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名前が思い出せない

一棟4階にある図書室から教室へ階段を下っていると、忙しそうな足音が上がってくる。
「あ!○○先輩!」
…誰だ?
「あ!ああ!!」と私はわざとらしく声を上げ、記憶を辿る。記憶の引き出しを引っ張り出してはひっくり返しを繰り返すこと2秒。そうだ、私の友人の友人の妹だ。話したのは2年前の夏祭り以来ではないか?よくもまあこんな先輩を覚えていたものだ。少し急いでたみたいなので軽い挨拶を一言二言交えて別れた。
しかし困った。彼女の名前が全く思い出せない…
「あ、、い、、う、、え、、お、、」
困った時の五十音総当り。意外と思い出せるんだこれが。でも今日は五十音の神様は不在だったらしく、3週しても全く思い出せない…
当時の友達に聞けば1発なのだろうがなんだか癪だ。こうなったら意地でも自力で思い出してやる。
家に帰り卒業アルバムをめくる。
友達の友達の名前は…えっと…あったあった、ああ、○○○だ。
はて、妹の名前は…
だめだ、思い出せない…
わかったわかった、そうかいそうかい、私のくだらない意地がわるうござんした。と五十音の神に八つ当たりをしながらかつての友達に聞く。
あっさりと答えは出た。
なんだかなあ…

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