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朝ドラ「おかえりモネ」の気象解説/雲のでき方

先週(6/14〜6/18)放映の第5週「勉強はじめました」の中で出てきた「雲のでき方」を解説します。モネちゃんに負けないように勉強しましょう!

1.飽和水蒸気量(コップの結露と洗濯物の乾燥の話)

目には見えませんが、空気の中には水蒸気が含まれています。空気中に存在できる水蒸気の量は温度により異なります(温度が高いほど多くの水蒸気が存在できる)。1立方メートル(1m3)の空気中に存在できる水分の量(g)を飽和水蒸気量と言います。主な温度の飽和水蒸気量を以下に記します。30℃の空気1m3中には最大で30.3gの水蒸気を含むことができます。

30℃ ⇒ 30.3 g/m3
20℃ ⇒ 17.2 g/m3
10℃  ⇒ 9.4 g/m3
0℃    ⇒ 4.9 g/m3

20℃の空気中の水蒸気量が17.2gある場合は湿度100%、8.6gある場合は湿度50%です。氷の入ったコップの外側に結露が発生するのは、例えば、部屋の気温20℃、湿度60%(10.3g/m3)でコップの温度が10℃以下の場合です。10℃の飽和水蒸気量(9.4g/m3)よりも20℃、湿度60%の水蒸気量(10.3g/m3)の方が多いので、多い分の水蒸気がコップの表面に結露します。

冬でも洗濯物が乾くのは、冬の湿度が低い(特に太平洋側)ので濡れた洗濯物から水が蒸発するためです。乾いた空気が風で運ばれてくれば洗濯物はゆっくり乾きます(夏に比べれば乾くのは当然遅い)。

2.上空の気温

地上の気温に比べて上空の気温はどうなっているでしょうか?上空へ行くほど気温は低くなります。平均的には100m毎に0.6℃気温が低下します。

富士山の標高は約3,800mなので、富士山の頂上の気温は地上の気温よりも約23℃低くなります(3,800m×0.6℃/100m=22.8℃)。

3.雲のでき方

ここまで来れば、もう簡単!?地上の暖かく湿った空気が上昇して行くと気温が下がり、飽和水蒸気量を超えた分の水蒸気が水滴や氷滴となり雲ができるわけです。実際にはもっと細かい理屈(断熱膨張、過冷却、核、水と氷の水蒸気圧等)がたくさんありますが、簡潔に言うとこんな感じで雲ができます。

では、地上付近の空気が上昇するのは、どんな場合でしょうか?一番イメージしやすいのは風が山裾に沿って進む場合です。富士山にできる笠雲は、このケースの一例です。

地上や海上の空気が太陽光で暖められた場合も空気が上昇します。空気は暖まると軽くなるからです。イメージしやすいのは夏の入道雲(積乱雲)ですね。夏になると比較的低い位置で大きく見える小島のような積雲もこのケースの一例です。

もうひとつ、方向の異なる風と風がぶつかる(収束する)時にも空気が上昇します。前線付近で天気が悪くなるのはこのケースの一例です。特に、寒冷前線付近では冷たい空気と暖かい空気がぶつかり、暖かい空気が上昇して大雨となります。

ここまで分かれば、中学の参考書を勉強中の先週のモネちゃんよりも賢いと思います。今後も、ドラマの中で気象ネタが出てきたらまた解説します。もし、分からないことがあれば気軽に質問してください。