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東海道五十三次(東京日本橋→京都三条大橋)を歩いた話

残っていた名古屋(宮の渡しの近くの熱田神宮)から京都の三条大橋までを先日、7日間で歩き切り、東海道五十三次を完歩しました。旧東海道区間488kmと旧東海道の舟旅区間(宮の渡し〜桑名七里の渡し間)24kmで合計512kmをトータル24日で歩きました(日あたりの歩数は3万歩〜4万歩)。せっかくですのでその内容を少しだけ紹介します。

1.東京日本橋〜静岡駅 : 2019年11月23日〜12月1日午前
2.静岡駅〜名古屋 : 2020年11月28日午後〜12月6日
3.名古屋〜京都三条大橋 : 2021年11月28日〜12月4日
4.感想

昔から歩くことは好きだったのですが、それでも旧東海道を東京から京都まで歩くというのは結構チャレンジングなことです。しかし、色々考えた結果、時間と元気のある今がチャレンジする適期と思い、下調べや計画検討、予行演習等をしたうえで実行することにしました。

1.東京日本橋〜静岡駅

小雨の降る中、大きなリュックを背負って日本橋を出発。日々の疲れはあるものの小田原までは順調に進みました。しかし、小田原から箱根を目指す日は小雨ではなく普通の雨となりました。道がアスファルトのうちはまだ良かったのですが、途中から石敷きの山道になりました。石敷きとは言っても平坦な石板ではなく、ごつごつの石が色々な方向を向いています。雨に濡れて滑り易く非常に危険な状況でした。足下をしっかり見て慎重にゆっくり一歩一歩進みました。たまに滑りそうになりながらも何とか登り切り、箱根関所近くのホテルに到着しました。ホテルに着いた時はヘトヘトでした。ところが、それから温泉につかったらまさに地獄から天国。酷い疲労が心地よい疲れに変わり実に良い気持ちになりました。苦労して困難な状況を乗り越えると良いことがあるものだなぁと思いました。

翌日は曇で翌々日にようやく快晴となりました。快晴の日の朝は富士市のホテルに宿泊していてホテルの窓からきれいな富士山が見えました。しかし、建物や電線が邪魔をして写真を撮るには適していません。どこか良い場所がないかなと考えていたら、良い場所がひらめき急いでホテルを出発しました。わくわくした気持ちで一生懸命に歩き富士川の橋に到着しました。想像以上の絶景に感動しました。その時の感動は、苦労して長い道のりを歩いて来た結果という付加価値が加味された素晴らしいものでした。

毎日20km前後を歩いていましたので、足の指が痛くなったり、足首がだるくなったりしました。午前はまだ元気ですが午後からは疲れが出て来てきます。それでも頑張って計画通り無事に静岡駅に到着しました。

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2.静岡駅〜名古屋(宮の渡し、熱田神宮)

静岡県から愛知県は比較的平坦な道が多いと思うかもしれません。しかし、静岡県内の旧東海道は意外に山道が多く(茶畑の山が多い)あります。特に、島田市から掛川市へ向かう途中にある小夜の中山峠は一番の難所でした。中山峠を登る前にいくつかの茶畑の山を登ったり下ったりしているので、中山峠の急坂を登る時には太ももの筋肉が張っていて大変でした。箱根や鈴鹿の峠に比べれば中山峠の高低差は小さなものですが、坂の角度が大きい事の方が問題なのだと気付きました。写真は中山峠の手前(東側)の茶畑です。富士山は小さくなってます。

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この回は、この後、浜名湖を経て愛知県に入り、計画通り無事に名古屋の宮の渡しを経てゴールの熱田神宮に到着しました。途中、樹齢600年のクスノキや一部残った松並木、旧東海道の資料館等がありました。この回は、ラッキーなことに雨には降られませんでした。

3.名古屋(熱田神宮)〜京都三条大橋

過去2回のウォーキングの慣れもあり気持ち的には余裕を持って出発しました。それでも毎日5時間から6時間は歩くので午後から疲れてくるのは相変わらず。それでも都市部から離れて田畑や山並みの景色が見られる静かな道を歩くのは気持ちがいいと感じられました。時期的に紅葉が美しい季節でもあります。

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冷たい風が逆風となって吹いても、歩いていれば気持ちの良い風に感じられます。晴れていて風がないと汗ばむくらいでした。途中、三重県亀山市のホテル滞在中に寒冷前線が通過しかなりの暴風雨でしたが、それが夜であったので幸運でした。結局、今回のウォーキングも雨には降られずでした。

この回の難所である鈴鹿峠も何とか越えて三重県から滋賀県に入りました。それでも峠を超えるとその後に続く平地で足に疲れが出てきて結構大変でした。峠の登り下りの結果で足が疲れるのは当然ですよね。

滋賀県に入ると平坦な道が多いのですが、大津から京都の三条大橋までには逢坂山峠(大津〜山科)と日岡峠(山科〜東山)があります。最終日は草津駅近くのホテルからのスタートでした。最終日ということもあり清々しい気分で出発しました。草津市から大津市に入り、瀬田の唐橋を渡り大津の市街地を抜け、逢坂山峠を越えるところまでは元気に歩いていました。ところがその先の日岡峠に至る旧東海道が結構な急坂でした。最後の力を振り絞り何とか急坂を登りきり府道に合流。後は下るのみ、少し進むと京都の盆地が見えてきます。蹴上浄水場の先を左に曲がり真っ直ぐ進み長い旅のゴール三条大橋を渡りました。

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東海道ウォーキングは基本的に一人で歩いたのですが、さすがに東京から京都まで歩くと、道中の所々に知人、友人がいるものです。それらの知人、友人と一緒に歩いたり、食事したり、お茶したりと旧交を温める旅でもありました。

4.感想

やはり旧東海道は特別な道でした。一里塚や松並木、樹齢数百年の巨木や地域の歴史を説明する立札・看板、休息処や宿場の記念館等々。そしてそれらを守ってくれている人たちがいる。歴史や文化の残っている道でした。

定年という人生の節目を経て、これまでの自分の人生を振り返り、これからの人生を考える。それがこのウォーキングの主目的でした。一人で長い長い旧東海道を歩いていれば色々なことがありますし、色々なことを歩きながら考えます。そして、旧東海道を歩き終えて、これからもこれまで通り自分らしく生きて行こうと思えました。歩き始める前に思っていた以上に多くの発見や気づきがあった素晴らしい旅でした。