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短歌のきろく④

2021年1月〜掲載短歌や歌会詠草を書き残します。短歌も今年で4年目になりました。これからも楽しく詠んでいきたいです。

【2021年掲載短歌】黒乃響子

■東京歌壇 東直子 選〈2021/12/12掲載〉
暗転の舞台にともる蓄光のひかりのような君のやさしさ

東京新聞 佐佐木幸綱 選〈2021/11/21掲載〉
オンライン内定式で息子にもオンライン上の同期ができる

東京歌壇 東直子 選〈2021/11/7掲載〉
ひと夜だけ水を吸わせてアナベルを宙吊りにする裁きのごとく

角川歌壇 11月号 〈2021/10/25〉
アスファルトは濡れて冷静をとりもどす なつの夜の長いながい沈黙
〈尾崎まゆみ選/佳作〉

角川歌壇 10月号 〈2021/9/25〉
ぶらんこに乗る夢をみた温かな手にさすられている病室で〈花山多佳子選/秀逸〉
帆船のような純喫茶の扉ひらけば進む碇はずれて
〈尾崎まゆみ選/佳作〉

角川歌壇 9月号 特選〈2021/8/25〉
すこしだけ寂しかったんだと思う サボテンにちいさな花が咲く〈日高堯子/特選〉

■東京歌壇 東直子 選〈2021/8/29掲載〉
客電のおちた客席に点々と静かにともるマスクの灯台

東京新聞 佐佐木幸綱 選〈2021/7/4掲載〉
皆、おなじ窓側をむき食事する大学棟の看護学生

■東京歌壇 東直子 選〈2021/6/20掲載〉
芯をぬき丁寧にはがす一枚のキャベツのような春の尋問

■東京新聞 佐佐木幸綱 選〈2021/6/13掲載〉
ガレージにキャンプ用品ならべられ住宅展示場は夏山

角川歌壇 6月号 佳作〈2021/5/25〉
暗号をひとつ解いても進めないクロスワードを解き続けている〈外塚喬選/佳作〉
水中を息つぎなしで渡りきるような三者面談の沈黙
〈大塚寅彦選/佳作〉
食パンにイチゴとキウイの花が咲くフルーツサンドは春の公園〈田中槐/佳作〉

■東京歌壇 東直子 選〈2021/4/18掲載〉
万年筆のインクの匂いをふかく吸う 深夜にゆれる海底の碧

■東京新聞 佐佐木幸綱 選 特選二席〈2021/4/4掲載〉
 《4月度月間賞》
幼き日の子犬を抱いている写真 知らない私の知らない時間

■角川歌壇 4月号 外塚喬 選 秀逸〈2021/3/25〉
はみ出した塗り絵のような子供らの歌はタクトに描かれてゆく〈外塚喬選/秀逸〉

■小島なおさん 週の真ん中歌会 〈2021/3/11〉
哀しげにうつむくような姿してさいごに椿は濃く息をして

■東京歌壇 佐佐木幸綱 選 特選二席〈2021/2/28掲載〉
空席の椅子を消毒する仕事 空席のままの椅子磨かれて

さわらび歌会 テーマ詠「動物」〈2021/2/27〉
雪山の遊牧民のまなざしでポラリスを仰ぐ檻の白くま

■小島なおさん 週の真ん中歌会 〈2021/2/17〉
丁寧にミシンのリズムを確かめてゆっくりあゆむ自粛生活

■第22回NHK全国短歌大会 佳作〈2021/2/22〉
坂道をふかく踏みこむ自転車の重さはきみの意志に似ている〈池田はるみ選/佳作〉

小島なおさん 週の真ん中歌会 〈2021/1/14〉
消灯の病室にそそぐ月光(つきかげ)にひとりの夜のページをめくる

新春歌会 題詠「窓、春」〈2021/1/17〉
小春日を窓に映してゆっくりと路面電車はひかりの方へ

■東京歌壇 2020年年間賞 佐佐木幸綱選
オンライン朗読会は春の日のひかりをはこぶ 聞こえていますか

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