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だるまさんがころんボ! 13

FILE.13 ロンドンの傘

 場所はロンドン。『マクベス』初演前夜。マクベス夫妻を演じるニコラスとリリアンは、スポンサーを降りるといい出したサー・ロジャーを殺害する。研修のためにロンドンへやって来たコロンボは、接待役の刑事部長が被害者の親戚だったことから、事件の捜査に乗り出した。帰国当日。すべてを見抜いたコロンボは、サー・ロジャーとマクベス夫妻の人形が飾られることになった蝋人形館へとやって来るが……。

「コロンボさん。もう、まるで生粋のロンドンっ子ね」
 コロンボが手にした傘を見て、はやし立てるリリアン。
「ああ、これ? いやいや、今買ったばかりなんで。ロンドンに着いて以来、ロスへの土産をなんにしようかと、さんざん頭しぼりましてね」
「もう帰られたと思ったが」
 ニコラスは仏頂面だ。
「飛行機に乗り損なっちゃって」
 そう答えたあと、その場に集まった人たちの顔を見回すコロンボ。
「カーテン開けましょうよ。皆さん、早いとこ、蝋人形を見たいでしょう?」
「そう、拝見したいわ。さんざんモデルをやらされたんですものね」
 館員によって幕が上げられると、そこにはパイロット姿の若い男性と、アイドル歌手のような衣装を身につけた女性の蝋人形が立っていた。
「……なんだ、これ?」
 全員が呆然とたたずむ中、突然、女の蝋人形が動き出し、なぜかマイクを持って歌い始める。
「♪覚えてい~ます~か~目と目が合ったときを~」
「をを! これは飯島真理の大ヒット曲『愛・覚えていますか』じゃないかっ! ということは……」
 コロンボの声に答えるかのように、博物館の壁がばりばりと音を立てて崩れ落ち、巨大宇宙戦艦が飛び込んでくる。
「バルキリー隊全機スクランブル! 繰り返す。バルキリー隊全機スクランブル!」
 どこからか聞こえてくる意味不明のアナウンス。
「本艦はこれよりトランス・フォーメションを決行する」
 その言葉に続いて、宇宙戦艦は巨大ロボットへと変型する。
「ああ、なるほど。そういうことか」
 すべてを理解したのか、傘を手にしたままにっこりと微笑むコロンボ。
「この大騒ぎはなんです? 一体、なにが起こったんですか?」
「蝋人形で『マクベス』のワンシーンを再現するつもりが、なにをどう間違ったか、『マクロス』のワンシーンを再現しちまったみたいですな」
 そう答えるやいなや、コロンボは巨大ロボットの足にしがみつく。
「飛行機代が浮いて、ちょうどいいや。このまま、ロスへ帰ります。傘はパラシュート代わりに使いますね。それでは皆さん、さようなら。ごきげんよう~」
 ものすごいスピードで、大空へ飛び立っていくコロンボ。
「……で、事件は解決しないままなのか?」とニコラス。
「このまま、うやむやっていうのもいいんじゃない?」
「は? どういうことだ?」
ロンドンだけに、混沌
「ダイダロスアタック!」
「へぶしっ!」

▼ごめんなさい。ごめんなさい。『マクロス』ファン以外にはまったくわからないネタをやってしまいました。反省。でも、傘をパラシュート代わりに、空から舞い降りてくるコロンボなんて、ちょっぴりファンタジックだと思いませんか?(必死で弁解)
▼リリアンさんの目、今にもこぼれ落ちそうで怖いです。ベッドの中で新聞記事を読んでいるシーンなんて、「え? これ、ホラー映画?」とか思っちゃったくらい。声が岸田今日子なんで、なおさらね。

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