ダルボスの仕事


勤勉な大男、ダルボスは毎晩決まった時間に作業に入る。

神様からこの役を担って、もう何年間経つだろう。

数を数えるのが得意ではないので、とっくの昔に忘れてしまっていた。

来る日も来る日も同じ事を繰り返す日々。

人が帰路につく頃に無言で支度を始め、たとえ雨の日だって休まない。



見てくれる人がいて、心待にしてくれる人がいて。



たったそれだけが喜びであり、生き甲斐だから。



古く軋む滑車をひたすら動かし続け、今夜も夜空に月を上げる。


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