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愛する人を想う気持ちが形になった建築【タージ・マハル】

お久しぶりです。くろにいです。
今日はインド北部のアーグラにある、タージ・マハルについてお話ししたいと思います。
タージ・マハルは1983年に世界遺産に登録されています。世界遺産の中でもこれほど美しい建築はないと言う人もいます。
なぜこれほど美しい建築物が17世紀に建設されたのか?名建築には、その時代の社会性や、建設の発起人の想い、設計者の思想が宿っているものです。
それではその正体を探っていきたいと思います。


結論を申しますと、タージ・マハルは、王様が愛する奥さんのために建てた建築なのです。王様は、奥さんへの愛を言葉や贈り物ではなく、建築で表現しました。

本殿

1. タージ・マハルとは

1631年、ムガル帝国王様シャー・ジャハーンの妻ムムターズ・マハルが子供を出産し亡くなりました。王様の哀しみは深く、心からのものだったそうです。(『タージ・マハル』岩波書店より)
王様は約20年の歳月をかけ、奥さんのためのお墓、タージ・マハルを完成させました。完成には莫大な費用がかかり国家の財政が傾くほどでした。
ちなみに、タージ(Taj)とは、ペルシア語で「王冠」という意味で、マハル(Mahal)とは、奥さんの名前です。
タージ・マハルの正確な用途は、霊廟(mausoleum)になります。日本の古墳のようなものです。

2. 建築の特徴

玉ねぎ型の丸屋根を持つ建物が本殿で、四隅に高さ42mの細長いミナレットが建てられています。

ミナレット

ミナレットとは、信徒に祈祷の時刻を告げるための塔のことです。塔の上から信徒たちに呼びかけます。四隅にミナレットが立つことで、本殿の中心性がより増します。すなわち、視線がより強く本殿に向かうことになります。ミナレットは、建築的にも重要な構成要素となっています。
一説によると、タージ・マハルのミナレットは、若干傾いているそうです。これは、地震が起きてミナレットが倒れた際、本殿を壊さないようにするためだそうです。なので、本殿とは反対方向に傾けて設計されているそうです。

タージ・マハルは建築と外構の全てがシンメトリー(左右対称)で構成されています。本殿をぐるぐる回ると気付くのですが、東西南北どの方向から見ても同じ立面をしており、見え方が徹底されていることが分かります。また、建物の色調は白が基調になっています。

これらの構成はまるで、ムムターズ・マハルの容姿を表しているようにも思えます。シンメトリーな顔立ちで美しい方だったのではないでしょうか?
(※インドでは、肌の色が白い人は美しいという価値観があったそうです。)

壁や柱、屋根は、一見全て大理石で構成されているように見えますが、そのほとんどはラコウリーと呼ばれるレンガと石灰モルタルで構成されていて、表面に大理石を張っています。

そして、タージ・マハルの特徴は、なんといっても装飾です。様々な種類の植物と文字が描かれています。

外壁の装飾


中にはハートマークのようなものもあります。

内装
『タージ・マハル』岩波書店より


ところどころに書かれている文字はコーラン(イスラム教の聖典)の引用文です。

ムムターズ・マハルの墓碑 
『タージ・マハル』岩波書店より

例えば、ムムターズ・マハルの墓碑には、「怖がることはない。心配することはない。前々から約束されていた楽園に入って心ゆくまで楽しむが良い」と刻まれています。『タージ・マハル』岩波書店より

タージ・マハルは、王様の奥さんへの愛を具現化した建築と言えるでしょう。王様はこの建築に「タージ・マハル」と名付けたことにより、現代でもその名前(奥さんの名前)が世界に轟いています。

タージ・マハルを観にきた観光客は、この建築の背景(ストーリー)を知らなくても、その美しさ(王様の奥さん)にうっとりするでしょう。王様はしてやったりだったと思います。こういうところに、建築の力を感じます。

3. さいごに

彼氏(あるいは彼女)に、「僕(私)のことどれくらい愛してるの?」と聞かれた際は、「タージ・マハル造っちゃうくらい愛してるよ」と言えば、愛情の深さが伝わっていいと思います。


以上です。


※トップ画の引用先は以下です


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