『しろくまちゃんのほっとけーき』のはなし

『しろくまちゃんのほっとけーき』が小さい頃から大好きでした。
あの、ほっとけーきが焼けていくページは穴が開くほど見つめていました。

母は私のためにたくさんの絵本を買って読んでくれていました。
寝る前にいつも一冊読んでもらい、眠りについていた記憶があります。

私も同じように自分の子供達に絵本を読み、一緒に幸せな時間を過ごしてきました。
不思議なことに私が好きだった絵本を子供達も気に入ってくれて、同じものを何回も何回も読んでいました。

私の家には『しろくまちゃんのほっとけーき』が3冊もあります。
2冊は私のために母が買ってくれたもの、もう1冊は母が私の子供達のために買ってくれたものです。

私が何度も何度も読むので1冊目はボロボロになってしまい、私が好きだからと母が買い直した2冊目と、孫には綺麗な絵本を、と母が買ってくれた3冊目の『しろくまちゃんのほっとけーき』です。

実は1冊目と2冊目で最後のページが違うという衝撃の事実があります。

1冊目の最後のページは「ふたりでおさらをあらいます。ほらあわのほっとけーきだよ」。
2冊目からの最後のページは「ふたりでおさらをあらいます。いっぱいたべたね、おいしかったね」
という違いがあるのです。

ちょうど環境問題が深刻化していた時代だったようで、2冊目からはそのことに配慮した内容になっています。
絵本にもこういう社会問題のようなことを盛り込むんだな、とビックリしました。

母にボロボロの古い方を捨てなかった理由を聞いてみると「いつか違いに気づいてくれたら面白いなと思って」と笑っていました。

母は他にも『はらぺこあおむし』が今、本屋さんに並んでいる新しいものだと色の鮮やかさが違うと話していました。
当時の印刷技術と今ではだいぶん違うだろうな、と思います。
家には私が読んでいたものしかないのですが、本屋さんで『はらぺこあおむし』を確認したところ、最後のページの鮮やかさは格段に違いました。

絵本は大切に扱うとずーっと読めるのでこういう新しい発見に繋がります。
今、うちにある絵本もきっと何十年先にはもっと色鮮やかになっているのかも?今とは違った話になっているかも?と想像すると大切にしようという気持ちになります。

今では子供達も大きくなり絵本を開くことも無くなりましたが、母が買ってくれたたくさんの絵本は私の大切な宝物です。


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