思わざるを得ず、しばらくは闇の中に身体を横たえていることしかできなかった。

ところでこの流血事態に、授業を見ていた3人の女性が「まぁこんなこともあるよね」と笑い合っていたのはいつの夢の記憶だろうか。個人的にこのシーンが一番怖かった。


最近見た悪夢の話。あまりにも強烈で、自分の中にとどめておくことがつらかったので文章にしてみました。なんか『悪の教典』みたいですね。

最近暑くなってきて、うまく眠れなくなってきた気がします。皆様も体調にはお気をつけくださいね。

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