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舞台 『隠し砦の三悪人』 感想

※ 文中の台詞はカギ括弧付でも間違っている可能性があります うろ覚え

※ ⚠ ネタバレ有



【はじめに】

書こうか迷っていたら大阪公演も終わってしまいました……
\大千穐楽、おめでとうございまする〜!!/



↓あらすじ・公演情報はコチラ↓
『隠し砦の三悪人』明治座・公式サイト



原作映画は観たことが無いのですが
・両國宏さん出演
・明治座で観劇してみたい
ということで行ってきました。
(東京公演のみ)


【開演まで】

明治座到着。
わー!でっかーい!!
案内で3階席が実質5階、というのは知ってたけれど!

どどーん!

まずはチケット引換のため受付へ。
この時、会場外の窓口へ行きそうになったことは内緒です
(こっちは当日券の売場。目的の受付はロビー内)。

わー綺麗だなー展示たくさんあるなー
(創業150周年記念関連があった)とキョロキョロしながら客席へ。

席は3階正面エリア。
2階席→3階席は階段です。
1・2階席と比べれば高さがあるし遠いけど、身振りや表情は十分伝わるので問題なし。よ〜く見たい所はオペラグラスを使えばヨシ!

上演中は無数のバミリや昇降装置の中が|д゚)チラッと見えたのも面白かったです。
手すりで見えにくい場面もあったけど、大体何とかなりました。

花道は……下手(客席から向かって左)側のモニターで遠目に見ました。あとは台詞で進行を把握。

そして緞帳。
なんとなんと、絵が……動いてる!なんかガヤガヤ聞こえる!
デジタル!ハイテク!

場内アナウンスによると、文明開化の頃の明治座(当時は喜昇座)周辺を再現しているのだそう。
実際の季節や天気、昼夜も反映しているとのこと。
何度来ても楽しめますねこれ!

どうでもいいですが私の推しメンは、右上の方で突っ立って境内の木を眺めている人です。


開演直前、緞帳の街並みが消えて映し出されたのは……
赤い三日月。
幕間(休憩中)にも出ました。

何だろコレ……?と思ったのですが

月が赤く見えるのは、空気に水蒸気なんかが増えた時のようですが
災害の前兆説だったり、山火事でも赤くなったりするらしいので

秋月にとって不吉な事が起こる暗示かな
火祭りの夜かな
六郎太一行の誰かが、ふと山間に見た月かな
滅亡寸前の秋月家=新月に近い“赤”(※後述)かな

そんなことをボンヤリ思っていました。
まぁ特に答えは無いと思います
_(┐「ε:)_



【登場人物】

やっと幕開け後の話です。

真壁六郎太(上川隆也さん)

手斧に刀に槍、何を手にしても強い。強すぎ。機転も利く。堂々とした佇まい。
味方の誰からも頼りされる“兄貴”。低く響く声が本当に素敵です。
屋台でとろぴかる?な飲み物を飲んだ時のギャップにやられた人は多いはず。

竹林の一騎打ちは特に印象的でした!
(他の方の感想でも絶賛の声が多いですね)
舞台装飾の竹を役者さんたちが不規則に揺らすので、本当に竹林の中で風に揺れる竹笹を聞いているようでした。

さらに舞台が(装置名の通り)お盆のようにぐる〜っと回りながら話が進むので、山名軍の一員になって二人を追いながら闘いを見守っているような……
緊張しつつも面白い場面でした。

冷静な場面が多いキャラクターですが、言わば一行のリーダーだから
肉親の悲報に「涙一つ流さぬ」ことをなじられたとしても。うろたえたり、弱った姿を見せる訳にはいかなかった。
上川さん演ずる六郎太の佇まいから、私はそう受け取りました。


雪姫(小林由依さん)

登場してすぐの辺りでは「右と言えば左、左と言えば……」と評されていて
あまり良くない印象でした(小声)。

……なんですが、砦を出る前、小冬に自らの髪を切って手渡す場面。ここで印象が変わりました。

高い身分とバレないように少し髪を短くした、という側面もあると思いますが。
髪に対する考え方・感じ方も、それを贈る行為の重さも現代とは違うので……

相手の無事を願う気持ち。その人の分身または形見。
自ら刃を入れ差し出す雪姫と、顔を伏して受け取る小冬の姿に考えを改めたのでした。

その後の二人の勇姿は言わずもがな。

第1部終盤、とても印象的な雪姫の歌。
それまで耳が聞こえない口も利けないと思っていた人が歌いだしたら、そりゃ又七じゃなくても、たまげますよね

火祭りの光景を見て、湧き上がった想いが自然と歌になったからこそ、太平やその場にいた人たちの心を揺さぶったんだろうな……と思っています

(第2部でも歌い、そこでは兵衛に大きく影響を与えました。そして……)


秋月の皆さん

・小冬と伊織
立派に、本当に立派に務めを果たした2人。
竹膳と対峙した時や、砦で2人きりになった時の様子など、言いたいことはたくさんありますが
彼らなくして、あのラストシーンには辿り着けなかったと思います。
あまり言葉にできない。

・陽之助と三之丞
六郎太の“命令”を守ってくれて良かった〜〜!
そこまでで絶望的な気持ちになっていたから、何だか救われました。

職業(?)柄、戦う場面が多いですね
あの場面を切り抜けたし、六郎太に鍛えられたという話もありましたし(←思い違いかもしれません)、かなり強いのでは……?

・カメ
雪姫から貰った風車を大切に持っていたり、彼女を庇ったりしていて、身分関係なく慕っていることが伝わってきました

(第1部にて投石で助けに入るカメさんGJ いいぞもっとやれ!)

紅葉の場面で、ちゃんと姿を見せてくれて安心しました。
道中での様子と比べると、所作や立ち振る舞いが洗練されていたように感じました。落ち着いてから誰かに教わったのかな……?


田所兵衛(宇梶剛士さん)

竹膳にこき使われた兵の心情を汲んで労ったり、六郎太と正々堂々勝負しようとしたり、敵であった“小冬”に敬意を示すなど、とても良くできた方だなぁと思います。

先代の山名家当主にも「息子を頼む」と言われていましたし。六郎太との一騎討ちは相手が悪かったものの、強い。名将。

知れば知るほど「竹膳様、どうして彼を頼らなかったの」と言いたくなります……。

晒し首の前で竹膳に物申す場面は、殺陣は無くともすごくハラハラしました。



山名竹膳(佐藤アツヒロさん)

彼はどうして、ああなったんでしょうかね(ああとは何だ)。

先代がいつ亡くなったのかは不明ですが、山名を背負い、色々と不安で、焦っていたのかなぁ……と思っています。きっと敵は秋月だけではないでしょうし。

誰か支えてくれる人が側にいれば……と思ったけど兵衛がいるじゃん。
竹膳様、どうして彼を(略)

鉄砲隊の存在や、彼の煌びやかな装束を見ると、積極的に南蛮文化を取り入れているんですね。超先進的。
(私事ですが観劇した日、明治座のお土産に金平糖を買いました。竹膳様も舶来品の一環で召し上がったのかなー、なんて思いながら食べました)

物語の最後、彼はどうなったのか。山名領はどうなったのか。
明確な表現が無いので、今でもアレコレ思い耽っています。

後日、会見の記事で「彼は原作映画に登場しない(名前と設定はあるけど)」とあってびっくりしました。 リンクはこちら
姿を見せてくれてよかった!



髭武者 (正式名は不明) (両國宏さん) 

ポスターには出ていませんが書かせてください(笑)

第二部で登場する、山名勢の武士。
黒い隈取り、たてがみのような髭。見るからに腕っぷし強そう。
そして手段を選ばなさそう。
山名兵がわらわら出てくる場面でも存在感がありました。
あと退場が激しくてびっくりしました。

竹膳が川辺で視察?の際に一人だけ同行していたので、かなり信頼されているのかなぁ
(兵衛が傷を付けられ干されたタイミングで、彼のポジションに入り込んだのかも?)

竹膳の強硬路線に“賛成”している。他の兵は“従う”感じなのと対照的に。
何となくですが、あくまで「力が全て」という考え方が一致しているだけですかね。身を挺して主君を守ったりはしなさそう。
登場が少ないので、憶測ですが……。

何が言いたいかと言うと
もっと!!活躍が!!見たかったです!!!

あっでもそうすると両國さんの他の役が減っちゃうか



又七(風間俊介さん)&太平(六角精児さん)

みんな大好き百姓コンビ!
……なんですが、実は見ていて一番心が落ち着かない二人でした。

いざという時にしどろもどろになってしまったり
決意がした事がすぐ揺らいでしまったり
etc…

嫌い、とは違うのですが
懸命に生きる彼らを応援しつつも
自分自身の嫌な部分と重ねてしまったのかなー、と思っています。色々と。

また、第2部終盤で
2人が領民に何者だ、と怪しまれてとっさに「旅の百姓です(狼狽)」と答える。
それに対し女性の村人が、当然のように「百姓が旅なんかする訳ねぇ(ねぇべ?)」と言う場面がありました。

それほど重要な台詞じゃない(と言うと難ですが……)のでしょうが

お金と手段さえ工面すれば(大抵の場所は)行ける現代とは違う時代。

一方で六郎太や雪姫、秋月の人々、山名の人々の世界。
幕が上がってからここまで見てきた光景が、頭の中で一気にブワーーッと駆け巡った場面でした。


【その他諸々(小ネタ)】

・赤と青

山名の軍勢は皆、青色を纏っていました。
一方秋月勢。ラストシーンで赤色が舞台装飾と衣装で ドーン!!!!!と出た時に

「そういえば雪姫(お夏)の服にも赤が入ってたな……」
「そういえば秋月の兵も赤い鎧だったような……?」
と思い至りました。

※出演者である高木トモユキさんのブログ記事(8/4『秋月』)に数名の写真が載っています。
朱色っぽいですね。小冬の衣装も赤系統。


・金200貫

一行が運ぶことになる秋月の軍資金「金200貫」について。
登場人物たちの反応で「めちゃめちゃ重い」「すっごい大金」ぐらいは分かるのですが
貫とか匁とかで言われると、普段使わないので見当がつかない(笑)

そこで、調べてみると
 1貫=3.75kg
200貫=750kg でした。

グランドピアノが1台250〜400kg位だそうなので(幅あるなぁ…)
彼らはグランドピアノ2、3台をいっぺんに運んでいたんだなぁ、険しい道をロクに飲み食いせずに、と思うと気が遠くなりそうです。

ちなみに金の価値も知りたかったのですが、当時のレートとか純度とか体積とか調べるのが面倒になったので諦めました…


・風ぐるま

第1部、お祭りにて。ひとりになった雪姫のもとに現れたお面の曲芸師。まさか追手!?と(結構長いこと)身構えていました。

疑ってごめんなさい。楽しませてくれたしイカした方法で風車もくれた、いいお兄さんでした。


・火祭り

軽快に踊る又七
ちょっとドタバタしてる太平
キレッキレで鮮やかで楽しそうな雪姫
(完璧超人と思いきや)何だかぎこちない六郎太
個性が出ていて楽しかったです。


【最後に】

(前段でも書きましたが)
3階席なので、斜め上から舞台を俯瞰するような感じでした。

最序盤の落下、火祭りの焚火、大勢の殺陣、花道のアレヤコレヤ……

3階も楽しかったけれど、1階から見上げる迫力も感じてみたかった、というのが正直な思いです。いつか行ってみたい。
それと、時間が無くて買えなかった明治座のお弁当も食べてみたいです(笑)



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『隠し砦の三悪人』
東京 明治座公演
   2023年7月28日(金) ~ 8月13日(日)  
大阪 新歌舞伎座公演
      8月24日(金) ~27日(日)

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