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引退しますと言えない理由

*今日はちょっと長くなってしまいました…うまくまとまらない。

引退すると決めた経緯

会社員を辞めてフリーランスになってから動画を作るお仕事を続けてきた。
一連の動画制作を直接ご依頼いただくお仕事や撮影要員としてご依頼いただくお仕事など色々とやってきた。

会社を辞めたのは好きなときに好きな仕事ができるようにという思いからだったので撮影仕事は基本的にすべて受けてきた。
楽しい仕事もたくさんあるし、そうでない仕事も実は多かったりする。

コロナ禍になり撮影仕事は当然のごとく減った。
よく頂くお仕事は音楽アーティストのライブ撮影なのでコロナの影響でライブが開催されないとなれば当然カメラマンの仕事もなくなるのだ。

そんな中、もうカメラマンのお仕事は引退しようと考えたのだ。
正確には「カメラマンとしてご依頼いただくお仕事は引退しよう」だ。

コロナ禍で仕事が減ったというのは引退の主な理由ではない。
なんとなくと言ってしまうと説得力がないので一度その理由をじっくり考えてみた。

引退したいと思った理由

要するに私が引退したいのは「動画を作る人」ではなく「雇われカメラマン」の方なのだ。

いつもご依頼いただくクライアントさんとの仕事は本当に楽しい。
海外のアーティストさんのライブだけでなく国内のアーティストさんのライブ撮影はプロの現場を間近で見られるし、私自身もプロとしてカメラを回しながら撮影の勉強をさせてもらうことができる。
なにより海外・国内のプロのアーティストさんたちの人柄が本当に素晴らしくて毎回毎回本当に学びが多い。

だけど、このお仕事は毎回依頼が来ると「はい!行きます!」と即答できない自分がいるのだ。

クライアントさんはとても気さくで撮影とは別に担当しているお仕事があるにも関わらずカメラチームにもしっかり指示を出してくれるし色々と気を使ってくれる。

それでも即答できない理由はこの仕事を「引退したい」と思う理由にも通じていると思った。

一番モヤモヤしている点は
他のカメラマンが「業界の風」を吹かせるから

私は映像業界に在籍したことがない野良の映像制作者だ。
このクライアントさんのところに集まるカメラマンは皆さん業界人である。
映像業界はチームワークなのかもしれないけれどその業界の風が私は苦手だ。

「こんなの(業界人なら)知ってて当たり前」という雰囲気でものを言ってくることが多いし、「そんなん知らん」私を見下すような態度は何度も取られてきた。郷に入れば郷に従えでわからないことを一つ一つ聞きながら仕事をしたこともある。

休憩に入ればお互いの武勇伝を語りあい褒め合う時間がスタートする。
「〇〇監督と仕事したんですか!すごいですね!」
「え?あのPVの仕事したんですか!」
「次回は〇〇のドラマ撮影でさ〜」
こんな感じである。

「あんた仕事ってどんなもんかわかってないねwどんだけわがままなんだよ」と言われそうであるが、私はこの時間が一番キライだ。
だから基本的には休憩時間は外に出ることにしている。

(ここまで書くと単純に自分のわがままで仕事を引退したいと思っているんだなという気づきがあるなぁ。)

でも、これが一番の理由だ。
だから依頼が来ても「またあの人達来るんだろうなぁ…めんどくさいなぁ」という思いが最初に来てしまう。
行けば結局楽しいんだけど、毎回嫌な気持ちを抱えたまま返事をするのも自分としては気持ちのいいものではないし、撮影自体は楽しくてもそれ以外の時間は本当に楽しくない。

あえてもう一つ理由を挙げるとすれば、撮影状況に関する情報があまりに少ないというものだろう。これは自分の問題。
撮影するアーティストさんの情報は直前までふせられていてもしょうがないというのは理解している。
私はいつもその会場の「搬入口」もしくは「関係者入り口」を自分で検索している。何時集合で!までは言われるがどこから入ればいいのかとか施設の中がどうなっているかまである程度知らないと私は重い腰が上がらない…。

これを生業にしている人たちは会場名を言われれば関係者入り口も施設内の様子も思い浮かぶかもしれないけれど、野良カメラマンの私はその情報を持ち合わせていない。
なので会場について関係者入り口から入ってパスをもらうまではできるけれど控室がどこにあるのか、舞台までのルートはどれかなどわからずに迷いまくることが多い。
これも私にとってはすごくストレスなのだ。
小学校の遠足じゃないんだからそんなの自分で調べたり聞いたりしなよと言われるのは目に見えているけれど、少なくとも誰かに仕事を依頼するときは関係者入り口や会場図は事前に配布してくれると助かるのに。
まあこれが「業界」と言われたらそこまでなんだけど。

ここまで色々書き出すと頭の中が整理されるなぁ‥

結論:私はこの仕事に向いていない!

色々と書き出してみたことで結論が見えてきた。
私はこの仕事に向いてないのだ。

なぜならこの仕事を引退しようと思った理由が

  • 一緒に働く人達の「業界の風」が嫌だ

  • 撮影環境の事前情報が少なすぎる

というものだからだ。
つまり私は「業界に向いてない」のだ。
この仕事に向いてない。

なぜ「引退します」と言えないのか?

そこまで分かっているのになぜクライアントさんに「引退します」と言えないのか?
そこにはサンクコスト(埋没費用)の考え方が当てはまりそうだ。

  • 海外アーティストさんのライブ撮影は本当に楽しい。だからもし依頼が来たらいろいろな事情を我慢してでも参加したい!

  • フリーランス駆け出しの頃に声をかけてくれたクライアントさんに申し訳ない。

  • 撮影するのは楽しいし好きな仕事だ。

こんなワガママな理由で「引退します!」と言えない自分がいる。

なにより「この仕事を断ったとして、今回に限ってなにか次に繋がる大きなチャンスがあるかもしれない」というものすごく下衆な理由で毎回断るか悩んでいるのだ。
だから「引退します」と言えていない。
なんともかっこ悪い理由である。

解決策を考える

解決策を考えてみよう。

一緒に働く人達の「業界の風」が嫌だ

撮影環境の事前情報が少なすぎる

引退しようと思った理由

まずそもそもこの仕事(業界)に向いていないことが分かったので今後は仕事をお断りしよう。
少なくとも今回はお断りしよう。

フリーランス駆け出しの頃に声をかけてくれたクライアントさんに申し訳ない。

引退しますと言えない理由

引退することを伝えないほうがクライアントさんに失礼なのかもしれない。
引退しますという表現ではなく、今後についてお伝えしよう。

海外アーティストさんのライブ撮影は本当に楽しい。だからもし依頼が来たらいろいろな事情を我慢してでも参加したい!

撮影するのは楽しいし好きな仕事だ。

引退しますと言えない理由

撮影すること自体は好きだし続けていきたい。
それならクライアントさんを通さず自分自身で仕事をとってくればいいのでは?
私が尊敬するカメラ仲間は自分で海外のアーティストに撮影することを提案して毎回ライブの撮影に参加している。本当のフリーカメラマンだ。
その人のようになればいいんだ。
むしろそっちのほうが私に向いているかもしれない。

この仕事を断ったとして、今回に限ってなにか次に繋がる大きなチャンスがあるかもしれない

引退しますと言えない理由

今までこの仕事をしてきて大きなチャンスに巡り会えたことはあったか思い返してみる。
海外の有名アーティストさんのバックステージに密着したときに直接連絡先を渡して「撮影が必要になったら連絡します」と言われたことが私を縛り付けているのだと思う。
結局連絡は来ていないのだから、これは大きなチャンスだとは言えないのかもしれない。
フリーランスをやっているとついこういう次に繋がる大きなチャンスにとらわれがちになってしまう。それが私の悪い癖だ。

チャンスが来るときは来るし、来ないときは来ない。
私はチャンスが来そうなときに限ってその仕事を断るタイミングの悪さも持ち合わせているので毎回毎回悩んでしまうのだ。

だけど、チャンスが来るも来ないも結局は自分の実力がないとその先は続かないしそのチャンスが本当に自分のやりたいことである保証はどこにもない。

もうそういうのに期待するのは辞めたほうがいいのかもしれない。
本当に私が必要ならチャンスは向こうからやってくるはずだ。

仕事を断ったくらいで逃げていくチャンスなら必要ないのかもしれない。

そうやって自分に言い聞かせるしかないのだけれど。
「チャンスがあるかもしれない」という理由でモヤモヤするのならそんな理由は最初から考えないほうがいいのだと思う。

新しい流れに乗るには古い流れや執着を捨てたほうが良さそうだ。

上手くまとめられないけれど、今日は自分の心の内を吐き出すということで良しとする。

さあクライアントさんにお断りのメールを送ろう。

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