CL Group B 第5節 【アトレティコ×ACミラン、リバプール×ポルト】

アトレティコ×ACミラン

スタメン

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定まらないプレスの基準

まずボールを握ったのはアウェイのACミランでした。基本的な配置としては、4-2-3-1から両SBを高く上げてボランチを落として3-1-5-1に変化していくことが多かったと思います。対してアトレティコは5-3-2の布陣で構えているので、ミランは後ろで4v2の数的優位を得ることができます。ここに対してアトレティコはプレスの基準を定めることができませんでした。特に、ボランチを落として3バックに変化することで、どうしても2トップだけでは対処しきれなくなります。仮に3MFのサイドの選手を出そうとしても少し距離が遠く、WBは目の前にSBがいるのでなかなか前に出れません。なので、ライン設定としては高く守備に入るアトレティコでしたが、ずるずると下げられてしまう場面が多くなりました。

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では、ミランはそこから効果的に攻撃を仕掛けられていたのかと言われればそうでもありませんでした。特にライン間に入っている3枚の2列目の選手はどちらかというと降りる動きが多くなっていて、後ろ向きの時間帯が長くなっていました。そうなると、確かにポゼッションは安定するのですが、相手のDFラインの背後への脅威は少なくなってしまいます。CFに入っているジルーもさほど背後へのランニングを得意としているわけではないので、ミランが攻めてるけどなかなかゴールまでは遠いね、といった展開で進んでいきました。

4-4-2への変更

そこまでゴールに迫られているわけではないですが、これだけミランに長くボールを持たれるのはアトレティコとしても臨んだ展開ではありません。ここで、なかなかハマらない守備に変化を加えるために、左WBのカラスコを一列あげて4-4-2へ変更します。

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大きな理由としては、中盤3枚の負担を減らすことが挙げられると思います。ミランのサイドチェンジに対してアトレティコの中盤3枚は全力のスライドで対応していましたが、体力的にも厳しく5バックが露出する時間が増えるといつかやられかねません。そこで、4枚のラインを2列作ることで全員でスライドの走行距離をシェアすることにしたのだと思います。

個の左、連携の右

アトレティコの攻撃を見ていくと、左右での違いが存在しています。

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左サイドに関してはWB(SH)のカラスコが単独で仕掛けることが多くなっているのですが、右サイドのジョレンテにそこまでの突破力はありません。なので、右サイドで見られた攻撃としては「広げて中への侵入」といった形がありました。特に、IHのデパウルが積極的に背後を取りに行くことでSBとCBの間を破ることができるシーンが多く見られました。

試合結果

アトレティコ 0-1 ACミラン

得点者 ACミラン 87分 メッシーア


リバプール×ポルト

スタメン

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仕掛けるポルト

なんとしても勝ち点が欲しいポルトは、立ち上がりから積極的に仕掛けていきました。特にポルトの激しいプレッシャーによってメンバーを落としているリバプールはなかなかボールをつなぐことができず、全体的にオープンな慌ただしい展開になっていきました。

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プレスの設計としては、4-2-4にも近い形で前線4枚が非常にコンパクトな距離感を維持した立ち位置を取り、大外のレーンはSBが縦スライド、その背後はボランチがカバーといったかなり大胆なものになっていました。リバプールは空いているSBを使ってサイドから前進していく形と、チアゴが降りてきて中央から前進していく形などいろいろ試しながら、最終的にはハイプレスを打開してサラーがゴールを奪います。

1stプレスの振る舞い

また、立ち上がりポルトがボールを握る展開になっていった理由としてはリバプールのFW陣のプレスの掛け方にもありました。

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基本的に南野を頂点にした前線3枚は、CBやGKにプレスをかけにいくのではなく中央とラインの背後を気にした立ち位置を取り、構えることを選択しました。そのため、ポルトのCBやGKには余裕がありましたが、そこから短くつなぐとプレスのスイッチが入る、といった状況になっていました。なので、ポルトのビルドアップとしてはCBやGKからロングボールを前線に送るといった形が多くなっていきました。普段であれば回収して永遠にリバプールの攻撃といったサイクルの持ち込めるのですが、この試合では少しDFラインが不安定で、結構ロングボールからポルトにチャンスをつくられていました。それでも勝ち切るリバプール。チアゴの変態ゴール。すごい。

試合結果

リバプール 2-0 ポルト

得点者 リバプール 52分 チアゴ, 70分 サラー

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