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クィア・アイが教えてくれたこと

おつかれさまです。
あるこです。

とうとうNetFlixに登録し、ずっと見たいと思っていた『クィア・アイ(Queer Eye)』を見始めました。

まだセカンドシーズンまでしか見れていませんが、期待以上に良いです。

クィア・アイは、それぞれが異なる分野のプロフェッショナルである五人のゲイの男性"FAB5"が、問題を抱えている一般人をプロデュースし、状況の打開や人生を変化させる後押しをするというリアリティーショー。

この番組を見ていると、人ってこんなに些細なことで変われるんだということに気づかされる。

今のところ登場するクライアントのほとんどが男性なのですが、FAB5と初対面を果たすときには大抵髭も髪も伸ばしっぱなしで服もヨレヨレ。
理由を聞くと、自分に自信が無くてお洒落をしても意味がないと思い込んでいたり、他人と関わることに恐怖を感じていて顔を隠したいという心理が働いていたりと様々。

けれど、自分はファッションには興味が無いと思っていても、ファッション担当のタンや美容担当のジョナサンによって、自分に似合う洋服の選び方や髪や髭や肌の手入れの仕方を教わって、それらを身に付けて鏡の前に立つと笑顔になり、自信が持てたと言う。

実際に服と髪型を変えるだけで、まるで別人のような見た目になり、この人こんなにハンサムだったんだ!と気づく。
そしてクライアント自身の表情や行動も変化していく。

もちろん、見た目だけではなくて、料理やインテリア、カルチャー面までもアドバイスをくれるのだけれど、良いなと思ったのが、料理にしてもファッションにしてもプロデュースする側の押し付けではなくて、クライアントの生活に取り入れやすいものを選んで教えてくれるというところ。

初心者や料理にあまり時間を掛けられないという人にはシンプルな料理を教え、子どもが六人もいて自分より家族にお金を使いたいという男性には、高級ブティックではなく、近所のモールで服の選び方を教える。

番組で密着している間だけでなく、FAB5が去った後にも実践できそうなことを紹介する辺りが、本当にクライアントのことを考えているということが伝わってくる。

日本でもこういう一般人を変身させるような番組を見たことはあるけれど、地方に住んでいる人を東京のブティックやサロンに連れて行って、普段着ないようなファッションをさせているようなイメージがある。

もちろんそれはそれで非日常感が味わえて楽しいと思うけれど、自分の生活の範囲で自分を良くする方法を教えてもらった方が、長期的かつ大々的に変わっていけるような気がする。

カルチャー担当のカラモは、見た目だけではなくて内面的な問題の改善にも手を貸してくれる。
漠然とした恐怖を感じている人には今まで挑戦したことないことをやらせて達成するという成功体験をさせたり、失敗を受け入れられなくて取り繕うために嘘をついてしまう人に嘘発見器を経験させ、「どこで嘘を吐いたかはもう自分で分かってるはずだから」と結果を目の前で破ったりする。

FAB5はみんな魅力的なんだけれど、私はよくこのカラモの言動に泣かされてしまう。

セカンドシーズンのエピソード1が、敬虔なクリスチャンの女性(タミー)の依頼で協会のコミュニティ・センターをプロデュースするという話なのだけれど、

タミーは自分のことよりも教会や周りの人を優先するようなとても温かくて愛情深い人だが、彼女の息子(マイルス)がゲイで、彼自身はもともと所属していた教会のコミュニティに拒絶されていると感じてしまい、コミュニティとは何年も疎遠になってしまっていた。

宗教的な理由で、自らの家族やそれまで所属してきたコミュニティから拒絶をされたセクシャル・マイノリティの方々のことを思うと胸が痛む。

カラモはそんなマイルスを、LGBTQのメンバーで構成された聖歌隊に連れていき、もともと生活の一部だった合唱を彼に取り戻させる。
彼が疎外感を覚えてしまうようなコミュニティがあるのと同時に、彼が受け入れてもらえる、所属していると感じられるようなコミュニティがあることを気づかせてくれた。

そんなシーンで、カラモがマイルスを連れて合唱団へやってきたときの"Look, your home(ほら見て、ここがきみのホームだよ)"という何気ない一言と、

"When you're struggling to fit in, you have to find the places where you feel like you belonging. Because they're not gonna find you."
もしも馴染めないと感じた時は、自分から居場所だと感じれる場所を探さなくちゃいけない。居場所は向こうからはやってこないから。

ということばで思わず泣いてしまった。

私自身も幼いころから家族にも学校や会社にも馴染めないとか受け入れられない、分かってもらえないと感じることが多くて、ずっと疎外感を覚えていた。

今もそれは続いているし孤独を感じてしまうのだけれど、最近ずっと通っている英会話の先生(アメリカ出身)と話したときに、これまでに会ったどの人よりも話が合う、分かってもらえるというような感覚を覚えたことがあって、

家族や学校やさらに言えば自分の母国に居場所を見つけられなくても、そのもっと外には自分に合う場所があるかもしれない。
仄かにだけれど、そんな可能性を感じた。

だからこのカラモのことばが凄く響いたし、居場所がないことを嘆いているだけじゃなくて、そう簡単には見つけられないとしても自分から探す努力をし続けなければいけないと思ったし、励まされた。

番組のなかではクライアントだけじゃなくて、FAB5も自分のことについても話してくれる。それぞれマイルスと同じように、セクシャル・マイノリティというだけで苦労した経験を持っていて、それをシェアしてくれて、更に今の輝いている姿やしっかりとした考え方を発信してくれることで、同じように悩んでいる人たちを勇気づけてくれる。

彼らはクライアントに対して、部屋が汚かったりファッションがだらしなかったり髪や髭が伸び放題になっていることに対しては、否定的なことを言うけれど、クライアント自身については決してネガティヴなことは言わない。

部屋が荒れていればそうなった理由をクライアントに聞いて、改善策を考えるし、例えば髪がボサボサでも、髪質が良いのにもったいないとか目が綺麗だとかそもそもハンサムだとかと、とにかく受け入れて褒める。

あれだけ褒めてくれたら、自信が付くし自己肯定感もあがるだろうなと思う。

このショーを見ていると、本当にいろんなことを考えるきっかけが貰える。
私ももっと自信を持っていいんじゃないかな、とか。自信が持てないならどうやったら持てるようになるかな、とか。他人に対して心を開きたいとか、どうしたら開けるようになるのか、とか。

それにFAB5を見ていると、自分のことだけじゃなくて、誰かに対しても何かしたい、できることはないだろうかという気持ちになってくる。

まだこちらについてはぼんやりと考えている段階だけれど、学生の頃から気になっていたけれどどう関わればいいのか分かっていなかった問題について、少しずつでも向き合っていきたいと思っている。

とにかく見ると前向きなパワーと、背中を押してくれているような心強さを貰えるので、何かに行き詰ってしまったときやもしも寂しさを感じるときがあれば、ぜひ見てみてほしい。


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