「これ、ヤダ」 小さい子どもが、白い皿に映える濃い緑色のブロッコリーを隅に追いやる。お母さんは、食べないと大きくなれないよ、と諭す。子どもはそんなことは知ったこっちゃない、と言わんばかりに口を閉ざす。ブロッコリーは、まだシャキッとしている。 地下鉄の改札口を出て、階段を上がり、すぐそばにあるコンビニへ、一人のサラリーマンが入る。サラリーマンは、おにぎりの棚から昆布と梅干の握りを、隣の棚からサラダの入ったプラスチックの容器を取る。サラダたちはみずみずしく見えた。 東