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デッキ紹介:4C夕暮れヒバリコンボ【ヒストリック】

 こんにちは、くろきと申します。前回のローグの記事が予想以上に好評であり、非常に嬉しいです。今後もネタが思いつき次第、無理のない範囲で記事を書いていきたいと思います。

 さて、今回ご紹介するデッキは【4C夕暮れヒバリコンボ】。ヒストリックで話題の、『Jumpstart: Historic Horizons』に収録された《夕暮れヒバリ》と《ダブリエルの萎縮》を用いたコンボデッキです。

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 大会などで結果を残したデッキというわけではありませんが、構築に新規性があり、ダイヤ~ミシック帯のラダーでの勝率も22-6(勝率約79%)と十分なので記事にしたいと思った次第です。

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1.《夕暮れヒバリ》の無限コンボについて

 コンボの簡単な説明をします。

[1]《夕暮れヒバリ》を対象に《ダブリエルの萎縮》を使用。《夕暮れヒバリ》のサイズが永久に(墓地に送られても)1/-1に。

[2] そのまま戦場の《夕暮れヒバリ》は死亡し、誘発型能力で自身を墓地から戻すことができる。

[3] しかし《夕暮れヒバリ》は即座に再度死亡、再び誘発型能力で自身を墓地から戻して… (以降[3]の繰り返し)

といった具合に墓地と戦場を何度も行き来することができるのです。

 《血の芸術家》《残酷な祝賀者》が隣にいれば無限ドレインで勝利、《魂の管理人》《裕福な亭主》でも無限ライフ(実際には時間の関係で有限ですが)となります。

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 このコンボには特に優れている点が2点存在します。

利点①:コンボにかかるマナが少なく、最短3ターンでコンボが決まる。
 
《夕暮れヒバリ》は3マナのカードですが、想起コストの2マナでも唱えることができます。そのため2ターン目に《血の芸術家》、3ターン目に《夕暮れヒバリ》を想起キャスト、生贄に捧げられる前に《ダブリエルの萎縮》、と動くことで最速3ターン目にはコンボが決まります。(想起キャストはフルコントロール必須) これは既に禁止となった《タッサの神託者》《汚れた契約》のコンボに匹敵するスピードです。

利点②:コンボパーツである《ダブリエルの萎縮》が強力。
 コンボデッキの弱点として、コンボカードが揃わないときのカード単体での弱さが挙げられます。その点《ダブリエルの萎縮》は1マナの軽量除去として扱うことができて強力です。クリーチャーを使用しないデッキに対しても、コンボパーツとしての役割があるので無駄にならない除去カードになります。

 一方でこのコンボには弱点や工夫が必要な点も存在します。

欠点①:相手に妨害されやすい。
 このコンボはクリーチャーが墓地と戦場を行き来するというものであり、ほとんどの墓地対策が有効です。《墓掘りの檻》《安らかなる眠り》,《魂標ランタン》などはメジャーなサイドカードですが、これらのカードが戦場にあるとコンボをスタートすることができません。
 また墓地対策でなくとも《ダブリエルの萎縮》に対応して《夕暮れヒバリ》が除去されてしまうとコンボが失敗します。様々な妨害を受けやすいという点は考慮する必要があるでしょう。

欠点②:コンボパーツの《夕暮れヒバリ》,《血の芸術家》が単体で微妙。
 
《ダブリエルの萎縮》が単体でも使いやすいカードである一方で、他のコンボパーツである《夕暮れヒバリ》,《血の芸術家》は単体ではほとんど何もしません。これらのカードをうまく使うには他のクリーチャーと組み合わせなければなりませんが、《夕暮れヒバリ》の能力はパワー1以下のクリーチャーを要求し、非常に限定的です。これらのカードを上手く活かしたデッキ構築は腕の問われるポイントと言えます。

2.デッキ概要

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MTG Decklist Viewerを使用。インポート用のリストは末尾に記載します。

 このデッキは上記のヒバリコンボと《魂寄せ》によるブリンクシナジーを組み合わせたデッキです。優位な盤面を築きながら、パーツが揃い次第コンボを狙います。

なぜ《魂寄せ》なのか?

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 《魂寄せ》は『モダンホライゾン』出身で、今回新たに追加されたカードの1枚です。自分の終了ステップごとにクリーチャー1体をブリンクすることができ、戦場に出たとき/離れたときに誘発する能力を毎ターン使用することができるようになります。
 このカードは《夕暮れヒバリ》との相性が抜群です。パワーが1であるため《夕暮れヒバリ》によって墓地から釣り上げることができ、これら2種を戦場に揃えると毎ターン《夕暮れヒバリ》の能力で墓地のクリーチャーを戻すことができるようになるのです。《血の芸術家》はパワー1以下でありコンボに必要なカードを格段に揃えやすくなります。

 《魂寄せ》は《スカイクレイブの亡霊》《拘留代理人》《迷い子、フブルスプ》など様々なカードとシナジーを形成しています。これらのブリンクシナジーには墓地対策が効かないため、サイド後に動きを阻害されにくい点が優秀です。特にクリーチャーデッキ相手にはコンボを決めずとも盤面の優位を取って勝てる場合もあります。《魂寄せ》はコンボを支えつつ、ミッドレンジとして振る舞う強力なサブプランを提供してくれているのです。

3.個々のカードについて

 その他のカードについての採用理由、役割について述べます。

3.1.メインボード

《集合した中隊》×4

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 《夕暮れヒバリ》や《血の芸術家》,《魂寄せ》などデッキの軸となるカードは2~3マナのクリーチャーであり、これらのカードを戦場に揃えることでデッキの真価が発揮されます。そのため1枚で2枚のクリーチャーを展開できる《集合した中隊》は非常に強力です。このカードは過去から現在に至るまで様々なデッキの中核をなしており、ヒストリックというフォーマットにおいても特に強力なカードの1枚です。色を1色増やしてでも使用するべきだと判断しました。

②《スカイクレイブの亡霊》×3,《拘留代理人》×4

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 どちらのクリーチャーも戦場に出たときの誘発型能力で対戦相手のパーマネントを追放します。除去能力は単純にクリーチャーデッキに対して強く、《魂寄せ》で使いまわしながら《魂寄せ》にカウンターを置いていく動きを取ることができます。またクリーチャー以外のパーマネントも追放できるため、サイド後の墓地対策カードに対処できる点も魅力的です。

《魅力的な王子》×2,《迷い子、フブルスプ》×3

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 序盤の動きを支える2マナクリーチャーです。戦場に出たときの能力で占術やドローを行うことができ、デッキの潤滑油として機能します。コンボパーツを探す役割以外にも序盤のブロッカーとなったり、《魂寄せ》と合わせてアドバンテージを稼いだりと様々な役割が期待できます。《迷い子、フブルスプ》は《集合した中隊》からめくれた場合には2枚ドローすることができ、3マナのクリーチャー以外の当たり枠としても十分です。

④《残酷な祝賀者》×1

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 《血の芸術家》と類似しており同じ役割を持っていますが、以下の点が異なります。
(デメリット)
・対戦相手のクリーチャーの死亡で誘発しない。
・色拘束が少し厳しい。

(メリット)
・サイズがやや優れている。
・誘発能力が対戦相手を対象に取らない。

 対戦相手のクリーチャー死亡でも誘発する《血の芸術家》であれば同型での夕暮れヒバリコンボで負けなくなり、基本的には優れています。しかし《残酷な祝賀者》であれば《セラの使者》でプロテクション(クリーチャー)を付与されてもコンボで勝利することができる重要な特徴があります。《集合した中隊》や《夕暮れヒバリ》のリアニメイトなどで選択肢を作ることができるよう、散らして採用することとしました。

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《無私の救助犬》×4

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 唯一採用している1マナクリーチャーです。序盤の動きを担保しつつ、除去による妨害を潜り抜けてコンボを決めることができるようになるため、【夕暮れヒバリコンボ】では積極的に採用するべきクリーチャーだと考えています。《夕暮れヒバリ》によるリアニメイト先としても優秀で、《魂寄せ》や《拘留代理人》など盤面に残ることに価値のあるクリーチャーを維持しやすくなる点も重要です。

3.2.サイドボード

①クリーチャーデッキ用 《ポータブル・ホール》×3

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 範囲の広く非常に使いやすい軽量除去です。2マナ以下のカードしか追放できませんが、3マナの《スカイクレイブの亡霊》や《拘留代理人》が間に合いにくい軽いパーマネントに対処できる魅力があります。また多くの墓地対策カードにも簡単に対処できる点が優れています。環境に依らず取って損のないカードと言えるでしょう。

②コントロール系デッキ用 《呪文貫き》×1,《思考囲い》×3,《精鋭呪文縛り》×2

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 コントロールデッキやコントロールに近いコンボデッキに対しては、こちらが盤面の形成を前提とするコンボである都合上、厳しい戦いを強いられることが多いです。相手の強力なアクションや全体除去などを上手く躱しつつ、早期にコンボを決めることを目指します。そのためコンボをバックアップすることのできる軽い打ち消しやハンデスを追加していきます。

③専用対策カード 《悔恨する僧侶》×2,《紺碧のドレイク》×2,《翻弄する魔道士》×2

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 特定のデッキに対して有効なサイドカードです。これらの枠は特に環境によって調整する必要があるでしょう。まだ環境が固まらず有効なサイドボードを構築することが難しいため、ひとまずは墓地を使用するデッキ(ヒバリコンボ、アルカニストなど)赤の濃いビートダウンデッキ(赤単、イゼフェニなど)特定カードに依存するコンボデッキ(城塞、独創力など)を意識して残りのサイドボードを作りました。これらはすべて2マナのクリーチャーであり、《集合した中隊》から探すことのできる点が優れています。

4.今後のデッキ調整のポイント・課題

①マナベース
 
本デッキのマナベースは次のようになっています。

土地枚数 25枚
白マナ  17枚
青マナ  15枚
黒マナ  14枚
緑マナ  10枚

 色マナの数は現状で十分だと感じていますが、気がかりな点が1つあります。それは4ターン目に《集合した中隊》が使いづらい点です。4色デッキの都合上、トライオームや2色土地は大量に採用せざるを得ません。現状の構成ではトライオームが6枚、ファストランドが5枚取られており、4枚目のアンタップイン土地を置きにくい構成となってしまっています。環境に合わせて、ショックランドやチェックランドなど他の2色土地を増やすことも検討するべきでしょう。

②マナフラッド対策
 
このデッキのマナフラッド対策は2種類です。
・《魅力的な王子》による占術
・トライオームのサイクリング

 逆に言うとこれだけしかマナフラッド対策がなく、余ったマナの使い先を他に用意できるとデッキの強さも一段上がるように感じます。繰り返し使える起動型能力を持ったカードは採用を検討できるかもしれません。

③サイドボード
 
多色デッキの魅力は様々な色のカードを採用できる点です。流行デッキに対するサイドカードを広いプールから選ぶことができ、調整の幅も広いと言えるでしょう。特に専用対策カードの枠は環境によって変化させる必要が大きく、ベストな形を見つける楽しみがあります。

5.終わりに

 『Jumpstart: Historic Horizons』が追加された後のヒストリックでは多くのデッキが強力なカードを手に入れ、新しいデッキも次々登場しています。【夕暮れヒバリコンボ】も新たに登場したデッキで、その構築にはまだまだたくさんの可能性が存在します。今回の記事は【夕暮れヒバリコンボ】の可能性の1つを提案したに過ぎませんが、少しでも興味を持っていただけた点があれば幸いです。

 ここまでお読みくださりありがとうございました。今後も記事を書いていきたいと考えておりますので、何卒よろしくお願いいたします。

6.MTGA用インポート用リスト

(日本語)
デッキ
4 拘留代理人 (RNA) 165
2 魅力的な王子 (ELD) 8
2 血の芸術家 (JMP) 206
3 スカイクレイブの亡霊 (ZNR) 39
4 夕暮れヒバリ (MH1) 35
3 迷い子、フブルスプ (WAR) 50
4 魂寄せ (MH1) 214
4 集合した中隊 (AKR) 186
4 ダブリエルの萎縮 (J21) 16
3 ゼイゴスのトライオーム (IKO) 259
3 インダサのトライオーム (IKO) 248
3 秘密の中庭 (KLR) 282
4 神聖なる泉 (RNA) 251
3 氷河の城砦 (XLN) 255
2 陽花弁の木立ち (XLN) 257
1 湿った墓 (GRN) 259
2 水没した地下墓地 (XLN) 253
2 神無き祭殿 (RNA) 248
2 植物の聖域 (KLR) 281
4 無私の救助犬 (M21) 36
1 残酷な祝賀者 (WAR) 188

サイドボード
3 ポータブル・ホール (AFR) 33
3 思考囲い (AKR) 127
1 呪文貫き (XLN) 81
2 精鋭呪文縛り (STX) 17
2 紺碧のドレイク (M20) 53
2 翻弄する魔道士 (ARB) 8
2 悔恨する僧侶 (M19) 33

(English)
Deck
4 Deputy of Detention (RNA) 165
2 Charming Prince (ELD) 8
2 Blood Artist (JMP) 206
3 Skyclave Apparition (ZNR) 39
4 Vesperlark (MH1) 35
3 Fblthp, the Lost (WAR) 50
4 Soulherder (MH1) 214
4 Collected Company (AKR) 186
4 Davriel's Withering (J21) 16
3 Zagoth Triome (IKO) 259
3 Indatha Triome (IKO) 248
3 Concealed Courtyard (KLR) 282
4 Hallowed Fountain (RNA) 251
3 Glacial Fortress (XLN) 255
2 Sunpetal Grove (XLN) 257
1 Watery Grave (GRN) 259
2 Drowned Catacomb (XLN) 253
2 Godless Shrine (RNA) 248
2 Botanical Sanctum (KLR) 281
4 Selfless Savior (M21) 36
1 Cruel Celebrant (WAR) 188

Sideboard
3 Portable Hole (AFR) 33
3 Thoughtseize (AKR) 127
1 Spell Pierce (XLN) 81
2 Elite Spellbinder (STX) 17
2 Cerulean Drake (M20) 53
2 Meddling Mage (ARB) 8
2 Remorseful Cleric (M19) 33


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