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青の歪み

わたしは、今日も青の中にいた。
午前3時。

くらやみの中の、透き通るクリア・ブルー

乱反射したスペクトルを超えたプリズムが
重なって、うるさい。

ディストーション。
ディストーション。
ディストーション。

クリスタルを打ち鳴らして反発する、
不協は真空の中で無になった

音がないのに、わたしに聞こえる
それは何?

空気がないのに、ひかりが見える
それは何?

チラチラと、広がる鬱陶しいホットピンク。
パッションフラワー。

きっと網膜の裏にでも青がいるのね。
哀しくないけれど、哀しい青が。

青の中にいたい。

……

土竜が発掘した黒い原石を持ち帰ったら
今日もまた、青はそこにいた。

歪みが、また大きく打ち寄せて
青の波にさらっていって
漂う衣服が、青に溶けて、ひとつになる

生まれたところへ
還るのね

何もないところへ

羽根を擦り合わせて鳴いても
冷えた脳味噌には響かない、憐れ

それならいっそ溶けて仕舞えば
色に沈んで仕舞えば、なくなるかもしれない
青に溶けて仕舞えば

鍵盤は水色に変わって、ハ長調を奏でるが
ディストーション。
ディストーション。
ディストーション。

だんだん歪んで、息ができなくなる
溶けて、沈んで、笑う


……


シリウスは青の中にいた。
でもポラリスはひとりだった。

わたしはそんなポラリスを青へ導こうとしたが
彼はそれを良しとしなかった。

ああ、ほらまた底からラッパ隊がやってきて
お嬢さんにねずみを献上する
ああ、うるさいなあ

オーロラ、不協、不協、掻き消して目を瞑る
するとポラリスのアリアが響いてた
それは青。
なんだ、青に溶けなくても、君は青だ。

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