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超RIZIN.2 朝倉未来vsヴガール・ケラモフ編

5月27日、歌舞伎町タワー前がいつも以上の賑わいであふれていた。

「夏の始まり」を告げるような、白熱したイベントがRIZINから発表される。そのため、会場には多くの人が押し寄せていた。

SNSなどではベラトールの有名選手たちが来日していることが確認されていて、大方の予想はRIZINvsベラトール2だと思われていた。

そんな中、榊原RIZIN社長とベラトールCEO、スコットコーカー氏の挨拶が終わり、対戦カードが発表に驚いた。

今回の超RIZINは、ベラトールとRIZINの対抗戦ではないこと。また、ベラトール側はAJマッキーVSピットブルというビッグカードをこの日本で行うこと。

そして、私も含めRIZINファンにとっての今回のビッグサプライズは、「朝倉未来VSケラモフ」だろう。

榊原社長からその発表がされた時の会場にひときわ大きなどよめきが起こった。

朝倉未来は現在の格闘技界において最も人気と知名度のある選手であり、彼が今のRIZINの人気をけん引してきたと言っても過言ではない。

そんな彼は斎藤裕(初代RIZINフェザー級チャンピオン)、牛久絢太郎(二代目RIZINフェザー級チャンピオン)に続けざまに勝利し、通常であれば、次は現フェザー級チャンピオンのクレベル・コイケとのリマッチが予定調和のようにも思えた。

しかし、このタイミングで組まれたのは、
最もリスクのある「ヴガール・ケラモフ」との対戦だった。

しかも今回本人からの指名だったというのも驚きである。

榊原氏も「こちら側から打診しても、断ってもおかしくない相手」というほど、ケラモフは危険な相手。

そんな相手を自ら指名しての実現したカードで、ファンを納得させるには十分だった。

「格闘技に対して本気のミクルに向き合えたことに感動した」という榊原氏の言葉からしても朝倉未来の本気度がうかがえる。


朝倉未来の本気

vs牛久戦


では、なぜ彼が今までにはないほどに格闘技を本気になっているのか。

恐らく格闘家としての終焉が近いということだろうと私は考えている。それを察している人も少なくはないだろう。

彼は非常にクレバーな選手であり、セルフブランディングにも長けている。ケラモフ戦を迎える時には31歳。今後、身体的にな衰えも想定しているだろう。本人も牛久戦後のインタビューにて「もうトップは目指せないと思ったら引退」と答えていた。

となると、格闘家「朝倉未来」をあと何試合見ることができるのかカウントダウンが始まっているのではないだろうか。

そう言う意味では将来的にチャンピオンになる、もしくはそれに準ずるほどの実力のある選手との対戦の方が、もし仮に負けたとしても失うものを軽減できるのではないかとも考えられる。

一部で騒がれている対平本蓮という選択肢もあったことだろう。
しかし、今の朝倉未来にとってみればメリットがないどころか、もしも負けるようなことがあれば、その時こそ失うものが大きいだろう。そこでケラモフを選択するところが彼のうまいところでもある。

ケラモフとの対戦は朝倉が逃げているという世論の声も多かったことは本人も承知しているだろう。

そこでケラモフを自らが指名し、そんな世論の声やムードを一蹴することができたわけである。

この発表の場に登壇した朝倉未来は、ケラモフを煽るようなことはしなかったが、もうすでに戦闘モードに入っているように感じた。

チャンスを手にしたヴガール・ケラモフ

vs堀江戦


5月の中頃、榊原社長はムサエフやケラモフの故郷であるアゼルバイジャンにいた。朝倉未来からケラモフ戦の指名を受けて、すぐにアゼルバイジャンに向かったと思われる。

ケラモフは斎藤裕戦での敗戦以降、3戦全勝中。また斎藤戦でケラモフの減点があり、判定負けという結果にも納得はしておらず、本人の中では負けたとは思ってないだろう。

そうなると自分こそが、RIZINのタイトルに一番近い存在だと思っているに違いない。世論としてもクレベルとのタイトルマッチをという声が上がっているのも事実だ。

それだけに今年こそはタイトルマッチをという野望を持つのも当然のことであり、それ以下の選手とやることのメリットがないところまで積み上げてきた。

しかし、それが朝倉未来となれば話は変わる。クレベルに勝つこと、チャンピオンベルトを手にして、RIZIN最強の称号を手にすることと同じくらい、いや、それ以上に価値があるのが朝倉未来との一戦だ。

彼を食ってやりたいと思っている選手は山ほどいる中、向こうから対戦要求がくるとは願ってもないチャンスが到来したと思っただろう。アゼルバイジャンでの榊原社長との交渉もさぞスムーズに進んだに違いない。

ケラモフは散打とサンボをバックボーンとする格闘家で、比較的日本人には苦手なタイプだろう。一見すると雑に見える散打仕込みの攻撃も日本の格闘家にはそこまで「免疫」がないのも一因かもしれない。これまでのケラモフ自身の戦績を見ていると日本人キラーといっても過言ではない。

そんなケラモフが朝倉未来との対戦はどのように写っているいるのだろうか。会見からは「朝倉選手はスタンディングでも床でもあらゆる方面で強い選手だと認識しています」とリスペクトはしながらも「3Rが終わるまでにフィニッシュする」と自信をにじませていた。

何れにしても、この一戦の勝者が次のタイトルマッチへの挑戦権を手にすることになるのは間違いないだろう。

奇しくも同じ年に生まれた両者が
この夏、タイトル挑戦権をかけて激突する。





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