EURO2020 クロス分析
クロスとは何か
今回の分析にあたり、最も頭を悩ませたのが「クロス」の定義である。データを集計する上で「サイドからゴール方向に送るボール」や「アシストを目的としたゴール前へのパス」といった主観的な定義をしてしまうと、集められたデータも主観的なものになってしまい、客観的な分析を行うことができない。そこで、今回はクロスを定義するにあたりピッチ上のラインを基準にすることにした。
・ゾーン3のサイドまたはハーフレーンから送られた、PA内の中央のレーン(下の図の黄色のエリア)を通過するボール。
・PA内で先に攻撃側が触れば「成功」、守備側が触るor誰も触れない場合は「失敗」として集計。
・ただし、下の図の「青線」を通過したボールを攻撃側が先に触り、その選手がシュートをした場合のみ例外的に「成功」とした。これは、マイナス方向への折り返しのクロスをカウントするためのものである。
・誰かの腰よりも高いボールを「ハイクロス」、低いボールを「ロークロス」として分類。
(この図では、青がクロスとして集計されたもの、赤がクロスではないもの、緑がPA内で誰も触れなかったクロス、直線がロークロス、点線がハイクロス)
今回はこのような定義をしたが、課題も多く現れた。まず、客観的にクロスを集計しようとするあまり、明らかに「クロスではないよな」と感じるようなものも含まれてしまった。例えば、PA周辺での楔からのワンツーでの侵入がクロスの条件を満たしてしまったり、DFがクリアせずにGKに処理を任せたことでクロスの条件を満たしてしまうということがあった。このような客観的な定義と感覚の差を埋めるための工夫の一つが、マイナスの折り返しをカウントするためのルールだった。
また、今回の定義ではPA内中央へ到達する前にクリアされてしまったクロスも集計されていない。しかし、このようなボールを集計しないと失敗したクロスの数が少なくカウントされてしまう事になる。とはいえ、クロスを「PA内」へ送られたボールと定義してしまうと、明らかにクロスではないただの横パスやスルーパスが多く含まれてしまい、クロスの分析としては不十分になってしまう可能性がある。
このように、ピッチのラインをベースに客観的に定義してしまったことで、うまくクロスの本質を捉えたデータのみを漏らさず集計することができなかった。とはいえ、主観的な要素を定義に組み込むことは、その時々の気分であったり、個人的に「こうなってほしい」という願望が影響してしまう可能性があるので難しい。まずは「クロスの本質とは何か」をもう一度深く掘り下げていくことが必要だと感じた。今現在、クロスと他のパスとの大きな違いはそのパスの受け手が「シュート」をすることが目的になっていることだと考えているので、これをうまく組み込んだ定義を客観的に立てられるようにしたい。
しかし、サッカーを定量的に分析するにあたり、選手の意思のような客観的に判断できないものが多いこのスポーツでは、主観的な要素も必要なのではないかという考えも持っている。この辺りは、客観的になることで排除されてしまうものと、主観的になることで含まれるバイアスとどちらの方がデメリットが小さいかを考えていく必要がありそうだ。
エリアの名称
今回の分析では、5レーンの考えをもとにエリアを分割した。
サイドレーンの浅い位置を「ウイング」、深い位置を「コーナー」、ハーフレーンの浅い位置を「ハーフスペース」、深い位置を「チャンネル」、そしてPA内の中央のレーンを「シュートゾーン」という名前で呼ぶことにする。
EURO2020におけるクロス
まず初めに、EURO2020全体のデータから見ていこうと思う。下の図は、全体のゴール数のうち、PK、FK、CKといったセットプレー、クロスが絡んでいるゴール、その他のオープンプレーからのゴールがどのくらいの割合であったのかを表すグラフである。
全体の142ゴールのうち、75%を占める106ゴールがオープンプレーから生まれており、そのうちの約半数の52ゴールにクロスが絡んでいる。正直、このデータが多いかどうかは他の大会と比較していく必要があるが、少なくとも今大会生まれたオープンプレーからのゴールの半数近くはクロスが関係している。
次に、クロスが蹴り出された瞬間に攻撃側の選手が何人PA内にいたかについて調べたデータが下の図である。
このグラフからわかることはそこまで多くはないが、次にゴールに結びついたクロスに絞って調べたデータが下の図になる。
上の2つのグラフを比較すると、非常に形が似ていることがわかる。実際にそれぞれの人数においてゴールが生まれた割合を調べたデータが下の図になるのだが、0~3人までの範囲では、ゴールが生まれた確率は4~5%の間でほぼ等しい。PA内の攻撃側の人数が4人の時のゴールが生まれた割合は非常に高く、5人になると非常に低い原因については更なる調査が必要だが、8割以上のクロスにおいてPA内の攻撃側の人数は3人以下なので、4人と5人の時のデータに関しては一旦脇においておきたい。(Allは平均)
ここからわかることは、PA内の人数はクロスがゴールにつながる確率にほとんど影響を与えていないということである。クロスにおいて重要なのは、PA内の人数ではないということを指し示しているのではないだろうか。個人的な仮説としては、クロスにおいてより重要なのは個々のスキルであり、正確に蹴れる出し手の力とフリーになる動きやゴールを決める受け手の力が何よりも大切なのではないかと思う。特に受け手の技術に関しては後ほどゴールを振り返る章でまとめていく。
24カ国比較
次に、各国のクロスの特徴を比較していく。まずは90分あたりのクロス数を見ていこうと思う。
最も少ないのはハンガリーで、次に少ないスロバキアの6回と比べてもかなり少ない2.3回となっている。ドイツ、フランス、ポルトガルといった国との3試合だったことの影響が非常に大きい。一方クロスが特に多かったのは、ドイツの15.8回、ポーランドの16.7回、スペインの17.7回である。ファイナリストのイングランドとイタリアに関しては、イングランドが8.3回で20位、イタリアが9.8回で16位と少ない数字になっている。
次に、クロスの成功率を見ていく。
成功率の高いフィンランド、ハンガリー、スロバキアは、クロス数では17位、24位、23位とかなり低く、数少ないクロスを確実に味方に合わせられていたと考えられる。一方、クロス数の多かったスペイン、ドイツ、ポーランドは成功率では下位となっている。イタリアはクロス数と同じく成功率でもかなり低くなっているが、同じくクロス数の少なかったイングランドは成功率では7位となっている。クロス数、成功率のどちらも順位が高かったのはロシアで、クロス数は6位、成功率は4位となっている。
次に、PA内の人数について見ていく。
ハンガリーと北マケドニアは非常に人数が少なく、これは人数をかけない素早いカウンターが攻撃の主体になっていたことが影響していたと思われる。一方、多くの人数をPA内に送り込めているのはクロス数も多かったドイツとポーランドで、平均で3人程度となっている。また、ここでもロシアは4位と高い順位となっている。優勝したイタリアはここでも順位が低く、同率20位で2人以下となっている。
次に、PA内での相手DFとの人数の差のデータを見ていく。これは、「相手のDFの人数-味方の攻撃陣の人数」になっているので、人数が多いほど攻撃側が数的不利であることを表している。
最もPA内での数的不利が小さかったのは北マケドニアで、送り込む攻撃陣の人数は少なかったことから、1v2などの人数が少ない状況でのクロスが多かったことが考えられる。一方、最もPA内での数的不利が大きかったのはイングランドで、平均して3人の差が生まれていた。
最後に、クロスから生まれたゴール数について見ていく。
クロス数が少なく、PA内での数的不利も大きかったイングランドがダントツでクロスからのゴールが多いデータになっている。ゴール数は90分あたりのデータやクロス数あたりのデータでなく大会通じての総数なので、単純に試合数の多いイングランドとイタリアが多くなっている可能性もある。
エリア別のクロスの特徴
この章では、エリア別にクロスを分析し、それぞれのエリアの特徴について考えていきたい。まずは、ゴールにつながったクロスのマップを見ていく。
青線が攻撃側が先に触ったクロスで、赤線は相手が先に触ったクロス、直線がロークロスで、点線がハイクロスになる。相手が先に触ったものは、ディフレクションが生まれたりオウンゴールになったものである。この図ではなかなか見づらいので、各エリアごとにまとめていく。
ゴールにつながっているクロスを最も生み出しているのは、やはりチャンネルだった。次に多かったのがウイングのエリアからで、最も少なかったのはハーフスペースだった。
次に、クロスがどれだけゴールにつながっているかを調べるために、各エリアからのクロスの総数をまとめたものが下のデータになる。
最もクロスが上げられていたのはコーナーからで、チャンネルとウイングは同じくらい、そして最も少なかったのがハーフスペースになる。そして、クロスの数に対してゴールが生まれた割合をまとめたものが下の図になる。
ゴール数と比べ、チャンネルとウイングが1位と2位というのは変わらないが、ゴール数は最も少なかったハーフスペースが3位、ゴール数は3位だったコーナーが最も低いデータになっている。ここから、各エリアからのクロスの価値は、チャンネル、ウイング、ハーフスペース、コーナーの順になっていると考えられる。
次に、各エリアからのクロスに対してのシュートの難易度について考えて見たいと思う。今回、僕はゴール数をクロスの成功数で割ることで、シュートの難易度を求められるのではないかと考えた。しかし、中にはオウンゴールが含まれているので注意が必要になると思う。
まず、下の図がクロスの成功数と成功率になる。
クロスの成功数、成功率ともにチャンネルが1位となっている。一方、成功数ではコーナーが2位でハーフスペースが4位となっているが、成功率では逆になっている。そして、下の図がクロスの成功数に対してゴール数の割合のデータになる。
チャンネル、ハーフスペース、ウイングからのクロスからの難易度は20%前後と大きく変わらないが、コーナーからのクロスに関しては10%を下回るデータになっている。
これらのデータから、コーナーはクロス数が最も多く成功率も2番目に高いエリアだが、最もゴールにつながる確率が低く、これはシュートの難易度が大きく関わっているのではないかと予想できる。なぜシュートの難易度が高くなるのかについても、今後考えていきたい。
ゴールを生み出すクロスとは
次に、どのようなクロスがゴールを生み出しているのかについて考えていきたい。まず、ハイクロスとロークロスの割合だが、ほぼ半々となった。
次に、ハイクロスとロークロスをさらに分類していくと、下のようなデータになる。
ハイクロスは「大外、中央、アーリー、GK-DF間」の4種類、ロークロスは「DF-MF間、GK-DF間、アーリー、楔、スルーパス、ディフレクション」の6種類に分類した。オウンゴールに関してはそれぞれの項目に含まれている。
今回は「大外、中央、アーリー、GK-DF間、DF-MF間、楔、スルーパス」の7種類について詳しく見ていこうと思う。
大外
今大会、3バックのチームが多くなっていったことで、大外でWBが合わせる形が多く見られた。それだけでなく、オウンゴールも大外への展開からの折り返しから生まれることが多かった。このように、大外へのクロスは直接シュートするだけでなく折り返すという選択もあるが、今大会での大外へのクロスからの14ゴールのうち、10ゴールがシュート、4ゴールが折り返しから生まれており、折り返しのうち3ゴールはオウンゴールとなっている。
まずは、大外へのクロスを直接シュートする形から詳しく見ていく。大きく分けて2つのパターンがあった。
1つ目は、頭で合わせる形だ。ひとくちに頭で合わせる形といっても、そこにはいくつかの合わせ方があった。まずは、大外でフリーで合わせる形だ。
(Portugal 1-4 Germany 20 Gosens)
この図では、左WBのGosensが大外でフリーでヘディングを決めている。ポルトガルの4バックがに対して、右SBの背後でフリーになることができている場面で、システムの噛み合わせがうまく作用したシーンだ。基本的に、大外のクロスはこのように相手のSB/WBの背後でフリーになることが鍵になっている。
次に、大外で相手と競り合う形だ。
(Netherlands 3-2 Ukraine 22 Dumfries)
今回はクロスが大外まで届いてはいないが、大外に立つWBのDumfriesが相手SBの死角から前に入ってきて先にボールに触ることができている。似たようなシーンで、フィンランドのPohjanpaloが決めたデンマーク戦のゴールがある。この形は、相手のSB/WBの死角から前に入ってきてボールに合わせるものなので、接触の強さを必要とせず、さらに助走によって強いヘディングを生み出すことができる。
2つ目が、足でのシュートの形だ。
(Croatia 3-4 Spain 7 Morata)
これは、大外へのクロスをMorataが足でコントロールし、2タッチ目でシュートを決めたシーンだ。似たようなゴールは、オーストリア戦のChiesaのものがある。大外でクロスを受けるメリットのひとつに、背中側からアプローチを受けないことにある。よって、コントロールの瞬間に後ろから奪われたり体をぶつけたりする心配がないので、2タッチ目でシュートを打てるところにボールを置けたり、対面のDFを外すことができればハーフボレー気味に強いシュートを打つことができる。
(Italy 0-1 England 3 Shaw)
また、トラップをせずにボレーで狙う場面もあった。スウェーデン戦でのZinchenkoのゴールも似たようなゴールだった。コントロールをしない分シュート自体の難易度は高いが、大外へのボールは比較的緩やかな弾道になることが多く、大外から走り込むスピードを調節する余裕があるのでタイミングは合わせやすい。
大外へのクロスの特徴は、受け手がフリーでDFの死野外に立つことができていることによってフィジカル的な競り合いが少なくなり、より多くの選手にとって活用しやすいスペースであることが挙げられる。
しかし、大外でクロスに合わせる場所がよりサイドになっていくと、ゴールを狙うには角度がなくなっていってしまう。その場合、大外からさらに中央へクロスを折り返す場合が多くなる。今大会、クロスのクリアミスが原因で生まれたゴールは8ゴールあるが、そのうち3つのオウンゴールは大外からGK-DF間への折り返しから生まれている。
(Portugal 1-1 Germany 4 Dias OG)
同じ試合でのGuerreiro、ドイツとフランスの試合でのHummelsのオウンゴールも同じような状況で発生している。この3つのゴールに共通しているのは、オウンゴールをした選手がゴール方向に走りながらのクリアミスであることだ。このようにゴール方向に走りながら速いクロスをクリアすることは難しく、オウンゴールにならなくても多くの場合CKは獲得できる。このような状況を意図的に作り出すためには、相手DFラインが高い状態で大外の背後のスペースを取り、ダイレクトでGKとDFの間にクロスをあげることが必要になる。またDF側の対策としては、大外の背後を取られる瞬間に真っ直ぐゴール方向に戻り、折り返しのボールをGKとDFの間に通させないようニアポスト付近を防ぐことが考えられる。
中央
次に、中央で合わせたゴールについて見ていく。
まずは、純粋にフィジカル勝負での競り合いからのゴールだ。LewandwskiやSeferovićが競り合いからゴールを奪っている。特徴としては、背中側からぶつかることでDFを飛ばせない状態で上から叩きつけるような形でクロスに合わせることが挙げられる。
次に、DF側のポイントとOF側のポイントをそれぞれ見ていく。
まずDF側の視点として、マークを捕まえられずにフリーで決められているシーンが見られた。そのようなシーンの共通点として、クロスを上げられるタイミングで自分より内側に相手を置いていることが挙げられる。
(Croatia 1-2 Spain 2 Azpilicueta)
このシーンではAzpilicuetaがより内側に立っていることで、クロスに対して先に触ることができた。また、反対にニアサイドで相手FWを背中側(内側)に置いてしまいフリーで決められたゴールとして、ウクライナ戦のKaneのゴールがある。DFとしては、相手とゴールの間に立つことでより危険な中央で相手に触らせないようにする守備が大切になってくると考える。そうするとニアで前に入られて先に触られる可能性が出てくるが、最近はニアにマークを持たないストーンを置くことでニアのスペースを埋めるチームが増えてきている。その効果もあってか、EURO2020ではクロスをニアで合わせてのゴールは1度もなかった。逆に、今大会多くのゴールが決まった大外に関しては、このDFのルールを逆手に取るような形になるのでDFとしては非常に対応が難しいクロスだったのではないかと思う。
次にOF側のポイントとして、クロスに対して飛び込むことでDFに対して優位に立つことができることが挙げられる。
(Croatia 3-3 Spain 15 Pašalić)
クロスに対して少し離れた位置から飛び込んで合わせるメリットは2つあると考える。1つ目は、DFにマークに付かれにくいということだ。初めから中に入っていると、DFとしてはマークにつきやすいので競り合いの勝負になりやすくなってしまう。2つ目は、勢いを持って飛び込むことでDFに対してフィジカル的に優位に立てるということだ。先に構えているDFに対して助走をつけてクロスに合わせることで、接触時に強い力でぶつかることができる。また、ヘディングの威力も高くなる。これらの理由から、クロスに対して早めに中に入るよりも、勢いを持って飛び込んでいく方が中央のエリアでDFに対して優位に立つことができると考える。
アーリークロス
次に、アーリークロスについて見ていく。
(Croatia 3-5 Spain 21 Oyarzabal)
似たようなゴールにトルコ戦のShaqiri のゴールがある。どちらのゴールもビルドアップからサイドを攻略し、中央へアーリークロスをあげている。
サッカーにおいてビルドアップの目的はボールを前進させることにあるため、サイドからの前進も中央からの前進も等しい価値を持つ。しかし、ゾーン3では中央にあるゴールを目指さないといけないため、サイドから前進した場合はどこかのタイミングで中央へボールを運ばなければならない。とはいえ、DFが多く戻っている状況ではなかなかゴールをこじ開けるのは難しいので、できるだけDFが少ない状況で中央のゴール方向へボールを運んでいくことは重要だ。
GK-DF間
GKとDFの間へ送るクロスは、ワンタッチでのゴールに結びつけられるだけでなく、先に見たようにオウンゴールも誘発できる。一番のポイントは、いかにGKとDFの間のスペースが広い状況でクロスを入れられるかになる。
(Portugal 1-3 Germany 7 Havertz)
イングランドのドイツ戦の2ゴールも似たような形だが、どれもDFラインの背後へのスルーパスから早いタイミングで中へ折り返して、GKとDFの間にスペースがある状況を作り出している。攻撃側に求められるのはクロスの早さと速さ、受け手の動き出しといったところで、守備側はなんとしてもニアを通過させないようにすることが大切になるだろう。
DF-MF間
次に、DF-MF間へのクロスについて見ていく。このクロスは守備側が人数をかけて帰陣できている時にどう打ち破るかを考える上で非常に重要なクロスになる。
(Slovakia 0-3 Spain 22 Sarabia)
仕組みとしてはGK-DF間へのクロスと似ていて、今回はGK-DF間のスペースはDFが戻って消せている状況で、空いてくるDF-MF間のスペースへのクロスを狙う。DFとしてはゴール方向に戻りながらの対応になるので、背中側のDF-MF間へのボールの対処は難しくなる。
楔
ここまで、ある程度DF側がラインを保っている状況について見てきたが、場合によってはDFがPA内で低く構える状況も考えられる。そういった状況では楔のパスによる侵入が効果的になる。
(Italy 2-0 Austria 12 Pessina)
縦パスを足元に差し込み、相手を背負ったところから落としを使ったり、Lukakuの場合は自分でターンしてシュートに持っていくこともあった。DFが深く守っている状況でボールを背負うことでPA内に起点を作ることができ、DFの視線を引きつけたり、自分の手前にシュートを打てるスペースを作ることができる。
スルーパス
ハーフスペースから背後へ流れる選手へスルーパスを出し、シュートを狙う。
(Ukraine 0-1 England 10 Kane)
スルーパスからの得点はこの得点とクロアチア戦のSterlingのゴールのみ。DFラインを高く保つ相手に対して、斜めのスルーパスで背後をとる。斜め後ろからのボールになるので、シューターとしてはなかなか体の向きを作りづらいので、難易度としては高くなる。
全チームクロスデータ
全チームのデータについて、成績順に載せていく。
チームプロフィール
メンバー表→緑がクロスを多くあげている選手、青がメインのターゲット。
クロスマップ→緑がクロス成功数が多いエリア、赤が少ないエリア。
チームデータ
表→90分あたりのクロス数、成功率、クロスからのゴール数、PA内の人数の平均、PA内の相手DFとの人数差の平均。
円グラフ→全得点におけるクロスからの得点(黄色)の割合。
棒グラフ→PA内の各人数の回数。
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