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ソラマメと私

週末、今年最後のソラマメのタネを播きをしました。
ソラマメは、田舎に引っ越ししてからずっと栽培してるので、今年で13回目のタネまきです。


ソラマメとの出会いと別れ

子どもの頃、我が家の食卓にソラマメが登場することは滅多にありませんでした。もしかしたら、父のお酒のつまみとして出ていたのかも知れませんが、少なくとも子どもの私が口にした記憶はほぼゼロです。とはいえ、大人になるまでソラマメを食べたことがないわけでなく、農家だった祖父母の家ではたくさん食べさせてもらいました。ただ、子ども頃はあまり好きじゃなかったんです、ソラマメが。理由は、ソラマメの独特な香りと、広島出身のおばあちゃんが出してくれるソラマメがフツーの「塩茹で」じゃなくて、あのソラマメ特有の香りがより一層際立つ「うっすら甘く煮たソラマメ」だったから。大人になって、それが「そら豆の翡翠煮」というとても手間のかかる贅沢な料理だと知りました。(おばあちゃん、色々ごめん!!)

そんなソラマメに馴染みの薄い幼少期とソラマメに対する若干ネガディブな印象が相まって、大人になった私とソラマメの関係はどんどん疎遠になっていきました。特に一人暮らしを始めてからは、その存在を意識することさえなくなっていました。(ソラマメってよっぽど好きな人じゃない限り、わざわざ買わないですよね、、、、)


再会はある日突然に

そんなソラマメと無縁の生活を10年以上送っていた私が結婚を機に再びソラマメと出会うことになります。なんと、夫の実家は私の実家とは真逆に3月〜5月になると毎週のようにソラマメが食卓に登場する「ソラマメデフォルト家族」だったのです。ソラマメが大好物な義父(←夫の父)のために3月の熊本県産からはじまり5月の千葉県産まで、毎年初夏になるとソラマメ祭りが繰り広げられる夫の実家。結婚当初、食文化ってそれぞれの家庭によってここまで違うんだ、、、と新鮮な驚きがありました。さらにもうひとつ驚いたのが、ソラマメのお値段。ある日、嫁として少しでもお手伝いを、、、と台所でなんとなく手にしたソラマメのパックについた値札を見て驚愕!!20粒ほど入った熊本産ソラマメのお値段は、まさかの1000円越え。自分でソラマメを買ったことがない私からしたら、一瞬なにかの見間違いかと二度見しちゃうほどの高級食材・ソラマメさん。その時は「一体、1粒いくらなのよ?」とビビりながら塩茹でさせていただきました。今では、初物のサンマやスイカが高値で取り引きされるように、出始め3月のソラマメが高価な理由が大人としてちゃんと理解できるようになりました。(自分じゃ絶対に買わないけど)

そんな両極端な「ソラマメがない生活」と「ソラマメがある生活」それぞれ約10年ずつ経験した結果、私の中でソラマメが少しずつ気になる存在に変化していきます。(ちなみに、この時まだ私はソラマメの本当のポテンシャルに気づいていませんでした。)


ソラマメマスターへの道

引っ越した最初の年、「何を植えようかなぁ」と色々悩んだ結果、わざわざ自分で買うほど好きじゃないけど「お義父さんの大好物だから」という理由でソラマメの栽培を始めました。種苗会社からタネ(8粒で300円)を取り寄せ、2011年の11月初旬、生まれて初めてソラマメのタネを播きました。ちょうど2週間後、ぴょこんとかわいらしい芽が出たときは犬と一緒に小躍りしたくなるくらいワクワクしました。その後、冬の寒さに耐えたソラマメは春になるとぐんぐん成長します。4月に蝶々の羽のような可愛らしい花を咲かせ、花が落ちたあとにちょこんと現れるサヤは空に向かってどんどん大きくなっていきます。それから、実がしっかりと熟しサヤがやや下向きなる5月中旬に一気に収穫時期を迎えます。タネを播いてから約半年、庭の畑で採れたソラマメを初めて食べた時の感動は今でも忘れることができません。大袈裟ではなく「今まで食べてきたソラマメはなんだったんだ!?」と思うくらい採れたて新鮮なソラマメの味は格別でした。その日を境にすっかりソラマメの虜になった私は「来年はもっと作付けするぞ!」と食べたい気持ちをグッと抑え、初年度の半分以上を自家採種用のタネとして残すことに。(←ソラマメのタネは高価なので自家採種が一番コスパがいい)それからこつこつと栽培範囲を広げ、今では毎年平均で200粒以上のタネがとれるようになりました。億万長者ならぬ「タネ長者」の誕生です。

まさかここまでソラマメにハマるとは自分自身でも想像していませんでしたが、私にとってソラマメは「入学式で第一印象がイマイチだったのに、実は意外といいヤツで、そのあと長い時間をかけて仲良くなって、今では一番の親友!」と思えるくらい大のお気に入り野菜になりました。そう思うと、本当に人生って不思議です。


ソラマメのすすめ

最後に、、、
ソラマメ栽培に関して、ネットや本には「連作障害がーーー」とか「肥料には〇〇を」とか色々書いてありますが、実際10年以上同じ場所で栽培を続けても、わざわざ特別な肥料を入れなくても毎年全く問題なく収穫できてます。さらに、一度タネを播いてしまえば、そのあとは春先の除草くらいでほとんど手がかからない楽ちんな作物なので、家庭菜園初心者の方にもおすすめです。ソラマメ好きな方は、ぜひ一度お試しを!

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