獣医師の質〜知識と技術①〜
こんにちは
獣医師の黒ねこです。
獣医師の質が良い動物病院選びに重要なことは前回お伝えしました。
今回は獣医師の質を決める3つの要素(知識と技術、コミュニケーション能力、人間性)のうち、知識と技術についてお伝えします。
知識と技術について〜その①〜
獣医師の知識と技術にはキリがない
知識と技術は獣医師によりピンキリです。経験が長いから知識や技術がある、とも言い切れず、技術も30代から40代で素晴らしいものを持っている獣医師もたくさんいます。
まず理解していただきたいのは、動物病院で働く獣医師に求められる知識や技術は非常に多く、さらには臨床獣医学とゆうものは日進月歩であるということです。
人であれば、呼吸器科、循環器科、皮膚科、歯科、、、など器官毎に専門性を持って医療を行いますが、獣医師は基本的にすべての器官を対象としています。
診察で予防の話(ワクチン、フィラリアやノミダニ)を行い、皮膚病の犬や下痢の猫、骨折した動物や歯周病の話、がんの末期の動物を診たり、守備範囲がとにかく広いです。
さらには、さまざまな動物種を診ている先生がほとんどです。(最近は猫専門、エキゾチック専門という先生も増えてきています。
飼い主のニーズの変化(もっとよい医療を提供してほしい、お金をかけても構わない)に合わせて、獣医学は日々進化しています。
10年前の流行っていた薬を今ではほとんど使わなくなったり、新しい術式が編み出されたり、日本全国各地で私は今ではこうしています、というセミナーが多数開催されています。
開業し、安定を得た40代〜50代の先生の中には、学会やセミナーに参加しなくなった獣医師も多々見受けられます。(卒業10年くらいのタイミングで、見かける同級生は本当に限られました)
下手したら若い先生の方が知識があります。本当に優秀で良い教育を受けた獣医師が増えています。
知識は勉強すれば良いけど、技術は?
良い技術を持っている獣医師、というのはなおさら限られます。
まだ知識に関しては各々のモチベーション次第で本を読んで勉強したり学会へ参加することで得ることができると思います。
しかし、技術に関しては、人のように症例数が豊富であるわけではありませんので、同じ手術の回数を重ねて経験を積んでいくのは簡単ではありません。
どんなに有名な外科医も、〝初めての手術〟を経験して、それを乗り越えることを繰り返してどんどん自分のできる幅を広げています。多くの獣医師を見てきて、この〝初めての手術〟に対してどんな気持ちで向かうかが、いわゆる外科が向いてる向いてないに大きく影響していると思います。
つまり、ネガティブシンキングで自分に自信がない獣医師であれば、〝初めての手術〟に対して不安な気持ちを抱ているので、基本的に受け身でその機会を慎重に待ちます。手術によっては自分にはできないと決めている獣医師も多いです。
勤務医であれば、院長や先輩獣医師から、あの子にはこの手術は任せれるな、と思われれば2度目以降の手術はどんどん流れてくる可能性が高くなるので、〝初めての手術〟積極的に乗り越えていくことが重要です。
ここは性格や価値観が大きいでしょう。
また、技術に関しては成長した環境も重要です。
・機会があること
・院長や先輩がしっかりとした外科技術を持っていること
この2点が重要です。
小さな病院では症例数は稼げません。そもそも難しい手術に関しては紹介する動物病院も増えていますので、手術を目にすることすらできないかもしれません。
かといって大きな病院でも、上の先生が執刀するだけの病院では幾会がありません。
私の経験ですが、初めて務めた病院はそんなに大きくない病院でしたが院長が任せてくれるタイプで、1年目から多くの外科手術を任せられることがありました。一方で10年目を超えた勤務医がいても外科手術はほとんど院長が行うという病院もありました。
また、素晴らしい技術を持つ先輩に習うことができるかどうか、これは当然重要です。
本当に美味しいものを食べたことがなければ本当に美味しものがわからないのと同じです。
本当に完成された技術を目の当たりにすること、それを真似すること、さらには間違いを訂正してもらうこと、これらは技術の獲得に重要です。
獣医師の知識と技術について、経験年数だけでは判断できないということが分かっていただけたと思います。大事なのはその中身です。
次回は、どうやってその知識や技術の有無を判断するか、お伝えしたいと思います!
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