安倍晋三の2020年2月17日予算委員会における虚偽答弁のまとめ(その1・辻元質疑編)

はじめに

安倍晋三前総理大臣の後援会が「桜を見る会・前夜祭」において政治資金規正法および公職選挙法に違反した嫌疑に関し、巷間伝わるところによれば、安倍はすべての責任を秘書になすりつけ、自らは知らぬ存ぜぬを通し罪を免れるつもりらしい。憤懣やるかたない思いであるが、これがまかり通るのが現在の日本政治の状況でもあるので、驚きもあまりないところが本音である。

既に報道でも流れていることではあるが、その虚偽答弁の仔細について簡単に、かつ詳細にまとまった記事を探すのはそれなりに労力を要するようだ。というわけで、自分でまとめようと思った次第である。

虚偽答弁は多岐にわたるが、このnoteでは2020年2月17日衆議院予算委員会における質疑で発生したものに限る。ソースは当日の衆議院・予算委員会議事録「衆議院インターネット審議中継」のビデオライブラリにおける立憲民主党・辻元清美、無所属・小川淳也、国民民主党・奥野総一郎(いずれも当時)による質疑である。

以下には議事録の抜粋画像と要約を載せる。画像の赤い網掛け部分が虚偽答弁である。

辻元清美委員質問における虚偽答弁 その1

辻元1

辻元委員は『桜を見る会・前夜祭の問題は、ホテルから出された領収書と明細書を見せれば終わる話』と安倍総理に迫る。

しかし、安倍は『ホテル側から見積書等の発行はなかった』『参加者一人当たり五千円という価格については、(中略)ホテル側が設定した価格』『安倍事務所の職員が一人五千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、(中略)安倍事務所には一切収支は発生していない』と虚偽答弁を重ねた。

辻元2

辻元『ホテル側から明細書の発行はなかったのか』という質問に対し、安倍『ホテル側から安倍事務所に対する明細書の提示はなかった』(虚偽答弁)。

辻元『宛名のない領収書を配るようなことをホテル側がしたのか』。税法上は宛名のないものは領収書とは認められず、したがってホテルのような信用が大事な業種ではあってはならないことであり、必ず宛名を書く。

しかし、ここでも安倍は『ホテルの担当者が金額を手書きし、宛名は空欄であった』ホテルの不法行為を主張し、自らは問題ないとホテルに責任転嫁までしている。

辻元3

辻元は『明細書はホテルからもらっていない、宛名のない領収書をホテルが発行した(などが)事実でなければ責任を取るのか?』と詰める。

それに対して安倍は『私がここで総理大臣として答弁するということについては、全ての発言が責任を伴う』と答弁。いつもの口だけ責任なのだが、このときは完全にホテルは抑えたと確信している安倍は調子に乗りに乗っている。

辻元清美委員質問における虚偽答弁 その2

実はここまでは辻元委員にとってはいわば前フリの質問で、安倍から「嘘をついていたら責任を取る」という言質をとるためのもの。ここからは全日空ホテルからの回答という爆弾を突き付けた質問になる。

結論から言うと、このときはこのあと全日空ホテルが口をつぐんで逃げ出したために安倍のクビをとることはできなかったが、今になって甦るのだから「桜は散ってなかった」という気持ちにもなるのだろう。

以下は全日空ホテルからの回答メールを元に安倍を追及する辻元の質問である。

辻元4

ここからは、辻元清美が「ANAインターコンチネンタルホテル東京」通称「全日空ホテル」にメールで問い合わせ、その文書による回答を元にした質疑になる。

まず、辻元は全日空ホテルに『見積書や請求明細書を発行しないケースが2013年以降これまで(2020年2月まで)にあったか?』と問い合わせ、前任空ホテルが『ございません』と回答した事実を安倍に突きつける。

しかし、安倍は『明細書はいただいていない』と虚偽答弁を続ける。

辻元5

さらに全日空ホテルは『ホテル側が金額を手書きし、宛名は空欄の領収書を発行したことはない』と回答。

それに対し、安倍は『全日空側は宛名なしの領収書を発行したということで間違いはございません』と虚偽答弁

安倍にとってはこの程度の嘘をつくことは呼吸するようなものである。まさに嘘の呼吸。

辻元6

さらに、全日空ホテルは安倍が主張するような『(2013年以降)数百人規模の宴会・パーティで、代金を参加者個人一人一人から会費形式で受け取ったことはない』と回答。

それに対し、安倍は『ホテル側との合意に基づいて、(参加者個人一人一人から会費形式で受け取る形式で)ホテル側への支払いがなされた。これは、ニューオータニにおきましても全日空(ホテル)におきましても同じ』と虚偽答弁。

辻元7

最後に、安倍が虚偽答弁を国会で繰り返していたこととこれが政治資金規正法違反の疑いが濃厚であることを指摘し、午前の答弁を終えている。

辻元清美委員の質疑への虚偽答弁まとめ

辻元委員の質問に対する安倍総理の虚偽答弁をまとめると次のようになる:

・全日空ホテル側から見積書等の発行はなかった
・参加者一人当たり五千円という価格については全日空ホテルが設定した価格
・安倍事務所に収支は発生していない
・全日空ホテル側から安倍事務所に対する明細書の提示はなかった
・全日空ホテルの担当者が金額を手書きし、宛名は空欄であった

全日空ホテルは上記の答弁全てを否定する回答を辻元委員および毎日新聞に対して文書で示している。また、安倍総理は

『私がここで総理大臣として答弁するということについては、全ての発言が責任を伴う』

と発言し、秘書がやったことだから自身の責任が免れるわけではないことを自ら宣言もしている。

この質疑の後、昼休憩の間に安倍事務所は全日空ホテルと打ち合わせを行い、午後の部の小川・奥野両委員の質疑に臨むわけだが、その答弁については次のnoteでまとめたい。

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