腐女子カーストという釣り針に乗っかってみた話

さて、1月19日。
Twitterを眺めていたら、トレンドに【腐女子カースト】という単語が載っかっている。
思わず「なんぞこれ……」と思いつつツイートを追ってみるも、なかなか本元であろう元ネタが見つからなかった。

よくよくさらに探してみると、大本が見つからないのもなるほどと思える漫画がそこにあったわけだが。

まぁそもそも、なんでこの単語に反応したかと言えば、私自身がまず腐女子だということ。
腐女子の自虐ネタやら、腐女子の生態やら、何かと題材に挙げられることが最近増えてるようにも思える。
一言に腐女子と言っても、多種多様な腐女子がうごめいている訳だが。

さて、気になっていたこのトレンドの大本は、どうやら

【腐女子カースト 底辺同士のマウント合戦】

という漫画らしいことがわかった。

なかなかある種で人を呼び込むタイトルである。
いろいろなものをかなぐり捨てつつ、つまるところレビューというか、一個人の感想文をここに置いておきたいと思う。
一話一話で扱っている題材が違うみたいなので、とりあえず一話で。

おそらく反応しないのが一番正しいんだろうけどそれはそれ。
これはこれ。

細かいことも書いてくけど正直いち参考までに。

一話:底辺同士のマウント合戦

この漫画、まずは「腐女子のイメージ」を読者に呼びかけている。
・暗くてダサい
・教室の隅で薄い本を読んでいる

見事にマイナスイメージありがとうございます。
ついでにピラミッド最底辺に腐女子配置ありがとうございます。

そしてその【ピラミッド最底辺腐女子】
ここにも更にピラミッドがある!!

とは作者談。

リアルやSNS上でマウント合戦
自己顕示欲、承認欲求の垂れ流しに躍起になる日々

そんな腐女子のリアル事情を教えてくれるという。
ほう。

【同居人アピールをする自己顕示欲】
【腐女子の服装】
【BL本に中途半端にヒロインを出す→それに共感する腐女子】

3つのエピソードによって語られる第一話。
それぞれがどう「マウント合戦」とつながるのか?

面白いので進めてみる。

【同居人アピールをする自己顕示欲】

エピソードの中で(他のキャラとは一線を画し可愛い作画の)主人公が、買った本の作者さんをTwitterで見かけるところから始まる。
Twitterの内容は「同居人くん絡み」の話が9割。

それを見て、主人公は「知らんがな!」とスマホを投げつけるわけだ。
写り込んでいる「同居人くん」のことや、誰へのアピールなのかとツッコミが入る中、最終的には「こんな人に同居人なんているのか?」と考え込む主人公。

「百歩譲って」と想像した絵が、なんとも言えないあの。
絵がブサメン。

妄想だとしても現実だとしてもきつい、とおっしゃられているが、まずその感覚にちょっと眉を潜めた。

こんな感じの腐女子は確かにいるのだろう。
というか腐女子に限らずいると思う。
私もちょくちょく話題に出したりつぶやいたりしているので、存在の否定はしない。

が、その「同居人くん」への想像や扱いがひどいというか。
「こんな人に」の件がひっかかるというか。

全員が全員そうではない、ほんの一部の腐女子のことを語っているのだろう。
が、想像で言って良いことの分別くらいはつかないものだろうか。
もちろん、一個人が意見や批判を発信するのは構わないと思う。
私が今まさにしていることがそういうものなわけで。

ただ、腐女子というくくりでの人格否定や、環境への否定というのはどうなんだろう。
ましてや、勝手に想像した「同居人」へのディスりも何気に入っている。
正直胸糞悪いと思うのは私だけだろうか。

これ、腐女子が題材じゃなくても私は眉を潜めたと思う。

加えて、その人がツイートしたものにファボが入っていることを生意気だとか、勝手にその意味を「うるせぇ」とかだから、と。
売れてないサークル主に限って痛いツイートしがち、とか。

正直言うと「ほっとけ」と言いたいわけだが。
Twitterっていうのは個人のあれこれが見えるもの。
ただ眺めるだけ、関わりたいとか、情報を見たい等、Twitterを除く理由は様々だろうが、ただ批判材料に取り上げるのはどうなんだろう。

終わりに若い頃にTwitterが流行っていたら、と考えて自戒する主人公だが、そのコマにある「無意識マウントツイート」は、媒体が変わっただけでやってることは同じに見えるがこれいかに。

【腐女子の服装・おしゃれ】

さて、これも良く取り上げられる気がする、服装の話である。

ひと昔前の腐女子の服装、として例に取り上げられているのは、前髪が長いとか、アクセサリーをじゃらじゃらつけるとか、しまむらのパーカーだとか、安物のロリータもどきだとか、たいていどすこいだとか。

「それに比べておしゃれな子が増えた」、と語っている。

そして結果として彼女が語るのは「最低限耐えうるレベルに補正しろ」とのこと。

この作者の最低限ってなんだろうか。
最低限のラインなんて人によって違うし、「女は化粧しろ」と当然のように言っている主人公。

化粧は女なら当然なんだろうか。
私は、【NO】だと思っている。
というかひとすきずきではないだろうか。
化粧や「盛り」への感覚は人それぞれ。

身だしなみは整えていたほうがそりゃあ良いだろう。
人の感じる不快感のラインもそれぞれと言えばそれぞれだが、外に出て恥ずかしくなければそれで良いのではないだろうか。

あと余談だけれど、着てくれる人の服装やらファッションやらをめっちゃ気になる作者さんは思ったよりいないと感じる。
そんなことより作品買ってくれてありがとう。感謝。
お風呂入ってないだとかそういうレベルの不快感さえなければ、人はあまり見ていないものだ。

【BL本に中途半端にヒロインを出す→それに共感する腐女子】

いろいろなBLの本を見ていると、確かにヒロインが入ってくる作品もある。
その立ち位置はそれぞれだが、この漫画で出されたのは「あざとい女キャラ」のこと。

「女に嫌われるあざとい女キャラ」を例に出して、「女キャラも好きな私」作家アピールに見えると語る主人公。

ごめん言ってる意味がわからない。

「女キャラも好きな私」というアピールを仮にするのであれば、「嫌われるようなあざとい女キャラ」なんて出さないんじゃないだろうか。
もっと友達だとか、姉や妹だとか、元カノだとか、立ち位置はいろいろあるだろうけど応援するような女の子とかになるんじゃないだろうか。

話がそれてしまったが、こういう「あざとい女の子キャラ」に共感する腐女子に対して漫画ではこう綴られている。

「あざとい」→「男にもてる」→「それに感情移入できる私もイイ女」
というマウント!?

はい?

「擬似的カースト上位者宣言マウント取り!」

お、おう……?

上記の流れがやっぱりよくわからなくて首をひねるわけだが、ここでやっと大きくタイトルにある「マウント取り」という言葉が出てきた。
無理やりねじ込んでいるように見えてしまったが、さてはて真意は。

ところで、二次創作の同人で出てくる原作のヒロインの話も取り上げられていた。
腐女子キャラとして登場しがちである、と。

確かにそういう作品もある。
賛否両論あるのも、知っている。
キャラ崩壊だという意見も耳にする。

ただ、それを「ヒロインも描きたい欲を満たすため」の苦肉の策だと考えるのはどうなんだろう。
どっちかっていうとモブに置いとくとか、賑やかしとか、共感を引っ張るだとか、私だったらそう考えるかな、と。

更に更に余談になってしまうけれど、BL作品に女の子キャラはまったくいらないということはないと思う。
確かにBLなのだから、主人公は男の子・男性たちだ。
けれど話に添える名脇役として出すことだっていくらでもある。
それでより、話が面白くなることもある。

そんなものである。

第一話を読んだ感想

現在、この漫画は全話無料で見ることができる。
ついでなので全部見てきました。

一話だから人を寄せようとしているのかな、というのが最初の感想。
基本的にほぼほぼ「悪い一面」だけをプッシュアップしている印象ではある。

そしてあえてちょっと皮肉ると、
「マウント発言を自分もしつつ、それを自覚しているちょっとカースト上位だと思っている主人公」

これ、キャラクター性ですか?
それとも作者が思ってることですか?

あとレビューとかTwitterで見かけるけど、この漫画でいう「カースト」ってものはなんかばかばかしいということには同意ですね。
ちょっと今燃え上がって、そのまま鎮火していくんじゃないだろうか。

炎上商法だとか釣り針だとかの一種だけれど、所々で「多分」「思う」とかで気弱になっているあたり、どうにも保険をかけているようにも見えるわけで。
どうせやるなら燃えカスになるくらい振り切ったほうが、いっそのこと面白かったんじゃないかなと。

ところで、この漫画を腐でもなんでもない男性の方に見せてみました。

「感想は?」
「どうでもいい」
「ですよねー」
「ただ、扱ってるジャンルは違うけど、【深夜のダメ恋図鑑】と同じベクトルだと思った。好きだよね、みんな

おっしゃる通りでした。すみません。

(人・ꈊ・)♡