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最後の猫

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13日の朝
ますます状態が悪くなっているように見えた
薬を何とか飲ませてしばらく時間をおいてから
給餌を始めてみたが口を開けようとしない
今までも嫌がることはあったが
シリンジを入れることさえできないほど
激しい拒否は初めてだった
何とかねじ込ませてゆっくりシリンジを押したが
ほとんどが外に流れ出てしまう
これが辞め時ということなのか?
こんなに嫌がっているのにやっぱり食べてほしいというのは
私の勝手な願いなのだろう

水を飲みに行こうとして何度も倒れ
水入れの前まで何とか行ったがそこでも倒れ
結局飲まないままトイレに入って
そのままトイレに寝転がってしまった

しばらくトイレで寝転んでいたが
また力の入らない足で移動しようと出てきた
どこへ行きたいの?
どこへ行こうとしているの?
まだ行かないで
どこにも行かないでここにいて

呼吸音はやはりほとんどしないが
鼻水はものすごい量出ている
そのドロドロした鼻水を拭いてあげるのも
以前はそこまで嫌がらなかったのに
ここ数日とても嫌がるのは
苦しさとかなり痛みがあるからなのかもしれない
見た目はかなり瘦せたことと
毛にとれない汚れがある以外は
全然変わっていない可愛い顔をしているのに
見えないところでは信じがたい
恐ろしい変化が起こっているのだと思わずにいるのは不可能だ
このまま見た目にも変化が起こってくるのか
これは腫瘍なのかそうでないのか
わかる日は来るのか
あの子はいつまでこの苦しさに耐えなければいけないのか
耐えられるのか
耐えなくていい日が来るのか
でもそれは永遠に別れる日になるだろう
そしてその日を私が決めなくてはいけない時がきたのか?
そんなこと出来そうもないのに…

仕事をしていても全く手についてはいない
何とかやりなれた動作を繰り返しているだけだ
早く帰りたい
何度もカメラをチェックして何とか動きがあることを確認しても
早く帰りたい
明日は休みだから
どうしてこんなに歩けなくなったのか
見てもらって何が原因かわかれば今後の対応を
考えていこう
強制給餌が出来なくなったら入院しかないかもしれないが
入院はさせたくないから通院で何か
出来ることがないか話してみよう

帰宅するとおしっこをした跡があってちょっとだけ安心する
水はたぶん飲んでいない
水分だけでもなんとか取らせたくて
いつもはペーストのキャットフードに
パウダー状のミルク療法食を混ぜたものを給餌していたが
今日は固めに溶いたパウダーだけあげてみることにする

どんな状態であってもあきらめたくなかった


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