都市部と地方

都市部と地方

こんにちは。

繁忙期ですこしばかり忙しくしています。

新型コロナの影響は特に都市部で深刻ですね。感染症は人がいないと流行しないので、地方はまだのんきなもんです。4月になってようやくマスクが義務付けられました。しかし獣医師のみ。受付は早くからマスク装着が当たり前のようになされていたのに。経営者(院長)の危機感が足りない、、、!

さて、地方は地方で魅力があるのですが、今日は都市部と地方の違いについて書き記したいと思います。

都会と地方とどちらの勤務医を経験した立場の私からすると、都市部と地方では動物病院のあり方が全く違うことがわかります。

都市での良い動物病院は地方にて良いとは限らず、逆もまた然り。都市部と地方の違いは、以下の2点に集約されるでしょうか

①周囲に著名な獣医師がいる都市部 VS 自分でなんとかするしかない地方

②富裕層の割合が高めな都市部 VS 昔ながらの飼い方を望まれがちな地方

①周辺の動物病院、大学病院の違い

都市部(特に東京)は、近くに全国的に有名な獣医師がゴロゴロいます。

動物医療センターであったり、二次専門の企業病院であったり、特に関東では大学病院への紹介も可能です。

それぞれの飼い主さんに合う、合わないは別にして、獣医療として優れているのは、業界を牽引しているのは間違いなく都市部の二次、三次病院で活躍する彼らです。

彼らに必要な時にきちんと紹介をできる病院が優れていると言えるでしょう。

きちんと紹介する、とは実は難しいことです。

大したことないのに大げさにされても困るし、大ごとなのに自分の病院で引っ張られても困るし、その判断力が1次診療のジェネラリストには求められます。

少なくとも治療がうまくいかない時、セカンドオピニオンを希望してみたら良いと思います。そこで、うちは紹介しない、というスタンスの獣医師は気をつけたほうが良いです。これは地方も一緒かもしれませんが、都市部でこのスタンスはかなり危ないタイプです。

一方、地方では、近くに優れた動物病院施設や獣医師がいないこともあります。

最近の飼い主さんは熱心で、飛行機に乗って治療に向かうような方もいらっしゃいますが、多くの方は県外へ行くことに抵抗を示します。

そこで、自分のところでやりきる必要性が必然的に高くなります。

やったことのない手術、診たことない病気を診る必要があるわけです。

都市部と比較して、地方では院長の獣医師としてのスキルに依存していると思います。

ただ、ある程度のコミュニティが形成されていることが多く、この疾患はこの動物病院へ、この分野はあそこの動物病院へ、と地域で連携していることが多いです。なので困った時は紹介を考えて欲しいですが、地方の動物病院では、ある程度は自分で診るよ、という姿勢や熱意がないと少し頼りないかなと思います。

②飼い主の金銭的余裕の違い

都会で動物を飼うのは大変です。土地の値段は圧倒的に違います。

地方ではペット可のマンション、アパートへ住むこともそんなに難しくないですし、家付き一戸建てに住んでいる方も多いです。

都市部で動物を飼うことと地方で動物を飼うことは難しさが全く違うと思います。

地方で診療していて、金銭的な制限をかけてくる飼い主さんは結構います。

それは当然獣医療を提供するものとして応えないといけない点なので、私はそんな飼い主さんが嫌いではありません。

素直で良いと思いますし、飼い主が不幸になっては一緒にいる動物も浮ばれません。獣医師もこれくらいかかるよと見込みを伝えて、費用がネックになる場合、松竹梅を提案してその中から選んでもらうべきだと思います。

一方、都市部ではお金はいとめをつけないから最良を提案してくれ、とおっしゃられる方は多いです。(そうなると大学などへ紹介することになるのですが、、、)

お金をかけても良いということになると、結果的に治療が同じだとしても、そこに至るまでの検査の頻度や種類が違ってきます。

飼い主の不安(と何か見逃しがあった時に責められる獣医師の不安)を取るためにしっかり検査をしているような感じでしょうか。

例えば、スクリーニング検査という麻酔かける前に行う術前検査も、地方では1万円で済むような簡単なものだったり、若齢の場合は検査しないという動物病院もありましたが、都市部ではどんな時でもフルにスクリーニングでした。

全体の0.1%で発生する疾患や先天性疾患を見つけるための検査が行われているようなものです。本来なら飼い主さんと相談しつつ必要な検査を松竹梅で提案するべきだと思いますが、うちはコレなんで、と提示して断られることも少なかったので、そんな面倒な提案をしていなかったです。丁寧にやればやるだけ時間はかかるし、より飼い主さんを不安にさせてしまう感じです。

これは自分の経験ですが、地方の動物病院で勤務した時期の方が、都市部で勤務するよりも多くの手術を経験させてもらえました。

新しいことへチャレンジする機会が多いです。

勤務医は地方で修行し、都市部で開業、あるいは永久就職(勤務医、専門医として)がいいのではないのかと思っています。

都会ならでは、地方ならでは、それぞれのうまいやり方というものがあります。新型コロナで珍しく都会に比べて地方が有利になっているため、思わず書いてしまいました。

今後は通信技術の進化により、ますます都会と地方の距離の問題がなくなり、情報の格差も、距離の問題もなくなることを期待します。

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