【堅守vs堅守】アトレティコ×FCポルト【CL グループB 第1節】

 今回は、計5ゴールが生まれたアンフィールドでの激戦の裏で行われた、ともに堅守を武器にCLで暗躍するアトレティコとポルトの試合のレビューをやっていきます。

スタメン

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 また、今回のレビューもYouTubeにて公開しているので、ボードで動かしながらの解説が見たい方はそちらをご覧ください!


シメオネ版ポジショナルプレー

 どちらもCLでは堅い守備が持ち味のチームですが、この試合ではどちらも後ろからボールを奪いにいこうとする姿勢を見せました。特に、アトレティコマドリーはポルトの4-4-2に対して、立ち位置をずらせるような配置を取りました。

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 後方は3バックとアンカーの4人でポルトの2CFを包囲する形で、そこからIHであるコケとレマル、トップ下のフェリックスがそれぞれ4-4の隙間に立ちラインをこえるパスを引き出そうとしていました。また、両WBが幅を取り、CFのスアレスがDFラインとの駆け引きで深さを生み出そうとする、非常にオーソドックスな形で4-4-2を打ち破ろうとしていました。


ポルトとの対話

 これに対して、ポルトはどのように人を捕まえ、ボールを奪いにいこうとしたのかについて見ていきます。

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 まず2トップの役割としては、基本的に距離感を狭く保ち、アンカーへのパスコースを消すことが優先だったと思います。そしてアトレティコのサイドのCBへボールを誘導した後、SHが出ていく動きをスイッチにSBとボランチがそれぞれ人を捕まえていきます。

 ここでアトレティコのポジショナルプレーが効果を発揮してきます。基本的にポルトの選手の隙間に立っているので、その隙間を埋めようとポルト側が動いたときに、より大きな隙間がどこかに生まれてきます。この状況で、フェリックスがフリーになり大きな隙間でボールを引き出すシーンが見られました。

 また、高い位置からハメに行こうとする場合は、下の図のようにトップがCBにプレスをかけにいきます。

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 そして、このようにボランチを前に出してアンカーを捕まえることで、高い位置ではめることができます。これに対してアトレティコは、コケの立ち位置を変えてプレスを回避しようとしました。

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 これまではライン間に位置していたコケですが、後半からはコンドグビアの脇に立って3-2の形でビルドアップを行いました。これによりポルトのプレスをいなそうとしたのではないでしょうか。

 また、後半半ばの3枚替えでシメオネは3バックから4バックに変更します。

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 この変更で、中に絞ったSHを経由してSBのオーバーラップを使うというシンプルな攻撃が目立つようになりました。しかし、結局得点には至らず、スコアレスドローで終わります。

 両チームともやはりゴール前での守備は硬く、なかなかゴールに迫ることができませんでした。この辺りはやはり「堅守」と言われるアトレティコとポルトの試合らしいところでもあります。その中でも、シメオネはいかにボール保持での優位を生み出せるかにトライしていたり、ポルトはプレッシングに磨きをかけたりと「ボールの前進」の局面における攻防を非常に興味深かったです。

 最後に、ポルトのビルドアップに対してアトレティコがどのようにプレスをかけにいったのかについて見ていきます。


がんばれIH

 ポルトのビルドアップに対して、アトレティコは高い位置からプレスをかけにいきました。

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 基本的にCFはボランチを背中で消すくらいで、そこまで守備に積極的というわけではありませんでした。その代わり、サイドへ誘導したところにIHが飛び出し、アンカーと逆サイドのIHがずれる形で人を捕まえます。ここのところで本当にアトレティコのIHはよく走り、強度の高いプレスを実現していました。The アトレティコです。

 結果的に0-0という試合で終わりましたが、とても楽しかった90分でした。リバプールとミランもボール非保持の局面でかなり良いチームなので、残りの試合も楽しみです。

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