KUROKEN's Short Story 26
国語の教科書に載っていた星新一の「おーい でてこーい」にいたく感動した中学生のころ。ちょうど〈ショートショートランド〉という雑誌が発刊されたことも重なって、当時の僕はショートショートばかり読みあさっていました。ついには自分でも書きたくなり、高校時代から大学時代にかけて、ノートに書き殴った物語は100編以上。しょせん子供の落書きなので、とても人様に見せられるようなシロモノではないのですが、このまま埋もれさせるのももったいなく思い、なんとかギリギリ小説として成り立っている作品を不定期で(毎日読むのはさすがにつらいと思うので)ご紹介させていただきます。
※中学生のときに書いた作品をいくつか発見しましたので、本日はそちらをご紹介。そのままではまともに読めないシロモノなので、文章にちょっとだけ手を加えております。
素朴な疑問
空が僕を呼んだ。
「なんだい?」
僕が尋ねると、空はにこにこ笑いながらいった。
「君はなんでそんなにもちっぽけなんだい?」
「ちっぽけ? とんでもない」
ぼくはムキになって反論した。
「君がでっかすぎるんだよ」
木が僕を呼んだ。
「なにか用?」
僕が尋ねると、木は青々と茂った葉を誇らしそうに広げながらいった。
「君はなんでそんなにも灰色がかっているんだい?」
「灰色? とんでもない」
僕はムキになって反論した。
「君がまぶしすぎるんだよ」
水が僕を呼んだ。
大地が僕を呼んだ。
鳥が僕を呼んだ。
虫が僕を呼んだ。
「君はなぜそんなに……」
最後にみんながいった。
「なにも自慢できないくせに、君たち人間はなんでそんなにも偉そうなんだい?」
(1984年12月執筆)
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