見出し画像

絵画と建築のふか~い繋がり【モンドリアンとシュレーダー邸】

引っ越しを大家さんに引き留められているくろにいだ。大家さんは1階、僕は2階に住んでいる。優しくて大好きな大家さんなので心苦しいが、くろにいの引っ越しの意志は固い。
この場を借りて2年分のお礼を言いたい。毎日爆音で音楽流してたのに怒らないでいただきありがとうございました。

今日は絵画と建築の繋がりをテーマに話したいと思う。
紹介する絵画と建築は、ピエト・モンドリアン作の『大きな赤、黄、黒、灰、青色のコンポジション』とヘリット・リートフェルト作の『シュレーダー邸』である。

『大きな赤、黄、黒、灰、青色のコンポジション』 ピエト・モンドリアン 1921
出典:テレビ愛知
『シュレーダー邸』 ヘリット・リートフェルト 1924
出典:Archilovers
『シュレーダー邸』 ヘリット・リートフェルト 1924
出典:Archilovers

建築と絵画は深いつながりがある。建築家が絵描きに転向したり、絵描きが建築家に転向することはよくあることだ。
この絵画と建築には「デ・ステイル」という思想において繋がりがある。

それでは、モンドリアンの絵画とシュレーダー邸を手がかりとして、絵画と建築の「繋がり」について論じていきたいと思う。その前に、そもそも「絵画と建築の違いと共通点は何か?」というところから話していこう。

1. 絵画と建築の「違い」と「共通点」

絵画と建築の違いは、二次元か三次元かということだ。絵画はたいてい紙の上で制作される。建築は地面に床をつくり柱や壁を立てる。
また、建築は彫刻とも異なる。建築は三次元の中で人間の生活が営まれる。これが絵画と建築の違いである(彫刻との違いも言ったけど!)。

それでは「共通点」を見ていこう。
共通点は、絵画も建築も同じ「表現」という大きな括りの中で語ることができるという点だ。「表現」とはすなわち、伝えるための「媒体」である。
媒体はなんでもOK。直接言葉で伝えてもいいし、歌詞に想いを乗せて歌っても良い。ダンスでもいいし絵で伝えてもいい。
そして、たくさんの表現方法を整理していくと面白いことが分かってくる。それはダンスや絵画のように表現が抽象的になればなるほど相手の解釈に委ねられる比重が増えるということだ。表現が独り歩きする。
自分の思想(意図)とは異なる解釈を受け手側がする。
表現には決まった手法もないし解釈もないのだ。自分の目で作品を観て、自分で考えて解釈して楽しめばいい。

それでは、モンドリアンとシュレダー邸はどのような思想・表現を目指したのだろうか? ヒントは「デ・ステイル」という概念にある。

2. デ・ステイル

デ・ステイルとは雑誌の名前である。オランダ語で『様式』という意味。雑誌(デ・ステイル)を通じてオランダのロッテルダムを中心に芸術運動が生まれた。この芸術運動が後にデ・ステイルと呼ばれるようになった。

デ・ステイルの芸術運動は何を目指したものだったのだろうか?
20世紀初頭に各地で芸術運動が起こった。新しい表現がいたるところで模索された。例えばフォービズムやキュビズム、表現主義だ。
デ・ステイルは様々な表現方法が溢れる中で、どのような表現であれば世界の人々に受け入れられるかを模索した。
そこで手法として採用されたのが、「直線」と直線によって生み出される「面」(直線を直角に4本重ねると面になる)と「三原色(赤・黄・青)、黒、白」である。単純な構成で、分かりやすく、誰もが馴染み深く、受け入れられやすい表現を目指したのであった。

3. モンドリアンとシュレーダー邸

モンドリアンは、デ・ステイルの思想を絵画で表現した。
シュレーダー邸は、デ・ステイルの思想を建築で表現したものだ。

冒頭の写真を見て欲しい。
モンドリアンの絵画はデ・ステイルの手法を全面に押し出している。

シュレーダー邸は窓枠(サッシ)を極力直線として見せるよう努めていることが分かる。また、壁を面として見せるような表現をしている。
内観は三原色の色合いがより顕著になっている。天井から吊られている2本のライトはそれぞれ水平と鉛直に配されておりクロスして見せるにする徹底ぶりである。

以上、モンドリアンの絵画とシュレーダー邸の繋がりである。
双方はデ・ステイルという思想の部分で繋がっていた。

これらのことから分かることは、絵画や建築には、バックグランドに作者の思想や想い等が隠れているということだ。
それらの背景を考えながら作品を鑑賞すると、これまでと違う世界が見えるはずである。

以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?