最後の猫
page21
今日は初めての月命日
あの子がいない世界にわたしは1か月も生きている
まだ夢でさえ会えていない
いつかあの子のやわらかい毛並みのさわり心地も
あの子のにおいや舐められた時のざらざらした痛みも
私は全部忘れてしまうかもしれない
あの子がいない寂しさや苦しそうな様子を見た時の辛さも
忘れてしまう時が来るかもしれない
自分の感情だって変化してゆくだろう
だから今覚えていること
感じていることを残しておこうと
備忘録として日記のように書いてきた
初めにも書いたがこれは誰かに発信するためのものじゃ無い
ただの私の感情の垂れ流しに過ぎない
それでも読んでくださった方がいるようだ
ほんの少しであっても誰かのお役に立てたのであればいいのだけれど
同じ一族出身の相棒猫は
毛色も性格も違うが顔つきはやはり何となく似ている
この子はあの子じゃない
でも可愛いうちの子で
一緒に暮らす最後の猫だ
私が寝ていると自分だけ取り残されると思うのか
朝起きるのを確かめるようにみょんみょん鳴き続ける
いつも一緒に居たあの子がいないことに
まだ慣れていないらしい
この子はちゃんと老衰と言えるまで元気でいてほしい
その願いが今の自分を支えている
いつかまたあの子のことを書きたくなったら
書くかもしれないし
全然違うことを書くことがあるかもしれないけど
とりあえず、ここまで
追記
あの子が病院で逝ってしまった時
私は茫然としていて先生に
結局何が原因であの子が死ななければならなかったのかを
訊くのを忘れた
改めて訊くことも考えたけれど
それであの子が帰ってくるわけじゃない
あまりにも急激に悪くなっていったから
腫瘍は間違いないと思うし
どの腫瘍だったのかは先生にだってわからないだろう
もしかしたら鼻腔内から始まったものでさえないかもしれない
何であってもあの子の現身はもうない
もう痛くないよね
苦しくないね
うちに来てくれてありがとう
大好き、愛してるよ
あいたい
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?