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『フォーゴトン・レルム探訪』は【ディミーアローグ】をどう変えたか?

こんにちは、くろきと申します。
7/24(土)、7/25(日)に開催された日本選手権2021 SEASON2本戦【ディミーアローグ】で参加し、8-4の成績で17位。SEASON1から引き続き上位入賞となりました。

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また、『フォーゴトン・レルム探訪』リリース後のラダー戦績は83-29(勝率約74%)、ミシックランク#6まで到達しています。(7/26現在)

SCG Tour Online Satelliteという競技イベントでの6-0入賞も複数あり、【ディミーアローグ】は再注目されつつあるアーキタイプです。この記事では『フォーゴトン・レルム探訪』のカードが【ディミーアローグ】に与えた影響と、自分がデッキを作るうえで考えていたことを紹介します。

1.これまでの【ディミーアローグ】

 【ディミーアローグ】は部族:ならず者の切削能力を活かしたビートダウンとコントロールの両方の性質を持つデッキです。基本的な戦術は対戦相手のライブラリーを切削しながら《物語への没入》《夢の巣のルールス》のようなカードで一気にリソースを回復して粘り強く戦うことです。

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 そんな【ディミーアローグ】には明確な弱点が存在します。それは対戦相手に墓地のカードを利用されてしまう点です。具体的には《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》《アゴナスの雄牛》といった脱出カードになります。脱出クリーチャーは+1/+1カウンターが乗った状態で戦場に戻ってくるためメジャーな除去カードである《無情な行動》ではどうにもならず、脱出のコストで肝心の墓地枚数を減らされてしまうのです。

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 また【ディミーアローグ】はカードを大量にドローするためにマナフラッドしやすい弱点もあります。

2.新カードによるアップデート

 『フォーゴトン・レルム探訪』の新カードによって【ディミーアローグ】は苦手としていた脱出カードやマナフラッドに対応しやすくなりました。注目するべき新カードは次の3枚です。

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《パワー・ワード・キル》

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 新しい黒の2マナインスタント除去です。スタンダードの環境には既に強力な2マナ除去である《無情な行動》、《取り除き》が存在していますが、《パワー・ワード・キル》はこれら従来の除去の弱点を補うことができます。

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 先述のように脱出クリーチャーは【ディミーアローグ】にとって天敵と言えるカードでしたが、《パワー・ワード・キル》はすべての脱出クリーチャーに対して有効です。除去のタイミングによっては後述の《目玉の暴君の住処》と合わせて完全に対処することも可能です。

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 《パワー・ワード・キル》の除去範囲を《取り除き》と比較すると《不詳の安息地》に効かない弱点があります。しかし、【ディミーアローグ】には《湖での水難》《盗賊ギルドの処罰者》での瞬速ブロックなど《不詳の安息地》に対処する方法が複数存在しています。《取り除き》を優先する理由は薄いでしょう。


《目玉の暴君の住処》

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 クリーチャー化できる土地、通称ミシュラランドはマナフラッド受けに最適で、デッキの強さを支える縁の下の力持ちといえる存在です。これまでスタンダードの単色デッキで採用されていた《不詳の安息地》は特に強力ですが、氷雪マナの制限によって2色デッキでの採用は困難でした。そんな中新しく登場したミシュラランドは色マナを出すことができて2色以上のデッキでも無理なく採用することができます。

 《物語への没入》でカードを大量にドローする【ディミーアローグ】はマナフラッドのリスクが付きまとい、新しいミシュラランドが加わったことによる恩恵を大きく受けることができるのです。特に《目玉の暴君の住処》はすべての能力が【ディミーアローグ】に噛み合っています。

 墓地のカードを追放する能力は致命的となる脱出カードに根本的な対処ができ、【ディミーアローグ】の弱点を補う重要なものです。従来の墓地対策カードとしては《塵へのしがみつき》《魂標ランタン》が一般的でしたが、これらのカードは基本的にカードアドバンテージやテンポを失ってしまいます。一方で《目玉の暴君の住処》はマナこそ必要であるものの、ダメージを稼ぎながら繰り返し墓地を追放することができます。土地の持っている能力として考えると破格の性能です。

 さらに威迫という回避能力も強力で、除去の豊富な【ディミーアローグ】では相手のクリーチャーの頭数を減らしてブロックされない場を作りやすいでしょう。また【スゥルタイ根本原理】に対して《長老ガーガロス》《キオーラ、海神を打ち倒す》のクラーケントークンのような巨大なブロッカーが対処できない状況でも無理やりダメージを通せる場合があります。対戦相手のライフさえ十分削っていれば《出現の根本原理》が通る=負けではなくなるのです。


《ストーム・ジャイアントの聖堂》

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 青のミシュラランド《ストーム・ジャイアントの聖堂》は《目玉の暴君の住処》と比べて起動コストが6マナと重たく、取り回しのよいカードではありません。しかし7/7というサイズや護法3の能力がもたらす利点があります。

 1つ目の利点は【スゥルタイ根本原理】【イゼットドラゴン】のようなコントロールに近い動きをするデッキにかけられる圧力です。7点のダメージは十分に致命傷となりうるものですが、クリーチャー化した《ストーム・ジャイアントの聖堂》に対処するためには基本的に最低5マナ構えることが必要です。対戦相手にとっては大振りのアクションをした返しのターンで大ダメージを負う可能性があり、大きなプレッシャーをかけることができます。この土地を置いておくだけで対戦相手の「重くて強いカードを順番に叩きつける戦略」を否定することができるのです。またゲーム後半で腐ってしまったこちらの《神秘の論争》を相手のマナを縛る目的で有効に使用できるようになる点も見逃せません。

 2つ目の利点はクリーチャーデッキに対してのブロッカーとしての性能です。【ディミーアローグ】は他のクリーチャーデッキに対しては受けに回る展開が多く、7/7サイズの除去耐性持ちブロッカーを用意できることには大きな価値があります。対戦相手がブロックを嫌って攻撃してこなかった場合には使用しなかったマナをインスタントタイミングでの行動にあてることもできて無駄がありません。

3.『フォーゴトン・レルム探訪』リリース後の環境

 【ディミーアローグ】にとって『フォーゴトン・レルム探訪』リリース直後のスタンダード環境は非常に戦いやすい状況でした。これには主に3つの要因があります。

要因1:有利なデッキの人気が高かった

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 MTG Dataによって7/19~7/25に行われたスタンダードイベントの結果がまとめられています。使用率の上位は【スゥルタイ根本原理】【緑単アグロ】【ティムールルーカ】であり【ディミーアローグ】はこれらのデッキに対して高い勝率を誇っています。

要因2:天敵となる【サイクリング】【赤単アグロ】【ラクドスサクリファイス】の減少

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 【ディミーアローグ】は相手の山札を切削することが前提のデッキです。その性質から墓地のカードをリソースとして使えるデッキは天敵となります。特に不利であるのが【サイクリング】【赤単アグロ】【ラクドスサクリファイス】。しかし現在これらのデッキの立ち位置はあまりよいとは言えず、使用率は高くありません。

要因3:新カード《バーニング・ハンズ》の登場

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 《バーニング・ハンズ》は『フォーゴトン・レルム探訪』新規収録カードの中でも革命的な性能を持つカードです。これまで赤い除去のほとんどは緑系の大型クリーチャーに対して使いづらい欠点がありました。ところが、このカードの登場によって黒を含まないデッキでもわずか2マナで《長老ガーガロス》や《星界の大蛇、コーマ》に対処できるようになったのです。

 一見不思議なようですが、この《バーニング・ハンズ》は赤の入ったデッキだけではなく【ディミーアローグ】を間接的に強化しています。《バーニング・ハンズ》が赤系デッキのサイドボードに採用される代わりに《火の予言》《焦熱の竜火》といった2マナ3点火力の採用枚数が減少したからです。【ディミーアローグ】の《遺跡ガニ》《空飛ぶ思考盗み》といったタフネス3の軽量クリーチャーは以前よりも除去されにくくなっているといえるでしょう。

4.デッキリスト

 日本選手権で私が使用した【ディミーアローグ】です。新しいカードを使用した【ディミーアローグ】の一般的なリストはまだ確立していないため、あくまでひとつの構築例となります。

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MTG Decklist Viewerを使用。

相棒1枚
1 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》

クリーチャー 16枚
4 《マーフォークの風泥棒/Merfolk Windrobber》
4 《遺跡ガニ/Ruin Crab》
4 《盗賊ギルドの処罰者/Thieves' Guild Enforcer》
4 《空飛ぶ思考盗み/Soaring Thought-Thief》

ソーサリー 4枚
2 《アガディームの覚醒/Agadeem's Awakening》
2 《心を一つに/Of One Mind》

インスタント 15枚
4 《湖での水難/Drown in the Loch》
4 《物語への没入/Into the Story》
2 《無情な行動/Heartless Act》
2 《パワー・ワード・キル/Power Word Kill》
1 《無礼の罰/Didn't Say Please》
1 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1 《ジュワー島の撹乱/Jwari Disruption》

土地 25枚
6 《島/Island》
4 《清水の小道/Clearwater Pathway》《泥水の小道/Murkwater Pathway》
4 《寓話の小道/Fabled Passage》
4 《欺瞞の神殿/Temple of Deceit》
3 《沼/Swamp》
3 《目玉の暴君の住処/Hive of the Eye Tyrant》
1 《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants》

サイドボード 15枚
2 《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
2 《神秘の論争/Mystical Dispute》
2 《激しい恐怖/Crippling Fear》
2 《スカイクレイブの影/Skyclave Shade》
1 《塵へのしがみつき/Cling to Dust》
1 《死の重み/Dead Weight》
1 《壮大な破滅/Epic Downfall》
1 《才能の試験/Test of Talents》
1 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1  《絶滅の契機/Extinction Event》
1 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》

 ※インポート用リストは記事最後に記載

5.新環境デッキ構築の際に考えたこと

 私は前環境から好んで【ディミーアローグ】を使用していたわけではなかったため、デッキ構築のスタートはストリクスヘイヴン・リーグウィークエンドの構築を参考にするところからでした。

参考:STXリーグウィークエンド7月【ディミーアローグ】(CARLOS ROMÃO選手)
引用元:https://magic.gg/decklists/july-strixhaven-league-weekend-mpl-standard-decklists

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 【ディミーアローグ】の構築は『ゼンディカーの夜明け』で確立して以来、軸となる動きには変化はありません。私の構築もほとんどの採用カードはもとのリストと同じです。そのため以下の節では細かな採用カードの採択について記載しています。

ポイント①:除去やカウンターの選択

《パワー・ワード・キル》の採用 除去は散らす

 2マナの除去として優秀な《パワー・ワード・キル》が加わりました。除去呪文については範囲の異なるものを散らして採用することで自分のプレイの選択肢を増やすことができます。例えば《無情な行動》が2枚手札にある状況と《無情な行動》と《パワー・ワード・キル》が1枚ずつ手札にある状況とでは当然後者の方が相手の行動に対応しやすいでしょう。今回は《無情な行動》と《パワー・ワード・キル》を1:1の割合である2枚ずつの採用としました。

《神秘の論争》メイン不採用

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 【緑単アグロ】など青を使わないデッキが環境に多数存在することから《神秘の論争》はメインボードに不採用としました。《神秘の論争》は序盤の妨害には使えるものの、クリーチャーデッキに対してはロングゲームを仕掛けることが多く、後半引いてしまった場合に使いにくい点が気がかりでした。

ポイント②:マナベース

ミシュラランドの贅沢な採用 マナフラ受けカードのアップデート

 繰り返しになりますが《目玉の暴君の住処》、《ストーム・ジャイアントの聖堂》は非常にデッキにマッチしており、特に前者は可能な限り採用したいカードです。今回は《寓話の小道》から持ってくる基本土地の枚数、色マナカウントの兼ね合いから《目玉の暴君の住処》を3枚《ストーム・ジャイアントの聖堂》を1枚の採用としました。《ストーム・ジャイアントの聖堂》は起動コストの重さからゲームの後半までに1枚引ければ嬉しいカードであるため、複数枚採用する必要はないと考えます。

 もともとの構成の【ディミーアローグ】にもマナフラッドを受けられるカードは存在しています。《ロークスワイン城》《ゼイゴスのトライオーム》です。これらのカードは新しいミシュラランドの採用によって不要だと判断しました。

《ロークスワイン城》《ゼイゴスのトライオーム》不採用

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 《ロークスワイン城》はアドバンテージを継続的に得られるカードですが、ライフルーズのデメリットがあるためにクリーチャーデッキに対してはマナフラッド受けとして不安定です。コントロールデッキに対しては強力ですが、ミシュラランドを用いて早期に殴り切ることのできる展開も増えたため、このカードによって細かくアドバンテージを稼ぐ動きができなくても大きな問題はありません。

 また【ディミーアローグ】は4マナ目をアンタップインできるかという点が非常に重要です。2マナのアクションを2回取りたい場合が多く、切削が順調であれば《物語への没入》で一気にリソース差をつけることができるようになるためです。今回ミシュラランドによってタップインリスクのある土地が増えたために、確定タップインしてしまう土地の枚数を減らすことにしました。上記の通り《ロークスワイン城》を不採用にしていたことから沼である《ゼイゴスのトライオーム》を《欺瞞の神殿》よりも優先して採用する理由が薄く、こちらを不採用としました。

土地枚数の増加 LOプランなら後半も土地を置きたい

 これまでの【ディミーアローグ】のよくある土地枚数は、純粋な土地24枚+《アガディームの覚醒》2枚=26枚が一般的です。この構築では純粋な土地25枚+《アガディームの覚醒》2枚+《ジュワー島の撹乱》1枚=28枚と多めの構成となっています。この構成にした理由は次の3つです。

①強力なマナフラ受けであるミシュラランドを採用したためにマナフラッドのリスクが減った。

②確定タップイン土地を減らして序盤の動きを安定させながらも、色マナのカウントを維持したかった。

②LOでの勝利を狙うなら《遺跡ガニ》の切削を毎ターンのように行う必要があると考えた。

《ジュワー島の攪乱》の採用

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 また特筆するべきなのは《ジュワー島の攪乱》の採用です。このカードの弱点はゲームの後半に使い道がないという点にあります。カウンターとして機能せず、普通のデッキであれば後半土地としてプレイすることの意味も薄いためです。しかし【ディミーアローグ】では《遺跡ガニ》がいれば相手のライブラリーへの攻撃手段へと変化させることができます。日本選手権はリスト公開であること踏まえてケアの難しい1枚の採用。除去の難しい《ガラクの先触れ》や、《裕福な亭主》からの宝物を利用した《エシカの戦車》をカウンターするなどの重要な活躍をし、好感触であるため今後枚数を増やすことを検討してもよいカードだと感じました。

6.サイドボーディング例 (7/28追記)

 日本選手権にあたって用意していたサイドボーディングについて記載します。当然ですがリスト公開の大会においては対戦相手のサイドボードの構成を見て微調整する必要があります。特に脱出カードの枚数は重要です。

基本的な方針
 【ディミーアローグ】にはライフを削るプランとライブラリーを削るプランの2つがあり、サイドボーディング後はこれらのプランの方針をより立てやすくなります。ほとんどのマッチアップでは対戦相手の除去が増え、軽く使うことが難しい《心を一つに》はサイドアウト。すべてのマッチアップで腐らないものの取り回しの悪い《無礼の罰》もサイドアウトする傾向にあります。

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 あとは受ける展開になるのであれば除去を増やし、攻める展開になるのであればバックアップするカウンターを追加していきます。ただし特殊な動きをするデッキに対してはその限りではありません。

【スゥルタイ根本原理】(優先プラン:ビートダウン)
[in]
《塵へのしがみつき/Cling to Dust》1
《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》1
《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》1
《神秘の論争/Mystical Dispute》2
《才能の試験/Test of Talents》1
《スカイクレイブの影/Skyclave Shade》2
《壮大な破滅/Epic Downfall》1

[out]
《遺跡ガニ/Ruin Crab》4
《無情な行動/Heartless Act》2
《心を一つに/Of One Mind》2
《無礼の罰/Didn't Say Please》1

 除去に強い《スカイクレイブの影》を用いたビートダウンを目指します。基本的には除去を減らしてカウンターを追加しますが《壮大な破滅》は《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》や《星界の大蛇、コーマ》に対して使いやすい追放除去となるためにサイドイン。《魂標ランタン》は墓地の《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》を追放できるだけでなく、《夢の巣のルールス》と合わせて《影の評決》で追放されないアドバンテージ要因にすることができます。対戦相手は《出現の根本原理》をサイドアウトしてくることも多く、時にはマナを構えずに《物語への没入》を自分のターンに唱えるなどの思い切ったプレイも必要です。

【緑単アグロ】【白単アグロ】(優先プラン:LO)
[in]
《死の重み/Dead Weight》1
《壮大な破滅/Epic Downfall》1
《激しい恐怖/Crippling Fear》2
《絶滅の契機/Extinction Event》1

[out]
《マーフォークの風泥棒/Merfolk Windrobber》1
《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》1
《心を一つに/Of One Mind》2
《無礼の罰/Didn't Say Please》1

 基本的なクリーチャーデッキです。カウンターを減らして除去を追加します。すれ違いのダメージレースでは不利になることが多く、守りながらLOプランを目指します。【緑単アグロ】は脱出を持つ《鎖巣網のアラクニル》をサイドに採用している場合がありますが、カードパワーが低く脅威となることはあまりありません。《目玉の暴君の住処》での対応で十分でしょう。

【赤単アグロ】【ナヤクラリオン】【グルールアグロ】(優先プラン:LO)
[in]
《死の重み/Dead Weight》1
《塵へのしがみつき/Cling to Dust》1
《壮大な破滅/Epic Downfall》1
《激しい恐怖/Crippling Fear》2
《絶滅の契機/Extinction Event》1

[out]
《マーフォークの風泥棒/Merfolk Windrobber》2
《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》1
《心を一つに/Of One Mind》2
《無礼の罰/Didn't Say Please》1

 赤の含まれるクリーチャーデッキです。基本的には【緑単アグロ】【白単アグロ】と類似したサイドボーディングを行いますが、《砕骨の巨人》を意識して《踏みつけ》の的になりやすい《マーフォークの風泥棒》を減らし、《アゴナスの雄牛》に対応できるように《塵へのしがみつき》を追加します。

【ナヤウィノータ】(優先プラン:LO)
[in]
《死の重み/Dead Weight》1
《塵へのしがみつき/Cling to Dust》1  ※《アゴナスの雄牛》次第
《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》1
《壮大な破滅/Epic Downfall》1
《激しい恐怖/Crippling Fear》2
《絶滅の契機/Extinction Event》1

[out]
《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants》1
《マーフォークの風泥棒/Merfolk Windrobber》2
《心を一つに/Of One Mind》2
《無礼の罰/Didn't Say Please》1
《物語への没入/Into the Story》1

 『フォーゴトン・レルム探訪』リリース後の環境で頭角を現したデッキです。4マナ、5マナに脅威となるカードが多く《軽蔑的な一撃》が有効となります。このマッチアップでは全体除去《激しい恐怖》を引き込めるかどうかが肝心となり、盤面を流すことができれば大きく優位に立つことができるでしょう。全体除去でアドバンテージを取ることができれば追加のリソース獲得手段はそこまで重要ではないと考えて、私は《物語への没入》の枚数を減らしています。【ナヤウィノータ】の構成はサイドボードを含めてまだ固まっておらず、柔軟なサイドボーディングが求められるので注意が必要です。

【イゼットドラゴン】(優先プラン:ビートダウン)
[in]
《塵へのしがみつき/Cling to Dust》1
《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》1
《才能の試験/Test of Talents》1
《スカイクレイブの影/Skyclave Shade》2
《壮大な破滅/Epic Downfall》1
《神秘の論争/Mystical Dispute》2

[out]
《遺跡ガニ/Ruin Crab》4
《パワー・ワード・キル/Power Word Kill》2
《心を一つに/Of One Mind》2

 《スカイクレイブの影》が強力なマッチアップです。《黄金架のドラゴン》《アールンドの天啓》のような対戦相手の大振りなアクションを妨害しながらライフを削っていきます。《アゴナスの雄牛》や《灰のフェニックス》をサイドインされるため、必要以上に切削をしないプレイが求められる場合があります。

【サイクリング】(優先プラン:LO)
[in]
《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》2
《才能の試験/Test of Talents》1
《神秘の論争/Mystical Dispute》2

[out]
《マーフォークの風泥棒/Merfolk Windrobber》2
《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》1
《ジュワー島の撹乱/Jwari Disruption》1
《無礼の罰/Didn't Say Please》1

 対戦相手の墓地が増えるほど強力になる《天頂の閃光》に注意が必要なマッチアップです。【サイクリング】は《アイレンクラッグの紅蓮術師》以外ではこちらのクリーチャーに触りづらく、《遺跡ガニ》による切削プランを《才能の試験》や《魂標ランタン》でバックアップします。《天頂の閃光》だけでなく《型破りな協力》も厳しく、こちらの序盤の動きが悪ければビートダウンプランは難しいでしょう。

【ディミーアローグ】(優先プラン:ビートダウン)
[in]
《塵へのしがみつき/Cling to Dust》1
《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》1
《才能の試験/Test of Talents》1
《スカイクレイブの影/Skyclave Shade》2
《神秘の論争/Mystical Dispute》2

[out]
《遺跡ガニ/Ruin Crab》4
《心を一つに/Of One Mind》2
《無礼の罰/Didn't Say Please》1

 ミラーマッチでLOプラン、ビートダウンプランのどちらを優先するかは人によって分かれるところです。《スカイクレイブの影》は対戦相手の切削によってはタダで唱えることができ、押し付ける動きをすることで《物語への没入》が通りやすくなるため、私はビートダウンプランを選択します。

【ティムールルーカ】(優先プラン:LO)
[in]
《塵へのしがみつき/Cling to Dust》1 ※《アゴナスの雄牛》次第
《死の重み/Dead Weight》1
《壮大な破滅/Epic Downfall》1
《神秘の論争/Mystical Dispute》2
《絶滅の契機/Extinction Event》1

[out]
《マーフォークの風泥棒/Merfolk Windrobber》2
《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》1
《心を一つに/Of One Mind》2
《無礼の罰/Didn't Say Please》1

 基本的にはクリーチャーデッキですが、出来事呪文やカウンターなどによる妨害にも長けるデッキです。《激しい恐怖》は《恋煩いの野獣》《厚かましい借り手》には効きづらいため、全体除去は《絶滅の契機》のみサイドインします。《物語への没入》できちんとリソースを取ることが重要なので、対戦相手のカウンターに合わせられるように《神秘の論争》も必要になります。

【ジェスカイ変容】(優先プラン:なし 両面で攻める)
[in]
《塵へのしがみつき/Cling to Dust》1
《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》1
《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》1
《才能の試験/Test of Talents》1
《壮大な破滅/Epic Downfall》1
《神秘の論争/Mystical Dispute》2

[out]
《マーフォークの風泥棒/Merfolk Windrobber》2
《パワー・ワード・キル/Power Word Kill》2
《心を一つに/Of One Mind》2
《無礼の罰/Didn't Say Please》1

 《黄金架のドラゴン》と変容クリーチャーを軸としたコンボ・コントロールデッキです。【ジェスカイ変容】はビートダウン・LOどちらのプランでも戦いやすい相手となります。いずれにせよ《黄金架のドラゴン》を通さないことが重要です。変容クリーチャーに対しては《非実体化》に注意しつつ的確に除去をあてていきましょう。《スカイクレイブの影》は《棘平原の危険》で追放されてしまうためサイドインできません。

7.終わりに

 変化が少ないと言われていた【ディミーアローグ】は『フォーゴトン・レルム探訪』で強力な武器を手に入れました。新環境での構築はまだ確立していないものの、今後の活躍も期待できる有力なアーキタイプとなっています。本記事を参考に『フォーゴトン・レルム探訪』の新カードを使った【ディミーアローグ】を試してみてはいかがでしょうか。

 7/23(金)~7/26(月)は日本選手権や復活したSCG Tour Onlineによって大きく環境が動いた週末でした。そのような未開拓といえる環境で結果を残せるように試行錯誤する過程は本当に楽しいです。これからのスタンダードの環境の変遷にも目が離せません。

 最後までご覧くださりありがとうございました。内容について、ぜひご意見やコメントなど頂けると嬉しい限りです。今後ともよろしくお願いいたします。

8.付録 MTGA用インポートリスト

(日本語)
相棒
1 夢の巣のルールス (IKO) 226

デッキ
4 マーフォークの風泥棒 (ZNR) 70
4 遺跡ガニ (ZNR) 75
4 空飛ぶ思考盗み (ZNR) 236
4 盗賊ギルドの処罰者 (M21) 125
2 アガディームの覚醒 (ZNR) 90
2 心を一つに (IKO) 60
1 無礼の罰 (ELD) 42
1 軽蔑的な一撃 (GRN) 37
4 湖での水難 (ELD) 188
2 無情な行動 (IKO) 91
4 物語への没入 (ELD) 50
1 ジュワー島の撹乱 (ZNR) 64
4 清水の小道 (ZNR) 260
4 寓話の小道 (M21) 246
3 沼 (ZNR) 273
4 欺瞞の神殿 (THB) 245
3 目玉の暴君の住処 (AFR) 258
2 パワー・ワード・キル (AFR) 114
6 島 (ZNR) 271
1 ストーム・ジャイアントの聖堂 (AFR) 257

サイドボード
1 塵へのしがみつき (THB) 87
1 死の重み (IKO) 83
1 壮大な破滅 (ELD) 85
2 魂標ランタン (THB) 237
1 才能の試験 (STX) 59
1 軽蔑的な一撃 (GRN) 37
2 神秘の論争 (ELD) 58
2 激しい恐怖 (KHM) 82
1 絶滅の契機 (IKO) 88
1 夢の巣のルールス (IKO) 226
2 スカイクレイブの影 (ZNR) 125

(English)
Companion
1 Lurrus of the Dream-Den (IKO) 226

Deck
4 Merfolk Windrobber (ZNR) 70
4 Ruin Crab (ZNR) 75
4 Soaring Thought-Thief (ZNR) 236
4 Thieves' Guild Enforcer (M21) 125
2 Agadeem's Awakening (ZNR) 90
2 Of One Mind (IKO) 60
1 Didn't Say Please (ELD) 42
1 Disdainful Stroke (GRN) 37
4 Drown in the Loch (ELD) 188
2 Heartless Act (IKO) 91
4 Into the Story (ELD) 50
1 Jwari Disruption (ZNR) 64
4 Clearwater Pathway (ZNR) 260
4 Fabled Passage (M21) 246
3 Swamp (ZNR) 273
4 Temple of Deceit (THB) 245
3 Hive of the Eye Tyrant (AFR) 258
2 Power Word Kill (AFR) 114
6 Island (ZNR) 271
1 Hall of Storm Giants (AFR) 257

Sideboard
1 Cling to Dust (THB) 87
1 Dead Weight (IKO) 83
1 Epic Downfall (ELD) 85
2 Soul-Guide Lantern (THB) 237
1 Test of Talents (STX) 59
1 Disdainful Stroke (GRN) 37
2 Mystical Dispute (ELD) 58
2 Crippling Fear (KHM) 82
1 Extinction Event (IKO) 88
1 Lurrus of the Dream-Den (IKO) 226
2 Skyclave Shade (ZNR) 125

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